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2011年1月 7日 (金)

映画「白いリボン」とテン・サプライズ〈第527回)

 映画「白いリボン」は2009年カンヌ映画祭でグランプリ。近く発表されるアカデミー賞外国部門の最有力候補の秀作。ミヒヤエル・ハネケ監督。

 舞台は第一次世界大戦直前の北部ドイツの農村。大地主の男爵を中心に人々が静かに暮らすプロテスタントの村に、奇妙で不思議な事件が次々に発生する。医師が乗馬中に張られた針金で落馬、荒らされたキャベツ畑の放火、子供の失踪など。それぞれの事件が村の空気を変え、村人たちの素の顔が次第に明らかに。そして魔物の足音が聴こえてくる。

 これはクライム・サスペンスの形をとった人間の本性を暴く現代映画。ひとつひとつの犯罪は明かされないが、逆に恐怖が高まる。

 「白いリボン」は無垢と純潔を強制する因習の象徴。少年がこれを外すころに、ナチス・ドイツの興隆で今度は右腕に隊章がつけられる。

 2011年が始まった。この映画のように、何か大きな変化が起きる予感がする。例年のように著名ストラテジストのバイロン・ウィーン氏の「10サプライズ」が発表された。

 同氏はブラックストーン・グループの副会長。1986年以降「世の中の人が三分の一未満でしか起こらないと信じている事柄だが、ウィーン氏が70%の確率で起きると確信しているもの」をサプライズとして発表している。的中率は高く信者は多い。

 ただし、2010年の同氏の予想はあまり適中率は高くなかった。「米国経済は5%超の高成長で失業率は9%以下へ。FRBはこれを受けて第二・四半期から短期金利を引き上げて2010年末には2%へ。つれてドル高・円安で円レートは100円を超え、日経平均は1万2000円へ」。

 そうはゆかず米国景気の回復を維持するために、ブッシュ減税継続やQEⅡが決まり、ゼロ金利脱出はまだ先のこと。ご存知の通りだ。

 2010年について述べた強気見通しが、今年に再び繰り返されている。

 「ブッシュ減税や失職者への補助などで米国人のムードは好転、実質GDPは5%に接近し失業率は9%以下になる。」

 「財政収支の大赤字は米国国債金利の上昇を招く。10年もの国債金利の5%接近。」

 「株価はS&P500種で1500に迫り、企業収益上昇、M&A活発化で株式市場は人気絶頂。ただ年後半には長期金利上昇を嫌気して株価は調整。」

 「インフレ・ムードは高まる。外貨準備が多い国は金を購入。価格はオンス1600ドルを超える。」

 「中国は金融引き締めもあって経済成長は10%以下に、インフレ率を4~5%以下に。同時に中国は人民元をその一部にした基軸通貨のバスケット方式をドルの代役として推進。最後は人民元高。」

 「住宅は60万個以上の新設を見込み、ケース・シラー住宅価格指数は回復へ。」

 「商品価格は上昇。新興国需要は旺盛でトウモロコシ8ドル、小麦10ドル、大豆16ドル(ブッシェル当たり)。原油はバーレル115ドル。」

 「オバマ大統領はアフガニスタン、イラクからの撤兵を進め、中近東は米国勢力がいなくなる。テロ勢力が横行する。」

 「独メルケル首相の指導で、ユーロ地域の財政再建は進む。」

 今回は「追加10」として①パキスタンと北朝鮮のトラブルは激化②金利上昇でドル=対ユーロ、対円で上昇、日本経済は回復へ③サラ・ペイリンがティーパーティー派の支持もあり共和党候補としての地位を固める。対抗はペリー・テキサス州知事。オバマは再選へ、など。

 私の見方とずい分重なることは、このブログの読者ならお分かりだろう。別に知り合いだからといって、打ち合わせしているわけではありませんよ。念のため。そのせいか、今回は少しもサプライズではないのだがー。

 映画のパンフの中で、レンバッハの詩が紹介されている。「世界は壊れない。大人たちは言った。(しかし)あなたちは感じていた。世界は壊れていると。ただそれを言葉にするすべを知らなかった。」今の時期に必要なのは、正しい時代認識だろう。

ところで、ホンモノのサプライズがあった。北京市が自動車販売の制限を始めた!買い手は過去5年、各種の税金を完納し社会保険料も支払っているものに限られる。これで自動的に1000万人が資格を失う。また新車交付受付は24万台に限定する。ホンキで、中国は景気抑制に乗り出した。

この北京の新車制限は広州,深せんなどにも広まりそう。来年は首脳部の交代、その前年は従来は低成長だった。今回もそうらしい。中国株は、当分、お休み、と見る。

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