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2010年10月13日 (水)

映画「ナイト&デイ」と米連銀の超金融緩和への期待(511回)

 映画「ナイト&デイ」はトム・クルーズとキャメロン・ディアスの二大スターの娯楽アクション。

 題名のナイトは夜でなく騎士。ハークレイン・ロマンスに登場する白馬の騎士、運命の男性のこと。平凡な女性ジェーンが空港でロイに出会い、機内で近くの席になる。

 機内でジェーンがトイレに入っている間にロイは大格闘で機内の全員と操縦士までを殺してしまい、そこから逃避行が始まる。お話はかなりご都合主義だが、天然ボケのジェーンと組織に追われるスパイのロイが、南の島からスペインまで世界中を駆け巡る。まあテンポのいい楽しい映画だ。この映画に出てくるFBIとギャングがそれぞれ二人を追う。

 もう休刊になってしまった「エコノミスト マネー」の最終10月号に私は「年内にNY株に大幅下落の売りサインが出ている」と述べた。すぐではなく3,4ケ月のあとに実現する売り指標だが。映画で何人もが追い駆けているある未完成の大発明と共通点がある。出来れば世界を変えるが、今回もあたるか、どうか。

 「ヒンデンブルグ・オーメン」と呼ばれるテクニカルなサインで、細かくは省略。87年のブラック・マンデーでも、2008年のリーマン・ショック時も3~4ヶ月前にこれが出ていた。今回は8月に数回、出現している。

 はてな、と思っていたら、9月27日米CNBCテレビで「米国株は株高が演出されている」という爆弾発言があった。

 発言した人は英国の大手証券会社のストラテジスト。「8月以降11%のNY株高があったが、米連銀が銀行に資金を入れ、そのカネで株式をプログラム売買させ株価を吊り上げている」と。

 この発言には根拠がある。米連銀は米国債や不動産担保証券を売買する「恒久公開市場操作(POMO)」昨年春から設定。去る8月17日からNY連銀担当デスクが活発に売買を開始した。

 取引担当は米ゴールドマン、英バークレイズ、独ドイツ銀行の3社。このPOMO資金が株式売買システム(アルゴリズム)で株価上昇を演出している。

 いつまで保つか、という不安のほかに、11月2日の米国中間選挙結果次第という面もある。人為的にいったん下げて不況対策の予算を通すための株安、という、あのリーマン・ショックに似た危機演出だ。まあ、そこまではやるまいがー。

 しかも、現実には米国株は「不況になるサインが出るほど株高」という、何とも怪しげなロジックで上がっている。

 11月2~3日のFOMCで「米連銀は上限1兆ドルの米国国債を購入する」と市場では予測。米連銀の資産規模が2兆3000億ドルだから、超超金融緩和だ。

 つれて10年もの米国債利回りは、2・3%台と2008年12月の2・035%の史上最低利回りに接近し、株高の援護射撃になっている。

 勿論米連銀の首脳部にでも異論が多いが、バーナンキ議長が押し切るだろうと市場では期待している。これが万一スケールダウンしたら、米国株安だが。

 コストがゼロに近い米ドルで資金調達し、投機筋は①金、原油、農作物などのコモディティ②円、ユーロ、スイスフランなどの外貨③インドネシアなどの新興国株式市場への投資を猛烈な勢いで行っている。この流れでは、円高(ドル安)は止まるまい。11月に決算が多い米系ヘッジファンドにとり、こんなにオイシイ話はあるまい。何せウオールストリートでは昔から「絶対にフェド(FRB、米連銀のこと)と戦うな」というから。

 映画のセリフから。ロイがジェーンに言う。「君をつかまえる連中が”安全で安心”といったら、すぐ逃げろ。信用するな。」投資シナリオに「絶対」はない。皆が言い出したら終わり。当分ローラー・コースターのような相場つきだろう。

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