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2010年12月24日 (金)

映画「ノルウエイの森」とベトナム経済の今後(524回)

 「ノルウエイの森」は1065万部も売れた超ベストセラー小説。題は勿論ビートルズの名曲。これをベトナム生まれのトラン・アン・ユン監督が映画化した。只今ヒット中。撮影はアジアの名手マーク・リー・ビンビン。音楽はジョニー・グリーンウッド。しかしロケ地は日本だし俳優もセリフもすべて日本。私は全く違和感を感じなかった。

 村上春樹氏の「ハルキ・ワールド」、つまり異界に抜けたり、死者が生き返ったり、邪悪なものが出現したりーという世界ではない。リアリズムの小説だが、それを美しい映像にまとめた。佳作と思う。村上氏独特の死生観、とくに大切なものを失う恐怖感や悲しみが、下品でないセックス描写と重なって表現された。出演松山ケンイチ、菊地凛子。

 ベトナム人監督だから、というわけではないが、実は先週ハノイに出張したので、まとめてみた。

 感じたのは、ベトナム人の親日(逆に言うと中国人嫌い)でフレンドリーなこと。仏教徒という共通部分もあるだろうし、食事もうまい。謙虚で温厚な所も、そしてこの映画にあるように、感性にも共通点が多い。

 べトナムはカンボジア、ラオスで一つの経済圏を形成。今後中国と日本との関係が尖閣問題などもあって、こじれればこじれるほど日本企業の進出は増えてゆくだろう。

 この国はコーヒー生産ではブラジルの34%に次ぎ、13%で2位。原油、石炭などの埋蔵量も多く、原油生産は日量35万バーレル。

 この国は6-7%成長の国だが、中国と違って第一次、2次、三次産業のバランスが良く成長。中国のように第一次産業を置き去りにした結果、貧富の格差、地域内格差が巨大化しているのと対照的だ。

 ただし、社会主義国としての経済運営の不合理性は残る。たとえば7月に経営危機に陥った国営造船コングロマリット「ビナシン」。同社は40億ドルの負債を抱えて破綻に瀕したが、ひところの同社は「ベトナムは2015年までに中国、韓国、日本に次ぐ第4位の造船大国に」の目標の中心。6万人の従業員、28箇所の造船設備、2007年には年35%の高度成長企業として注目を浴びていた。

 しかし無謀な拡張主義と多方面への軽率な投資のため経営は悪化。不正経理の疑いもあって同社経営者は逮捕された。

 現在でも国営企業をめぐっての賄賂の横行が言われている。

 実は、タイのバーツを始め、アジアの諸通貨が米ドルに対し強まっている中で、韓国ウオンとベトナムのドンだけが弱くなっている。韓国の方は「北」の砲撃などがあったためだが、ドンの方はインフレである。

 消費者物価指数は2010年11月が前年同月比11・1%上昇。政府目標の6%を大きく上回った。政策金利を9%に引き上げてインフレ沈静を図っているがうまくゆかない。

 高成長もインフレの背景。実は成長率は目標の6・5%を超えて7%以上に達しそうだ。鉱工業生産は10月までしか分からないが12.6%上昇。米格付け会社がソブリン格付けを1ランク引き下げる。

 こうした問題点はあるものの、やはり成長国であることは変わりない。日本の協力もありインフラや法制が整備されてゆけば、7-8%成長国として必ず再び脚光を浴びるだろう。

 映画のセリフから。直子の20歳の誕生日。同じ年だが、まだ誕生日に7ヶ月残しているワタナベに直子は言う。「人って、18と19の間を行ったり来たりすべきなのよ。19が終わったら、18になるの。そしたら、色んなことがもっと楽になるのに」。もう私には18と19と20の差は分からない。とうい昔になった。成熟した日本人としては、若さはもっともっと注目しなくては。ベトナム株のETFがおすすめだ。

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