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2011年3月20日 (日)

映画「ブラインドネス」と東北関東大震災の日本経済への打撃(546回)

 「ブラインドネス」はノーベル賞作家サラマーゴの小説「白い闇」の映画化。私は大傑作と思う。2008年カンヌ映画祭のオープニング上映だけでなく本命コンペ部門にも出品されただけのことがある。監督フェルナンド・メィエレス。主演ジュリアン・ムーア。

 どこかの外国。町の真ん中で日本人の若い男性が運転中の車を急停止させる。突如としてこの男は失明してしまった。診断した医師も全く原因がわからない。医師自身を含め失明する人が続出。政府は多数の患者を強制隔離して施設に入れる。

 失明した医師の妻は夫を支えるため、自分も感染したふりをして刑務所のような施設に入る。食糧は差し入れのわずかな量。入浴設備もない、何もかもないないづくしの生活が始まる。

 東北関東大震災のニュースには本当に胸が痛む。改めて被災者の方々に、お悔やみを申し上げる。また寒さの中、食糧も水も灯油も薬もない生活を我慢しておられる生活が、一日も早く終わることを切に祈る。

 暴力の支配する映画の中の施設と全く異なり、他人を思いやりながら生きていることが、世界中の驚嘆と賞賛の的になっている。日本人のよさが、改めて注目されていることが誇らしい。

 しかし、経済の方は、恐らく月曜か火曜に出てくる経済週刊誌で特集されるだろう。私が大手シンクタンクに対抗できるはずがないので、一応、阪神淡路大震災のときの記憶を申し上げておこう。

 第一はこのての災害のときは成長意与える短期的な打撃は過大評価されやすい。また電力の供給制限からの生産ダウンも同じ。逆に震災の復興特需も過大に見積もられやすい。要するにオーバーな予想は信じるな、ということだ。

 クレディスイスの白川浩道さんは、阪神淡路震災時との比較を行っている。

 第一に被災地の総生産規模は兵庫を中心に70兆円。これに対し、岩手、宮城、福島、茨城の4県で32兆円。

 第二は被災地の経済的損失。直接的な家屋などの建物被害にプラスして間接的な物流、生産、雇用などを合わせてみると阪神が40兆円。これに対し今回は17~18兆円。

 そこで被災地に限定した政府の緊急経済対策の規模は、阪神の3兆8000億円に対し三分の二程度で2兆円台の半ば、と白川さんは推定している。

 阪神の1995年は地下鉄サリン事件や1ドル79円75銭の超円高があり、道路などのインフラ障害も懸念されていた。それでも7~9月期まで年率3%台のプラス成長が続いた。

 今回は電力などの生産障害が注目されているが、日本の企業のこの種の対策は速い。成長率への打撃はごく軽いと考える。神戸のような都市部でなく、今回は地方の災害なので、影響は少ないと思う。

 それでも福島第一原発の問題があるではないか、といわれるかもしれない。

 しかし、英国の原子力専門化数人のミーティングの報告によると「あと1週間後には、海水注入を続けることが出来れば原子炉は冷え、大きく状況は改善される」。

 「現在の20キロ回避の政策は現状の放射能のレベルに対し適切で、東京の住人の健康に悪影響はない。」

 「日本政府からの情報は複数の独立した団体でモニタリングされ続けているが、正確である。

 また私が注目しているのは米国の空母が日本海側にいるのは、中国人民軍の日本侵略を防ぐため、という情報だ。そうかも。

 原子炉に対する海水注入を含めて米国の支援は、かなり大きい。

 米中の対立は激しく日本がしっかり復興されるためには米国は対日援助は惜しまない、と見ていい。普天間、TPP参加に伴う農産物市場開放など、対米関係はまあ日本は米国へのへの借りを作ったと考える。この件は別途またブログに書くつもり。また私は3月26日から8日間主にニューヨークとワシントンに行くので、その間はお休み。あしからず。

 映画のセリフから。日本人の男が最後に急に眼が見え出すのだが、その前に言う。「オレたちは以前はほんとうはモノが見えていなかったんじゃないか。」災害のおかげで助け合いの大切さをわかった若い人たちが多いのは、暗い時期での大きな光明だ。

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