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2011年2月24日 (木)

映画「パトリオット・ゲーム」とアイルランドとユーロ危機(第542回)

 トム・クランシーの世界的ベストセラーの映画化。1992年、主演のハリソン・フォードが一番輝いていた時期の、アクションに満ちた傑作スリラーだ。

 CIA分析官を辞職し海軍兵学校の教官となったライアンは、ロンドンに妻と娘と三人で休暇旅行。

 バッキンガム宮殿前で英王室の一人で北アイルランド担当相の貴族を狙った、アイルランド過激派のテロに巻き込まれた。

 ライアンは襲撃犯と戦って英王室の一員を救い、弟を殺されたテロリストから逆恨みで狙われてしまう。ライアンの家族が被害者に。

 現在アイルランドは選挙戦の最中で、近く政権交代は必至。少数与党の共和党政権から統一アイルランド党と労働党の連立政権になりそうだ。

 統一アイルランド党のエンダ・ケニー党首は、先般行われたEUによる金融支援に批判的。まず国際支援融資の金利を引き下げ、銀行債(優先債)にも、銀行救済コストを負担させたい考えだ。

 すでに銀行債のうち劣後債は70%の債権切り捨てを要請されているが、優先債は国外、主にドイツや英国、仏の投資家への影響から損失負担は求められていない。

 統一アイルランド党は「国内経済を疲弊させる一方で銀行の対外債務の支払いとするためにアイルランド国民の血税をつぎ込んだ」とした。

 同時に欧州金融安定基金(EFSF)の機能を拡充し、アイルランドの銀行を含め重要な欧州の銀行に対し資本注入をせよ、と呼びかけている。

 ところがこの救済策交渉が極めて難しい状況にある。

 主導権をもつ独メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)が、ハンブルグ特別市選挙(州に相当)で大敗、3月に二つの地方選挙があるが敗北必至。

 「金融安定基金の規模拡大は、ドイツなど債権国にとってリスク増大に他ならない(ドイツ連銀)」とい声が高まっているからだ。メルケル首相が救済システム見直しに、なかなか踏み切れないだろうと観測されている。

 ということはEUサミットの3月24・25日には、ユーロ圏の債務危機問題が十分な対処されない危険性が十分にある、ということだ。

 2月下旬現在、ECBの翌日物の融資残高が激増し、どこかユーロ圏内の有力大手銀行の資金繰りが急迫しているのではないか、といわれている。

 従来から不安視されているポルトガルなどの国債金利は上昇中。市場の不安を示している。

 JPモルガンの推定では、ECBは昨年5月以降に発行されたポルトガル国債のほとんどを購入している。最近ではベルギーまで危機説が出ているのは、市場が危機の可能性を忘れていないということだ。

 結論。いぜんユーロは「嵐の前の静けさ」の段階にある。危機感が後退、という新聞の見出しは信じちゃいけない。

 映画のセリフから。IRAの幹部がTVで言う。「我々は関係ない。犯行声明があったか?やっていたら誇りを持って自分がやったと言うはずだ。」誇り高い700万のアイルランド人が、EU全体を振り回すか,どうか。

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