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2011年5月19日 (木)

映画「チャイナ・シンドローム」と福島第一原発(第557回)

 映画「チャイナ・シンドローム」は1979年3月16日公開、わずか12日後にペンシルバニア州スリーマイル島原発で事故。そのせいで大ヒットしたが、作品も立派な出来で、同年のアカデミー賞で4部門にノミネートされた。

 題の意味は原子炉の炉心でメルトダウンが発生したら、地球の反対側の中国まで溶けて突き抜けていってしまうーという科学者のジョークから。これでシンドローム〈症候群〉ということばが定着した。

 舞台はカリフォルニアの地方TV局。女性リポーターのキンバリー(ジェーン・フォンダ)は原発のドキュメンタリーの取材に。所内見学の最中に何らかのトラブルが発生、そこは撮影禁止の場所だったがカメラマン(マイケル・ダグラス)は密かに記録。これを原発の専門家に見せると重大は事故の寸前だった筈と。会社側はひたすら隠す。

 現場の管理者ゴデル(ジャック・レモン)は原子炉の生産者のずさんな工事に問題があることに気付くが、利益優先の経営者は問題化を恐れる、新しい原発の認可が近いためだ。

 311から2ヶ月。もう国民は1号、2号、3号炉がメルトダウンしていたことを知っている。 圧力容器の内部の推移が下がって燃料棒がカラだき状態になり、落下した燃料が高熱を発して圧力容器に穴を開けている。核反応を起こす「再臨界」には至っていないが、第一号機を水で冷却する方法はもう採用できない。高い濃度の汚染水が海洋に流出するか土壌汚染が拡大しているか、最悪の場合、その両方になる。

 原発問題の収束はまだまだ何年か先になること確実。その間に、東北地方だけでなく、首都圏を含めた意外な地域、海域に放射能汚染が拡大。「なわいそうな震災の被害者」が一転して「世界に放射能汚染をバラまく無神経は加害者」に日本のイメージが変わってしまうかも。私にはそれが怖い。 

日本のイメージダウンを引き起こしたのは、政府と原子力学者だろう。

 危険を過小に見せようとする政府、いわゆる専門家の「安全です」といい続けたウソ。国民の信頼はトコトン失われた。

 経済見通しのほうも、ガラリと変わってしまった。あっという間に全財産を失った実例を見ているのだから消費者心理が悪化するのは当然。16日発表の内閣府の4月の消費者態度指数は前月比マイナス5・5ポイント。

 3月に大震災の影響で、前月比マイナス2・6でこれは過去最大だったが、その下落幅をさらに上回った。私は大方のエコノミストが主張している「V字型回復シナリオ」を信じることは出来ない。しかも官内閣は8月に決定する第二次補正予算作成時に増税を決める方針。

「日本離れ」と「増税」の組み合わせは、株式市場には最悪だ。

 私はこの311の前は財政再建は大切と考えていた。しかしデフレと円高を招く増税はこのタイミングでやってはいけない。日本の危機にダメ首相を抱え、しかも後継者が見えてこないのが私を弱気にさせている。

 映画のセリフから。女性キャスターは現場の監督者ゴデルに訪問時の事故の真相を聞こうとする。「大衆は実際は危険にさらされていたんですか?」「いや原発はいかなる事故にも対応済みです。あらゆる事態にシステムが働いて事故になりません。」現場監督を演じた名優ジャック・レモンは決まり文句を言いながら表情で、実はウソだいと告白している。

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