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2010年11月 4日 (木)

映画「THE LAST MESSAGE海猿」と日本株の転換(515回)

 公開後1ヶ月になるがいぜんヒット番付首位の「THE LAST MESSAGE 海猿」はシリーズ第3作。私は3D版で見たが迫力十分。相当おカネをかけた大作で一見に値する。主演は肉体美の伊藤英明。女性客が多い。

 玄界灘に浮かぶ大型天然ガスプラント「レガリア」に船型の掘削装置が衝突、火災を起こす。現場で働く労働者救出のため海上保安庁はヘリで出動。そこに超大型台風が接近、直撃する。

 救助途中でヘリは引き揚げ、主人公仙崎ほか4人がのこされるが、ガスタンクに引火の危険が迫り、プラント全体を海中に沈めて爆発を避ける作戦に。仙崎など海保所属の二人が決死で取り組む。

 中国が理不尽な言いがかりをつけたと思ったら、今度はロシア大統領だ。無能な内閣をタチの悪い隣国が、映画での事故と台風と同様に叩いて来る。

 映画で出口のない主人公の仙崎を同僚が救助するように、米国が援護射撃してくれるのが僅かに救いだが。

 今回発表された米FRBの量的金融緩和第2弾(QEⅡ)、6000億ドルの米国債購入も、この6ヶ月弱保ち合い相場を続けていた日本株には、上昇相場への転換となろう。

 11月末まではヘッジファンドの決算期末を控えているので、大した動きになるまい。それでも10月に入って外国人投資家は4週続けて買い越し,金額にして4971億円で、7~9月累計の2849億円を上回った。

 個別の銘柄の動きを見ても反転の気配がうかがえる。好決算を発表したファナック、日立、コマツなどは素直に買われ、コアの大型株は底固い。銀行や小型株、それにムリな増資を強行した銘柄が市場平均を押し下げているだけだ。

 今回のQEⅡでますますドル・キャリー・トレードは増加。すでに新興国株式市場には過剰流動性相場が発生しているが、今後さらに加速化しよう。「世界の株高」だ。

 総本山のNY市場は年初来高値を更新するなどすでに堅調。しかし投機筋のS&P先物市場での買い持ち(ロング)ポジション比率は2006年10月以降で最大となった。また投資家の見通し調査では「強気」の比率は2007年2月以来最高。市場内部要因で一時的な調整があってもおかしくない。ちなみに2007年3月には7%下落した。

 NYの不安はあるものの、デフレ(日本化)懸念で債券に縛り付けられていた資金が、リスクをとれるようになって株式に向かう。要するにデフレ不安からインフレ期待に、世の中のムードを変えることが、ベン・バーナンキFRB議長の狙い。

 米国中間選挙での民主党大敗もあり、財政での景気刺激はムリ。どうしても金融に負担がかかる。恐らく6000億ドルのQEⅡで、なお米国景気が不振なら、QEⅢ、QEⅣもありうるだろう。

 幸い米国はツイている。シェール・ガス革命で原油がバーレル当たり価格換算20ドル近辺の安いエネルギーが無尽蔵に出始めた。この効果は大きいのではないか。

 映画のセリフから。政府を代表する内閣参事官が海上保安庁にハッパをかける。「人命を守るのは当たり前。しかし国益を守るのも海保の仕事じゃないのか!」。国民の財産である株式市場を、政府はもっと守り育てる姿勢を示さなくちゃ。それも国益のひとつだ。

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