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2010年12月 6日 (月)

映画「レッド・オクトーバーを追え」と株価上昇(第522回)

 トム・クランシーのベストセラーを「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン監督が映画化。1990年の旧作だが主演のショーン・コネリーが実にいい。潜水艦ものという舞台がいいし、政治サスペンスでもある。私の好きな映画だ。

 まだ米ソ対立の冷戦時代。ソ連の誇る核攻撃用の最新鋭原子力潜水艦「レッド・オクトーバー」が、アメリカ東海岸に接近する。

 米軍は当然対米攻撃と解釈するが、CIAの分析官ライアン博士は、ソ連艦長のラミウスが潜水艦ごと亡命しようとしているーと推理する。米ソ双方がこの潜水艦を総力を挙げて追う。米ソの魚雷戦が始まり、間違うと核戦争の第三次大戦の恐怖が迫る。

 あの冷戦時代は共産圏と自由経済圏と世界を完全に二分していた。今回の米中の対立による「新冷戦」は、貿易、文化、スポーツなどは国境がなく協調し、軍事、外交では対立する。協調と対立の境界にあるのが、為替レートだ。

 軍事面では核兵器を保有する国としない国とでは大きな差が付く。いい例が南北朝鮮だろう。(中国と日本も、同じか。)

 ヨンピョン島への「北」の砲撃。あれは核を背景にした非保有国への脅迫だ。だから3月の韓国の哨戒艦撃沈事件でも反撃は出来ない。

 その「北」のバックに中国がある。わが国では中国に「良識ある調停を期待する論調が多いが、まるで現実を把握していない。

 2012年に胡錦鋳主席の後継者となる習近平副主席は去る10月、朝鮮戦争は「侵略を防ぐための正義の戦争だった」と米韓を侵略者呼ばわりしている。また同副主席は「李明博政権は朝鮮半島の平和の妨害者」と述べた。東アジアでは明瞭に「新冷戦」が始まっている。

 1990年代にクリントン政権が「日本異質論」を展開し、当時日本が制圧しかけていた半導体の市場五分の一開放、特許や技術の公開、自動車協定など日本叩きが行われた。

 その日本攻撃の最たるのもが、ヘッジファンドによる円高への操作だ。95年4月の79円75銭の市場最高対ドル円レートの達成の前年夏に、私はヘッジファンドから計算の論拠を聞き「東洋経済」に名前入りで論文を書き「95年春1ドル80円」と書いた。

 この無理な超円高がきっかけになってデフレと不況、空洞化、労働賃金引下げなどなど。いま日本経済が悩んでいる病弊が、いっぺんに発症した。

 米国の圧力は日米安保条約が、かつての冷戦時代には日本擁護のためのものだったが、1990年代には日本を押さえる道具になった。

 しかし、「新冷戦」になると再び情勢は180度転換する。だからこそ鳩山政権のアマチュア政治による混乱が続いていても米国はガマンしたのだろう。

 しかも「北」の挑発はまだ続く。1980年代に金正日が後継者として登場したとき韓国に対し攻撃を繰り返し、国内では軍事的天才と持ち上げていた。金正恩も同じ路線だろう。まだ破壊活動は続き「新冷戦」は激化する。「中国異質論」は深化する。

 そこでまず円レート。ここ数週間でシカゴ市場での円先物買いの残高は急減した。円高は、多少ブレても幅は知れている。株も外国人機関投資家の買い金額で見ると10月以降、それまでの買い越しの3倍。

 一方、日本企業のコスト削減、労働生産性向上は先進諸国で際立って成功している。

 すでに11月の日銀の量的緩和の成果は「REIT」指数の戻り高値更新であらわれ、株価にも優良株に方向転換の兆候がはっきりして来た。

 結論。明年の早い時期に市場平均1万2000円は達成されよう。次の目標はそのときに。

 映画のセリフから。CIA担当者が巧みに、ロシア語を操るので理由を聞かれる。そこで言う。「敵対立する国の文化を理解しておかなくてはいけませんから。」為替は、特に円の対ドルレートは政治、国際政治そのものだ。そこらを理解しておかなくては。

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