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2010年11月25日 (木)

映画「義兄弟SECRET REUNION」と北朝鮮砲撃(第520回)

 延坪島への北朝鮮による砲撃が波を拡げている。ちょうど映画「義兄弟」を見たばかりなので、緊急で私の見方を書くことにした。

 まず「義兄弟」。韓国の今年最大のヒット作で550万人が見た、とか。たしかに面白い。

 主人公は韓国に潜入した北朝鮮の暗殺者を追う捜査のベテラン(ソン・ガンホ)。暗殺者を逃し多数の死傷者を出した責任を問われクビ。

 6年後。逃げ出した外国人花嫁探しの興信所を作った主人公は、暗殺者の部下だった北の工作員(カン・ドンウオン)を発見。懸賞金目当てで、自分の興信所の唯一の社員に誘う。二人は協力して主にベトナムから連れてこられた逃亡花嫁探しに乗り出す。

 「北」と南のハラを探りながらの協力。時には殴り合いのケンカもするが。今回の砲撃事件を聞いて、映画とよく似ていると感じた。

 朝鮮戦争が1953年に休戦を迎えて以来、「北」は韓国航空機の爆破、政治家暗殺などなど30回以上、韓国を挑発して来た。23日の砲撃は陸上目標への初めての攻撃だが、これまで韓国側は貿易制裁が中心で軍事的報復はしていない。

 ウォールストリートジャーナルは韓国の軍事専門家の「北朝鮮は韓国が決して反撃しないことを知っている。」という発言を紹介した。

 たしかに「北」は権力継承時期なので派手にやっているが、「北」が崩壊寸前と見るのは誤り。中国と「北」の交渉から見て、中国型の改革開放路線採用が決まっており、金正日の妹の夫張成沢(チャン・デンソク)にかなり権限が集中しかけている。

 この砲撃事件の直前、「北」がウラン濃縮設備を米国の専門家に見せたことは、もっと注目されていい。

 この設備はイランのものと同じ。イランはウラン濃縮はやっているものの、IAEAの査察を受けており国際的に容認されている。これでイラクの二の舞を防いだ。「北」の作戦が実にしたたかなことを認識すべきだ。

 結局、韓国は今回も反撃は出来まい。朝鮮半島はますます「北」の中国への属国化が進んでゆくが、ブレーキをかける選択肢は限られている。連邦制度をとって合併し、近代化には日本からの賠償金を使う、ということになりそうだ。

 先日の韓国で開かれたG20サミットでの、米韓の同盟体制は強化されるどころか、その逆。米韓自由貿易協定は進展せず、ウオン安をこれまでずっと誘導し続けて輸出を伸ばしてきたのにQEⅡでドル安誘導。ウオン高で苦しめられかけたところにこの事件である。ウオンは再び急落。

 私の見るところ韓国の成長は、世界の危機のたびに真っ先に大幅急落するウオンと、強さを保つ円で、日本企業の競争力が削られた結果だ。これに日本では独禁法が強いためメーカーの数が多く、「国内予選」で時間と資金を消耗しているから。

 結論。朝鮮半島の両国は、このままでは中国のテリトリーに入ってゆく。これを防ぐには韓国は91年に米軍が韓国から撤去した核兵器を再び韓国に装備することだが、恐らく中国がブレーキをかけてきて不可能だろう。

 そうなると、日本は再び新冷戦の最前線になる。かつての米ソの冷戦と違い芸術、スポーツ、貿易は交流するが、軍事と外交では米中の対立がどんどん深まり。通貨がやはり新冷戦の舞台になる。もう日本に対し、かつてのクリントン政権のような妨害はなくなると考えるべきだ。

 すでにヘッジファンドは「日本円買い、日本株売り」の戦略を変更。リワインド(巻き戻し)に入った。シカゴ市場での円買い立て玉はここ4週間で半減した。この事件で間違っても弱気にならないこと。私は強気だ。

 映画のセリフから。韓国のガンホはハンバーガーが常食なのに対し、「北」のドンウオンは手料理でサムゲタン,そこで言う。「味覚はオンチなんだなあ。一緒に仲良く食べようよ。」私には「北」が韓国にウオン安をプレゼントしたように見えるが。

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