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2011年3月25日 (金)

映画「荒野の七人」と為替市場〈第547回)

ご存知黒沢明監督の傑作「七人の侍」のリメーク。志村喬に当たる頭目はユル・ブリンナー。当時まだ無名に近かったスティーブ・マクィーン、チャールズ・ブロンソンなどが起用された。監督ジョン・スタージェス。そして作曲はエルマー・バーンスタイン。1960年の西部劇の名作だ。

 毎年野盗の群れに襲われるメキシコの寒村がついに耐えられず、村の長老はガンマンを雇って戦うことを決意する。

 わずか20ドルの報酬だが、村人の熱意に打たれて凄腕の七人の男たちが集まる。30人を超える野盗との戦いが始まる。

 貧しい村人たちの自衛の戦いを七人が身を賭して守ってくれたように、投機勢のオモチャにされそうだった日本の円を、主要七カ国が為替市場で協調介入してくれた。

 3月18日、10年半ぶりの協調介入で17日の超円高76円25銭から円レートは82円近くまで円安。市場の期待通りには円安トレンドはまだ定着していないが、まあ市場にサプライズを与えたことは十分に評価していい。

 もうひとつ評価されるのが、介入が存外効率がよかったということ。日銀が5~6000億円、ECBが50億ユーロ(5600億円)FRBが5000億万ドル(41億円弱)ですんだ。

 市場では介入宣言発表時で「2兆円は必要だろう」と見ていたので、介入が本気かどうか疑う声もある。しかし、円高は掛け人のヘッジファンドの当面の動きには強烈なブレーキがかかったことは間違いない。しかも金額の割にはキキメがあった。

 その後も為替市場に影響力のある要人が、口先介入を繰り返している。

 ECBのシュタルク専務理事が「日本が必要とするなら再度介入する用意がある」と述べた。またユーログループのユンケル議長(ルクセンブルグ首相)も「円の上昇抑制のためならば、主要7カ国の中央銀行は更なる行動をとる用意がある」とも。米FRBよりも多額の介入金額とともに欧州勢の熱意を示す。

 ストラテジストの近藤駿介さんは、欧州勢の「友達作戦」には、日本復興のためという美しい理由だけでなく、ECBにはECBの動機がある、と推論している。

 円売りユーロ買いの動機としては、「4月に予定される①ポルトガル国債45億ユーロ②スペイン国債155億ユーロの大量償還に必要な資金の調達にはユーロ安はこの際避けたい。」

 本来ならドル売りユーロ買いだが、ドル安による資源価格上昇が懸念される中で、ドル売りはしにくい。円売りユーロ買いの要請は「渡りに舟」だっただろう。少なくとも4月一杯は市場介入が繰り返される、と見ていい。なるほど。このご意見に私も賛成だ。

 もうひとつの動機として、日本が欧州金融安定ファシリティの第1回発行債50億ユーロの20%以上を購入。今後も買う、と表明したことがある。いわば「恩返し」というわけ。

 チャートでは31日の引け値が82円以上なら88~9円も望めそう。外国人勢が「円買い株売り」から「円売り株買い」に転換しているのもそうした流れからだろう。

 映画のセリフから。野盗の頭目が射たれて瀕死の苦い息の中から7人のガンマンの頭目に聞く。「なぜなんだ。こんな関係のないところになぜ命をかけるんだ」。義に応じて立った戦いだ。返事はない。今回の市場介入には理由があったが。

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