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2010年7月13日 (火)

映画「アウトレイジ」と人民元切上げ

 「アウトレイジ]は北野武監督、主演。只今ヒット中のB級バイオレンス映画だ。
      
       関東一円を支配する巨大暴力団の幹部会で、直参の幹部部組長は弱小ヤクザとの親密
       関係をとがめられる。そこで直参の組長は、いわば2次下請けの組にその弱小のヤクザを痛めつけさせる。次から次へと連鎖的に波紋が広がり、2次下請けはト ラブルを治めるために使い捨てられる。出てくる人物全てが、金と権力を握るために平気で他人を蹴落としゆくワルばかり。次から次へと展開するバイオレン ス・シーンのまあ激しいこと。コワいもの見たさでヒットするわけだ。
      
        中国人民元銀行が人民元の為替レーtの柔軟性を高めると声明。小幅だが切り上げが始まった。不動産バブルが終わりになり、目先は金融機関の損失が懸念さ れる時点なので、本当はいやだったのだろうが。恐ら国際投機筋にどこか弱点を握られてしまったので仕方なく発表したと思う。映画のヤクザのように。
      
        都市部不動産の価格下落は、先日上海万博を見に行った時に確認した。すでに統計でも中国全都市中もっとも早く動く深センの地価が、ここ3ヶ月下落してい る。5月の不動産販売は前月比25%減少。まあ北京五輪、上海万博のあとは広州アジア大会ぐらいでイベントがなくなる。不況にはなるまいが成長率の若干の ダウンは不可避だろう。
      
        その代わりにご存知の大幅賃上げ。ストを容認し5年間で労賃倍増というから年15%。豊かになった労働者たちが消費に向かい、「世界の工場から世界の市 場」に変わる。ちょうど強い円のおかげで日本の1970年代にはパリのシャンゼリゼ通りを農協のオジサン、オバサンが闊歩したものだ。カー、クーラー、カ ラーテレビの3C時代の再現もすでに始まった。日本からの輸出、現地工場を含め、企業の業績に大いにプラスになるだろう。
      
       いま銀座をちょっと歩くだけで、中国人がブランド品を銀聯カードで買っている光景を目にする。日本新華僑報によると、銀座を訪れる中国人観光客の半数以上が2万元(27万円)以上消費する。人民網日本語版では日本で消費する額は一人当たり32万円だ。
      
        訪日する中国人数も急増中で、1~4月で65万4000人前年比24・5%増。これまで首位だった韓国を抜いた。昨年7月の個人観光解禁は効果があった し、最近のビザの条件緩和により中国からの来日はペースアップしよう。中国人来日を年200万人、32万円だと6400億円だ。
      
        観光客だけではない。中国からの安値輸入品が日本のデフレの犯人だったのだから目先の効果はまだ少なくとも、中長期での日本の物価上昇の役に立つ。日本 の輸入はGDPの20%で中国製品はその五分の一。ともかく人民元はIMFの購買の平価で割安度40%と推定されている。かつての日本円と同じく多少の切 り上げだと「次」を催促して投機筋は動く。最大限1・6%の物価上昇要因だ。デフレ脱出効果。
      
       折もおり、1~3月の日本の国内物価デフレーターは6・四半期ぶりにプラス0・5%となった。タイミングもいいのではないか。
      
        人民元高になると円もつれて高くなる、といわれてきたが、現実にはそうなっていない。元高で米国債の入札が不調となり米長期金利上昇から円安、という流 れが市場では重視されているだろう。当面中国関連株を中心に日本株は戻り歩調で4月高値1万1339円に挑戦しよう。私は抜く可能性は実はあまり期待して いないが、くわしくは別の機会に。
      
       映画のセリフから。ビートたけしの親分が可愛がっている子分を逃がすときに言う。「一人くらい生きてねえとよ。結果わかんねえじゃねえか。」繁栄の歴史を経験したわれわれは、中国がこれからどんな段階に入るか、知っている。結果も。

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