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2011年1月24日 (月)

映画「昨日・今日・明日」と女性労働力拡大〈第531回)

 映画「昨日・今日・明日」は1963年のイタリア映画の秀作。米アカデミー賞外国語映画賞を獲得した。三つの物語からなるオムニバス映画だが、主演はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの二人。監督は名匠ビットリオ・デ・シーカ。

 第一話が傑作。軍隊帰りの夫には職がなく、妻アデリーナのヤミ煙草の街頭販売で生計を立てている。そこに警察の取締りで刑務所に送られそうになる。

 ところがイタリアの法律では妊娠中の女性は、産後6ヶ月まで入所を猶予してもらえる。

 夫婦が考えたのは、次から次へと子づくりに励むこと。出産後半年が経過し警察が逮捕に来ると、アデリーナは医師の妊娠証明を誇らしげに見せる。何と警官は「おめでとう!}と笑顔で帰ってゆくのが、なんともオカしい。

 かくして、夫婦は7人の子持ちにー。それでもますます美しくなってゆくアデリーナ。「作れるだけ、産むわ」とタンカを切る。

 いまの日本。30歳女性で出産経験のない人が50%を超えている。最近5年間の出生率は1.34でしかない。人口維持に必要な出生率は2.08だから、人口は減ってゆく。ご存知の少子化だ。アデリーナのように6人も7人も産んでくれないものか。

 お仕事をしているミセスの方々に聞くと、子供の出産を機に仕事と育児の両立が困難になり、仕方なく離職「する」か「させられる」のだ、という。

 だから女性の年齢別就職率をグラフにすると、30代でガタンと落ち、M字型のカーブになる。

 野村総研のアンケート調査(22年6月)によると「以前は働いていたが離職し、現在働いていない」人の理由は次の通り。(NRIパブリックマネジメントレビユー2010年7月)

 ①仕事と育児の両立を許す職場環境でなかった26.5%②結婚や出産後の退職が慣習となっていたため22.4%③両立を許す家族環境でなかったため13.5%④預かってくれるところがなかった9・4%。以上合計71.4%。

 仕事と育児の両立のため、たしかにいろいろな支援策が講じられてきた。しかしなかなか成果は挙がらない。

 ごく一例が保育所の「待機児童」だろう。いま80万人いる、という。

 解決のため幼稚園と保育所を統合する「幼保一元化」がいわれるが、これがまた遅々として進まない。

 その理由が「保育士の既得権益」にある、という。〈奥谷礼子さんの「ザ・R」)。公立保育所の保育士の年収は800万円。この高サラリーを守るため組合が統一を嫌がる。

 奥谷さんは、働く女性の言い分として、保育所が決まらないため就職活動が阻害されるのが問題だ、とも。

 就職のため子供を預けたいが、就職していないと子を預けられない。「結婚するには結婚証明書を先に見せろ、といっているようなもの」。

 まあ早くこうした問題点を解決し、働く女性へのシワ寄せがなくなることを切望したい。

 前記した野村総研の社会産業コンサルティング部主任コンサルタント武田佳奈さんは「家庭生活サポートサービス産業」の成長を願って、その市場規模を2800億円、今後5500億円まで伸びる。また132万人の労働力確保につながる。

 また上場企業ではダスキン、イトーヨーカ堂(アイワイネット)、セコム、綜合警備保障など。助成制度が望まれる、とも。

 映画のセリフから。字の読めない主人は友人の果物屋に聞く。「例の計算を頼むよ。」。「出産日は?」「10月28日」「うーん、イチジクを売る時期だな。それから6ヶ月。サクランボの季節にキミは忙しくなるぜ。」働く女性が安心して生める社会環境づくりを私は心から願う。日本のために。

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