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2010年12月11日 (土)

映画「武士の家計簿」と日本の財政破綻問題(第523回)

 磯田道史のベストセラー「武士の家計簿」が映画化され、只今ヒット中。森田芳光監督。

 江戸時代後半、加賀藩で御算用者(ごさんようもの)と呼ばれる会計処理の専門家猪山直之(堺雅人)は一家の借金が、父と自分の収入の2倍あることに気付くと、家財道具を売り払う。借り入れの4割を返済、残りは金利なしにしてもらう交渉にも成功。倹約生活も始まる。

 直之は息子にソロバンと論語を徹底的に叩き込む。どんな時代でも確かなウデがあれば生き残ることが出来るーと考えたからだ。果たせるかな、幕末の動乱にも猪山家は生き延び出世する。

 直之が一家全員の協力を求めるときに「生まれてくる子の顔をまっすぐ見られる親でいたい」という。当時18%の金利はやはり重かった。

 予算編成の時期も近く、何かとバラ撒きがはかられる季節。それに欧州のソブリン・リスク問題もいわれているし、日本は大丈夫なのか。

結論から言おう。私は財務省のお役人は国の借金だけを言って「ギリシャ化」とオドかす。国の普通国債(600兆円)、財検債(129)など借金は2009年度末で991兆円。たしかにGDPの倍近い。

 第二次大戦が終わったときのGDPの借金比率は200%だったから、この水準に近い。

 しかし、である。昭和20年には政府の資産なんてほとんどなかったし、民間に売ることも出来なかった。高橋洋一さんによると2007年度で政府の資産は695兆円。差し引いてネットの借金をとるとGDPの60%台。世界の有力国の中でさほど悪い水準ではない。

 まあ戦時でなく平時で、しかも予算の60%を国債に依存するのは、たしかに異常だ。それでも国債発行の96%は日本国内で消化されている。だから日本のソブリンリスク爆発は、私はあと10年は大丈夫、と申し上げている。

 理由は、お隣の中国が国債市場を確立し、人民元の國際化も進んで日本の機関投資家が、日本国債の購入を削って中国国債を買い始めるときが、ソブリンリスクの爆発が日本で起きるときだ。それはあと10年はかかる。

 うまくゆけば、それも起きない可能性がある。

 それは海底資源の開発で政府の収入がふえる可能性だ。

 騒ぎになっている尖閣諸島ひとつとって例にとっても、中国側の調査数字では600億バーレルから1500億バーレル。イラクなみの原油が眠っているのですゾ。

 来年からテスト採掘の始まるメタンハイドレート。これは天然ガスが深海の水圧、低温で氷状になったもの。94年分あるそうだ。また海底熱水鉱床といって金、銀、非鉄金属、レアメタルも豊富にある。2018年にはこれもテスト。

 私は1970年代の英国を思い出す。北海原油の採掘のおかげで、70年代末には財政収入も輸出も、五分の一は原油の黒字。現在の日本よりひどかった斜陽国英国は、これでいっぺんに立ち直り活性化する。これと同じように「資源大国日本」が復活する期待は十分だ。サッチャー首相はこの北海原油の黒字でシティを「ビッグバン」で活性化させた。最近は原油の効果もそろそろタネ切れだが、40年間キキメがあった。

 映画のセリフから。主人公の妻お駒がいう。「貧乏だと思えば暗くていやだけど、工夫だと思えば面白くて楽しいですね。」そして倹約を先頭に立って推進する。要は、気の持ちようだ。

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