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2011年5月 3日 (火)

映画「エアフォース・ワン」とビン・ラディン殺害とオバマ再選〈第553回)

 1997年、ハリソン・フォード若かりしころのヒット作。

 米国とロシアの協力でカザフスタンの凶悪な独裁者ラデクが逮捕される。命令を下した米マーシャル大統領はモスクワで「テロには決して屈しない」と宣言し、大統領専用機エアフォース・ワンで帰途に着く。

 しかし機内にはロシアのTVクルーを装った6人のテロリストが潜入している。テロのリーダーのコルシュノフは大統領の家族や側近を人質にとりラデク釈放を要求する。苦悩する米国政府首脳。その中で辛くも難を逃れた大統領は単身、テログループに戦いを挑む。

 5月1日深夜、オバマ大統領はオサマ・ビンラディンの殺害を発表した。しめくくりは「正義は行われた。」

 あの911の仇討ちができた、と喜ぶ主に若い人々の姿をTVは報じている。米国人は「戦勝」が大好き。「USA」と絶叫するのを見てマッチョだとかカウボーイ文化と笑う向きもあろう。またあの911はアルカイダ側から見れば自己チューで勝手に変わる米国の外交方針のせいだ、というだろう。

 しかし政治的な大イベントとしては意味は重大である。

 このところのオバマ大統領は不人気で、利にさといヘッジファンドのマネジャーたちはどんどん共和党支持にクラ替えしていたほどだ。

 しかし、オバマ支持者だけでなく保守派もこの10年の反テロ戦争がひとまず終わったことを評価せざるを得ない。当然オバマ支持率は上がるに違いない。

 また来る9月には911の10周年追悼行事が行われるが、オバマ大統領の主役を演じる。

 オバマにとっては好材料は多い。まず7月に予定されていたアフガンからの米軍撤退を勝利宣言とともに実現できる。また軍事予算の削減をしやすくなった。財政赤字問題で追い詰められていたのだが、救いが出た。

 またカダフィー追い詰め、辞任又は亡命の作戦も共和党が言う「反政府はアルカイダ」という批判をかわせるし、イエメンやシリアでもオバマは安心して民主主義支持を訴えられる。

 作家の冷泉彰彦さんは、米国の対中国戦略の変化を予測している。

 これは両面作戦で、中国がアフガンの秩序形成に協力すれば鉱山収益などをエサに「善玉」として協力してもらう。逆にアフガンを足場にウィグルを含めた中央アジアに進出する野心を示すならば、悪玉として国際社会に認識させる。

 恐らくクリントン国務長官が考えている戦略を、以上のように冷泉さんは述べている(from911/usaレポート512回)。

 米国内ではオバマ再選の可能性が高まり、共和党の実務をよく知る実力派候補が予備選に出てくるだろう。また日本はアルカイダの報復がなければグッドニュースだし、中国の膨張圧力が西へ向かえばこれも日本にとって助かる。

 株式には勿論、ドルもこれで上がるだろう。いい材料が出たと思う。勿論短期で、だが。

 映画のセリフから。独裁者逮捕が遅れてその間に被害者が多く出たことを悔やんで大統領は言う。「これからは米国の平和より正義の遂行を重視する。〈テロリスト達よ)恐れるのは、お前達だ。」平和を重視してもらいたいものだが。

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