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2011年5月16日 (月)

映画「アンノウン」とQEⅡの終了と株、商品〈第556回)

 全米初登場ナンバー・ワンとなったアクション・サスペンス映画。主演は「96時間」でやはり見事なアクションを披露したリーアム・リーソン。

 植物学者のマーティンと妻のリズは冬のベルリン空港に降り立つ。学会出席のためホテルに到着したところで、空港に大事なアタッシュケースを忘れたことを思い出す。飛び乗ったタクシーが事故に巻き込まれ川に転落。マーティンは気を失ったまま病院で4日間眠り続ける。

 目が覚めたマーティンは空港に到着したあたりは記憶にあるが、あとは空白。漸く思い出してホテルに駆けつけ妻に声をかけると「どなたですか?」と意外な言葉。しかもそのわきにいる自称「夫」は自分の名のパスポートを持ち、妻と新婚旅行でとった写真と同じものを持っている。ポーズも笑顔も同じだが、自分でなく、その男と。オレは誰なんだ?

 富国生命の市岡繁男さんが重要な情報をご注進してくれた。米FRBが昨年11月から実施している量的金融緩和政策QEⅡが、予算ワク6000億ドルを期限の6月末に先立って5月4日にほとんど使い切った。つれて5月5日から、米FRBの供給する通貨(マネタリーベース)が急減を始めた。

 マネタリーベースに連動している市場はずい分と多い。株式、原油あたりがその代表だ。ちょうどマーティンが自己を証明するもの(パスポートや免許証など)が全くなくて「支えがなくなった」と感じたように。

 前回のQEⅡでは2009年3月6日から2010年4月までの緩和期には上昇していた米国株と原油価格は、8月まで下落を続けた。

 今回は原油、銀、それにインド株など途上国株も5月早々から下落に転じた。米国株はあと3,4ヶ月で下がり始めよう。私はこれを「エコノミスト」誌1月25日号で指摘したが、恐らく87年型のトリプル安の形をとるに違いない。

 市場の噂だが、ジョージ・ソロス氏が金・銀を売却した。金はETFの形で14トンしか保有していないので、まあ大したことはないが、流石に動きが早い。とりあえずドルキャリー取引による金買いをまき戻しで、影響は円高、ユーロ高に出ている。

 金については心配いらない。米国株、途上国株、原油、銅などQEⅡが始まった2009年3月に比べると、3~4倍上昇したが、金は2倍いかない。

 IMFの調べだが、1~3月期にメキシコ中銀が100トン、タイ中銀は9トン、ロシア中銀も18トン購入した。またオンス1500ドル割れではインドで祭礼需要とも重なって記録的な金現物買いが入っている模様。

 銀の3割以上の下落の方は心配いらない。主因が商品取引所CME。証拠金引き上げで実に連続5回も実施された。これで主に個人投資家が強制的に投売りさせられた。金と銀では支えが違う。私は金に対しては強気だ。

 先週このブログで私は日本の今後への不安を書き、今週から少しは明るいことを書くと述べた。

 しかしー。日産自動車のNYのタクシー受注ぐらいしか、いいことは見当たらなかった。その宿題は少々先に。

 映画のセリフから。マーティンが言う。「自分が自分であることを証明するものを持っていないんだ。」これまでは株も商品も、たっぷりあった。マネーが上げる証明だった。これがなくなった。

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