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2011年2月 8日 (火)

映画「英国王のスピーチ」とNY株高、米国景気(第537回)

 「英国王のスピーチ」はアカデミー賞候補の最右翼といわれている秀作。現エリザベス女王の父君のジョージ6世はドモリに悩まされている。内気な性格で人前に出るのが苦手、兄が継ぐはずだった王位を「王冠か恋か」で1年足らずで退位したときから悲劇は始まった。

 言語障害を克服するために契約した専門家と国王との苦闘が始まる。固く閉ざされた王の心に原因があると見抜いた専門家は、型破りの治療法で必死にレッスンに励む。なかなかうまくゆかないで、王は悩みに悩む。

 折も折、ヒトラーが開戦、英国王は不安に揺れる国民の心をひとつにすべく、世紀のスピーチに挑戦しなくてはならない。時間はない。さあ、どうするか。

 あのリーマン・ショック以来、米国のバランスシート調整の必要が言われ続けている。

 たしかに不動産保有残高つまり持ち家の評価額は、ピーク時に可処分所得の2.5倍もあったが現在1.6倍。しかもまだこの比率は10%や20%は下りそうだ。

 アメリカ家計は資産の目減りの中で借金を返さなければならないので、消費が増えるわけがない。ここいらがアメリカはダメ説の根本だ。国王が父王の厳しすぎる教育ですっかりちじこまった男になってしまったのに似ている。

 代わりに株価を上げて、マイナスの資産効果をプラスに変えようというのがバーナンキFRB議長の作戦だろう。

 ここ1,2年ほどNYダウ平均はFRBの資産の膨張とピタリと一致して上下してきた。

まずFRBの量的金融緩和(QE)第一弾は住宅ローン担保証券(MBS)を大量に購入した。FRBの資産の9000億ドルから一挙に2兆ドルに。

 つれて株価も回復したが、昨年4月にQEを止めたら株価は急落。そこでFRBは8月から、MBSの元本償還金により大手金融機関を通して株価指数の先物買いを始めた。

 さらにQEⅡとして11月から6ヶ月間で6000億ドルの量的金融緩和を決めた。私があるヘッジファンドの担当者に聞くと「NYダウ1万4000ドル近辺で資産効果はプラスに転じる」といっていた。そのあたりが高値目標だろう。

 実体経済はどうか。絶好調に近い。1月のISM〈供給管理協会)製造業景気指数は60.8となり、ピークだった2004年5月の61.4に迫っている。

 これまでのFRBの金融政策はこの水準だと少なくとも金融緩和は終了するのが通例だが、FFレートの最もの市場を見ると、利上げ着手は10月以降でまず0.25%、2012年春に0.75%、1%の大台のせは7月と読んでいるようだ。

 米国の個人金融資産では株式の比重は高い。昨年9月末で31・4%、これに年金、投信と合わせると50%には達していよう。日本の6・4%と大違いである。

 結論。ドル安も手伝って米製造業は好調。当分株高は続く。まだ回復してから丸2年。上昇は初期。秋には心配した方がいいが。

  副産物としての資源、農産物高だが、ドル安(円高)も、当分、つづく。関連株の大手総合商社に注目したい。

 映画では専門家が国王をスピーディの前に励ましていう。「危機時の王は通常の王以上に勇気と忍耐を続けなくてはなりませんが、あなたは立派な王になれます。」そして堂々とした国民全部に感銘を与えるスピーチ。ベートーヴェン交響曲7番第2楽章のバック音楽がおおいに盛り上げる。

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