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2010年11月30日 (火)

映画「ノーウェアボーイ」と私の強気 第521回

 映画「ノーウェアボーイ」の題の意味は、どこにもゆくところがない落ちこぼれのこと。ビートルズ結成前、まだ10代のジョン・レノンを描き、英国アカデミー賞主要部門でノミネートされた秀作だ。

 1950年代半ばのリバプール。伯父と伯母に幼いころから育てられたジョンは生意気な問題児。伯父の葬儀でいとこが、本当の母親が、歩いていけるくらい近くに住んでいることを知らせる。すぐ母に会うジョン。

 実の姉妹なのに、厳格な伯母と全く違う母。自由奔放に人生を楽しむ母から音楽を教わる。ただ母は夫と娘二人がいて、そこにはジョンの居場所はない。二人の母のどちらにも自分の悲しみ、孤独をぶつけられず、ジョンは音楽に没頭してゆく。

 このブログを10月に始めて、私の株価見通しが強気なことを述べ続けてきた。ごく少数意見なことは百も承知。円高に加え外国人売りと持合い解消による需給関係悪化という二つの悪材料が、当時は強く言われていたのだが。

 もちろんこのほかに「だから株はやらない」という理由はヤマほどある。高齢化・少子化、国内経済の低迷、永年にわたるデフレ、ダメな政治、巨大な政府債務などなど。並べてゆけば映画の中のジョンと同じで「出口なし」だ。

 にもかかわらず、過去1ヶ月の日経平均は7%以上上昇し1万円の大台を回復。NY株式市場が9月から回復したのに遅れて、11月から堅調振りが目立ってきた。

 一番注目されるのが東証REIT指数で11月25日、1028ポイントと戻り新値を更新した。日銀の新しい金融緩和政策が市場で反応し始めている。

 情勢が好転し始めているサインはまだある。第一が長期金利の上昇。日米ともに10年もの国債の金利はQEⅡ以来上昇したのは、銀行がジワジワとデフレ・シナリオから離れつつある証拠だろう。

 第二は、10~12月期の成長(恐らく前期比年率でマイナス)が底というか踊り場で、来年1~3月期からかなりな高成長に復帰する見通し。これも数字で示す確証はまだ十分ではないが、自信はある。

 自動車生産が5ヶ月つづいた減産が10月で終わり、ふたケタの前年比増産が始まる。また中国・米国・欧州のHSBCの製造業景況指数が急回復中なこと。このほかずい分あるが、ここでは省略。

 第三には法人税率引き下げが本気で検討されはじめたこと。本来なら10%以上の引き下げが必要だが、5%でもやらないよりはまし。海外への工場移転の抑止効果はある。

 そして「新冷戦」。米中対立はますますひどくなる一方で、こうなったらオバマ政権は日本をたてるしかない。だからヘッジファンドが「円売り、日本株買い」に180度転換した。

 かりに(そんなことはありえないが)朝鮮半島で何らかの衝突が発生したら、日本株はモロ買いだ。

 最近のフィナンシャル・タイムス紙は「TOPIXの株価収益率は13・2倍。S&Pの20・2倍。日本を除くアジアの21・5倍に比べ割安」という記事を載せた。

 株は上がってくると、後講釈でいくらでも買い材料が出てくるものだ。

 肝どころは「世界のインフレ化」だ。FT紙も「本当は(世界的インフレになれば)、日本は最適の投資先」としている。

 映画のセリフから。ジョン・レノンがパスポートの書類作りで母が死んだ後の伯母に言う。「親の欄と保護者の欄と両方にサインして」。そして死ぬまでジョンは伯母に1週1回、電話をかけ続ける。難しかった問題も、流れが変わればいっぺんに解決するもの。市場も同じだ。

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