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2010年7月 6日 (火)

映画「告白」と女性の労働環境の改善

映画「告白」は湊かなえのベストセラーを松たか子主演、中島哲也監督で。衝撃的な傑作サスペンス。只今ヒット中。
      
        中学1年の教室。女性教師が数ヶ月前事故死した幼い娘は「実はこのクラスの生徒2名による殺人です」という。衝撃的な発言にも好き勝手に騒ぐ崩壊学級だ が、犯人の二人の牛乳にHIVの血液をいれて飲ませたと聞いて全員が凍りつく。善き母で教師だった女性の復讐譚だ。一方中学生は底意地が悪く残酷、他人の 痛みが分かるほど成熟していない。平気で他人を傷つける。
      
       主人公は娘を保育所に預けたが、6時まで。そこから悲劇が始まる。この映画は、子持ちの女性労働者の厳しい労働環境を紛糾している。
      
       総合研究開発機構の辻明子主任研究員によると、家庭と仕事の両立を希望する女性に
      実現のための支援が必要だ。ワークシェアバランスと呼ばれるもので、欧米では早くから実施されているが、わが国では明らかに立ち遅れている。
      
       現在、例えば第一子を産んだ後の女性が同一職場で継続して就業する比率は38%に過ぎない。これを2017年に55%にするのが目標とか。また育児休業の取得率は女性が72.3%、男性は0.5%。これをそれぞれ80%、10%に上昇させるのが目標。
      
        やはりこれらの条件が企業の協力を得て実行されないと、女性の労働参加と人口再生産の同時達成は夢物語に過ぎない。子供手当てを出しているではないか、 というかもしれない。しかし海外の例では充実した経済的支援が出生率の回復に直結しないことに気づいたので、ワークライフバランス重視に変わった。
      
       ドイツの例ではGDP比で1.4%と日本の0.3%の4倍以上だが、近年は保育所の抜本的は拡充に重点が置かれている。
      
        継続就業の意義はきわめて大きい。数字で示そう。生涯賃金は大卒で2億3000万円、高卒で1億6000万円。ところが出産のため30歳で退職し、その 後専業主婦になったとすると受け取る賃金は3000万円で、40歳で再就職しパートとすると6000万円に過ぎない。大卒で1億円以上の就職による生涯賃 金ロスが発生する。
      
        これに対して月間2万6000円(怪しくなったが)を子供が15歳になるまでもらっても500万円。どう考えても子供手当てより育児と仕事を両立できる 労働環境の整備、保育所の充実の方が、はるかに大切だ。この試算はみずほ総合研究所の大嶋寧子主任研究員の調べだ。
      
       大嶋さんによると待機児童は急増している。2009年4月1日次点の認可保育所への待機児童数は2万5000人と前年比24%、6000人も増加した。その後も雇用情勢から見てもっと増加していよう。
      
       まだある。主婦がパートとして働く場合の「130万円の壁」だ。時給1000円、週25時間労働が上限なのは社会保障制度と税制。この改善も緊急の課題だろう。選挙に目がくらんだ政党には分かるまいが。
      
       映画のセリフから。主人公は言う「やりたいことがすぐ見つかり従事できる人は少ない。目の前の仕事を精一杯こなしていかなくては。」働く環境を、もっともっと大切にしてあげなくちゃ。

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