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2011年6月19日 (日)

映画「アリス・クリードの失踪」と原発と日米不信(第562回)

 映画「アリス・クリードの失踪」は最近での恐らくベスト3に入る傑作。J・ブレイクソンという若い監督の第1作とは信じられない。

 若い男と中年男の二人が、綿密な計画もとに富豪の一人娘を誘拐する。登場人物はこの三人。

 映画が始まって10分間、犯人二人が工具や備品を調達して車の荷台やアパートに細工し、誘惑したアリスの両手両足もベッドにくくりつけ、衣服を切り取って裸にする。冷静で一言もはっしない犯人とアリスの泣き叫ぶ声。見事なオープニングだ。

 主犯の中年男が外出中、若い男は覆面を外してアリスに素顔をさらす。実は二人は恋人同士だった。金を手に入れるために仕方なかった、と男。

 そこに戻ってきた主犯は裏切りに感づき、気付かれたことを若い男も感じる。そこらから逆転に逆転。疑心暗鬼の中での三人の心理と行動。そして意外や意外の展開へ。

 

 疑心暗鬼は、いまの永田町も同じ、日米でも同じ。

 ニューヨーク・タイムズ紙は去る12日、「原発危機に輪をかけた不信」という長文の記事を掲載した。日米間で事故直後どんなことがあったかを綿密に調査してある。なぜか日本で紹介されていないので、ご紹介する。

 NYタイムズ紙の記事は菅首相が事故発生直後、原発について知識を持ち合わせない「一握りのアドバイザー」に頼った経過を確認している。

 理由は市民運動出身の菅首相が、官僚と業界の癒着に疑問を持ちながら、政治家のキャリアを積んだ人物で、とくに原発がらみが「最悪の癒着(松本健一内閣官房参与)」とみていたこと。それに東電から正確な情報が入らなかったこと。

 その結果、計画されていた「危機管理システム」が生まれなかった。

 同紙は菅直人支持者の中でさえ、このシステムを使っていれば、より速く果敢な対策が出来ていたかも、との声を伝えている。

 まだ、ある。文科省の放射能汚染シミュレーション「SPEED I」を官邸が知ったのは事故発生後5日後、なぜかと民主党議員が文科省に聞くと「官邸から言われなかったから」だった。

 米国は日本に支援を申し入れたが、菅首相はなぜか拒否した。このため両国はギクシャクした関係になった。 オバマ政権は48時間以内に米原子力規制委員会(NRC)の専門家チームを日本に急派、同時に空母艦載機による測定で、日本政府が事態を過小評価していると見た。

 そこで「情報共有」を拒み続ける菅政権に圧力をかけた。

 3月16日には米国人80キロ圏外避難をルース大使を通じ日本政府に通告。その後「もしトーキョーが情報共有を拒み続けるなら、在日米軍そのものの一部の引き上げ開始」も示唆した。

 そこで3月21日に米側からNRC大使館、米軍当局者など50人と、日本側は関係する五つの省庁、保安院、東電など関係者が出席した。その初回協議に先立ち日本側は打ち合わせを行ったが、これが日本側の関係者が一堂に会した最初だった。

 ―以上がNYタイムズ紙の記事の概要である。

 皆がいうように原発事故は人災だ。初めて被災者の皆さんにお見舞い申し上げるとともに、こうした首相がまだ肝心の退陣時期を表明しないで、内閣改造で延命しようとしている。また後継者も明確に見えてこない。

まさか、と思うが原発に絡んで解散、という〈菅首相のオドシに決まっているが〉声も、聞こえる。いいかげんにしてほしい。

 映画のセリフから。中年男の主犯が食欲のない若い男に言う。「もう9時間もたっているのに食欲がない?それは悪い兆候だ。」ムリに強制して食べさせる。首相に苦い薬を飲ませる人はいないものか。

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コメント

情報共有は重要ですね。情報共有が行われなかったせいで事態が悪化したのであれば大問題です。

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