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2011年1月27日 (木)

映画「白夜行」と日本国債格下げ(533回)

 ご存知東野圭吾の大ベストセラーの映画化。原作どおりの緊張に満ちたストーリーの展開を、長廻しを多用してじっくりと見せる。

 話は19年前、大阪の質屋の主人が廃屋の中で死体となって発見される。殺された男には愛人があり、その愛人は10歳の娘の雪穂と二人暮らし。疑いはかかるがアリバイがあった。事件は迷宮入り。

 質屋の女房の方にも、10歳の息子の亮司とTVを見ていた、と。この女房は質屋の番頭と不倫の仲だった。刑事たちが調べているうち愛人がガス中毒で死ぬ。

 児童施設で同い年の亮司と雪穂は仲がいい。雪穂が親戚に引き取られるとき、二人は泣いて別れた。

 その後、質屋の番頭が殺され、雪穂の高校時代にいじめた女子生徒は何者かにレイプされるなど不可解な事件が続発する。

 この小説のキーワードは並外れて美しい少女と暗い目をした少年が、全く別の道を歩きながら実はつながっていた、というところだ。

 27日、米格付け会社のS&P社が日本国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に引き下げた。

 何となく気分の悪いニュースで、明日以降のマスコミの騒ぎ方は目に見えているが、私は「またヘッジファンドの仕掛けが始まったな」と見る。格付け会社とヘッジファンドは私に言わせれば一つ穴のムジナで暗黙の了解があるからだ。

 たしかに、日本人のプライドを損ねる事実に違いない。

 S&P社によると

 トリプルA 米、英、スイス、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア

 ダブルA スペイン

 ダブルAマイナス 日本、中国、台湾、クエート、サウジアラビア

 シングルAプラス イタリア

 シングルA アイルランド

 シングルAマイナス ポルトガル

 えーっ。スペインより下?と誰しも思う。おかしい。経常収支の黒字国、日本なのに。

 だが、大事なことがある。S&P社は一昨年4月に日本国債の格付けを引き上げており、その後昨2010年1月に「格付けを引き下げる方向で検討中」と発表した。

 当時は米バロンズ誌の「日本の落日」特集や日本国債の債務不履行保険料のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のレートが0.4%から0.9%に急浮上。同時に某大手ヘッジファンドは日本の国債の先物売りを開始した。

 これは完全にヘッジファンドの負けで、その後長期金利は当時の1.3%が0.9%台へ下がった。大損失を出したはずだ。

 日本国債は96%が国内で消化され、他国のように投機資金の売りで長期金利急上昇(債券価格急落)にならない。そこいらを読み違えたのだろう。

 今回は菅内閣は与謝野起用に見られるとおり、消費税引き上げやマニフェスト訂正などでバラまき政策を止める方向を打ち出している。

 それでも仕掛けているのは、「どうせ菅内閣は空中分解。次の政権は消費税による財政再建に手がつけられない」というヨミからだろう。

 たしかに、次の格付け引き下げ、つまりAプラスになると問題が発生する。リスクウエイトが20%にカウントされるため、期間投資は日本国債を保有しずらくなるからだ。しかし、それは目先の問題ではない。

 今回の格下げ仕掛けは、恐らく円高、株安で、誰もが考える長期金利上昇と円安ではないのではないか。あくまでも私の推論だが。

 そうでないとここ3週間シカゴ通貨先物市場で円の投機買いが大きく増加しているのが説明つかない。少なくとも、仕掛けの一巡後は、国債の利回りはせいぜい1.3~4%に止まるとみる。

 映画のセリフから。雪穂が自分の過去を振り返って言う。「いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。」海洋資源開発を急げば、かつての英国のように、政府の借金を返せる希望は十二分にある。もっと、急げ。

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