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2011年3月17日 (木)

映画「悪魔を見た」と円高、株安〈第545回)

 韓国映画のクライムものの秀作。パンフレットにニーチェの言葉が引用されている。

 「怪物と闘うものは自らが怪物と化さぬよう心せよ。」その通りで、この映画に出てくる悪の化身がスゴい。あのレクター博士を思わせる狂気が全身から発散する。「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクが怪演。

 自分の婚約者を惨殺された国家情報員(イ・ビョンフォン)が独自捜査でこの犯人を見つけるが、左の手首を折ってGPSを入れたカプセルを飲ませ、解放してしまう。

 目的は犯人にさらなる苦痛を与えることで、次の犯行に及ぼうとすると情報部員が必ず現れてぶちのめす。しかしとどめはささない。そのうちに苦痛を与えることに快感を覚え始めるー。

 前回、13日に書いたこのブログで、私はヘッジファンドの円高戦略が恐るべきことをもっと警戒せよと主張した。

 その後わずか5日目。対ドル76円台に。1日で3円50銭も暴騰。しかもニューヨーク市場で、である。派手にやってくれたものだ。

 再びこの円高について説明する。

 ヘッジファンドは何か大量の買いをいれると、その分どこかで売ってヘッジする。だからヘッジファンドだ。

 今回は原油の先物市場で大量買いし、その分ドルを売った。売ったといっても通貨市場での売りだから代わりにどこかの通貨を買う。そこで円が買われた。地震と津波と原発という三重苦の中で、円が弱いどころか強くなるという奇怪なことになったのは、このヘッジファンドのせいである。

 表面上の円買いの理屈は「95年の阪神淡路大震災の時にはやはり円高だった」。何を言っている!

 私は94年9月に当時の米クリントン政権の意を受けたヘッジファンドの円高作戦を察知「95年春1ドル80円」と署名入りで一流経済誌に論文を書き警告した。

 ヘッジファンドは「日本は輸出国だから生産者物価で、一方米国は輸入国だから消費者物価で計算し、購買力平価で妥当円レートを算出する」という理屈だった。

 今回はそちらは放棄し、損保会社が外貨建て資産を売却して円に替え、本国送金するーというストーリーだ。これは損保協会会長が否定している。

 17日にこの否定報道があり、また売買量から見てとりあえず76円台で目先は止まる可能性大。

 17日にセミナーを開いた若林栄四氏は以前から「2012年74円」が円高の大天井、という見方を早くから公表していた。同氏はこの見通しは変えていない。しかし同氏は「原発騒動は今月一杯で終わる」という楽観論に立ち、「3月末に82円以下で終われば、その後6ヶ月で80円台の上の方(88~90円)までドル高」と見ている。従来も適中させてきた人の意見だけに貴重だ。

 私が最も円高対策で待っているのは、短期金利の引き下げ、具体的には0.1%から0.01%へオペ金利、当座預金付金利を引き下げる。

 いま民間金融機関(外銀も含む)の日銀当座預金のうち必要準備を超過する分に0.1%の利息をつけている。この政策は2008年11月に導入され、当初2009年3月までのはずだったが、いまだに実施されている。

 このためドルを売って得た円資金を、外銀の日銀に預けている。この残高は急増している。0.1%は米国並みで、日米の金利差はゼロだが、これが円高の要因になっている。

 要するにドルと円との短期金利差を再拡大させない限り、円高基調は不変である。日銀の猛省を望みたい。

 映画のセリフから。ラストに主人公は犯人に言う。「お前には死んだ後も苦しんでほしい。」これがこりずに何回も犯行を重ねた悪のシンボルの最後。そろそろヘッジファンドのカラクリに当局も気がついてもいいころだが。

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