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2010年6月 1日 (火)

映画「THE 有頂天ホテル」と日本の財政赤字許容限度

三谷幸喜脚本・監督「THE 有頂天ホテル」は2006年の大ヒット映画。私は三谷作品では最高と思う。楽しめる力作。
      
        舞台は新年のカウントダウン・パーティを2時間後に控えた一流ホテル。登場人物は皆、目前に突然発生した窮地をしのぐため、とっさに嘘をついたり、口か らでまかせのごまかしを言う。そのあたりが笑いを生む。役所広司のホテル副支配人は別れた妻と偶然再会して、つい恰好をつけるため嘘。松たか子の客室係り はある女性客と間違えられて、その女性客になりすます。佐藤浩市の国会議員は疑惑に直面して、真相を公表するかどうかで迷いに迷う。伊東四朗のホテルの支 配人も芸能プロ社長の唐沢寿明も、その場しのぎしか考えていない。
      
       当初マニフェストを神聖不可侵の黄門様の印籠のように扱っていた民主党政権が、修正を余儀なくされている。政権獲得のためについた嘘、というか、現実無視のツケ回しだろう。
      
       普天間問題がそのひとつだが、最大のものは財政のつじつまが合わないこと。10年度の税収は37兆円なのに鳩山政権は歳出92兆円の予算。差額は国債44兆円と埋蔵金の利用など11兆円。
      
       これが11年度になると一段とひどくなる。
      
       すでに法律にもとずいて基礎年金の国庫負担が三分の一から二分の一になる。これで2兆5000億円。高齢化に伴う社会保障費自然増が1兆円。
      
        さてここに民主党マニフェスト出費がのしかかる。子供手当てを満額支給すると2兆2600億円、高速道路無料化や農家への戸別所得保障が3兆5000億 円(毎日新聞エコノミスト誌4月10日号「東奔政走」)。この通りに11年度予算案がつくられると、9兆6000億円の支出増で歳出は100兆円を超え る。税収は多少伸びても埋蔵金は使い切ったし、やはり国債。63兆円という途方もない発行量になる。
      
        ところが菅財務相が「来年度の国債発行は10年度と同じ水準に」と発言すると鳩山首相がこれを否定。沖縄米海兵隊の存在意義を就任後8ヶ月もかかって漸 く分かったように、現実を知らない統治能力不足は、小沢幹事長の政治とカネ以上に深刻だ。しかも一部では首相も幹事長も辞めないという報道も聞く。支持率 が下落するわけだ。谷さんなどの著名人起用で人気回復すると考えているなら、甘すぎるのではないか。
      
       国債の発行はどのくらいが限界だろうか。現在のばら撒き政策を続けても消費が盛り上がらなければ、例えば子供手当てには預金に回る。銀行はまた国債を買う。国債を発行しても買い手があるから大丈夫、と言う皮肉な状況だ。
      
       経済学の教科書を見ると総貯蓄で赤字国債の発行限度が決まる。まあ30兆円の大台
      が限度だろう。
      
       私はお隣の中国が債券市場を確立し、中国の国債が投資できるようになれば日本の機
      関投資家はいくら財務省のご威光があっても日本国債への投資を減らして中国にカネは流れる。利率はいいし、人民元切り上げの魅力もあるからだ。大幅円安、インフレ必至だ。あと10年は持たないだろう。財政再建を本気で言う党を私は支持する。
      
       映画のセリフから。別れた妻は役所広司のウソは見抜いていた。「嘘をつく必要なんてなかったのよ。自分のやっていることに誇りを持ってちょうだい。」大切なことは、出来ないことをできない、と言い切る勇気だ。

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