今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ


« 映画「SUPER8/スーパーエイト」トアジア進出〈第564回) | トップページ | 映画「ラスト・ターゲット」と私が手を叩いて喜ぶニュース(第566回) »

2011年7月 1日 (金)

映画「もしドラ」と中東民主化革命と原油備蓄放出(題565回)

 映画の正しい題名は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」。

 原作の岩崎鳥海はAKB48の育ての親、生みの親の秋元康が製作者の一人。そして主演はこのグループの代表格の前田敦子。アイドル映画には違いないが、野球を絡めているところが面白い。

 重病で療養中の友人の代わりに、みなみが野球部のマネージャーに。しかしエースを初め野球部員は練習をサボり、監督も見てみぬふりの事なかれ主義。

 励ますつもりで、「野球部を甲子園につれてゆく」と宣言してしまったみなみは、本屋でドラッカーの名著を手にする。そこで「マネージャーの身につけていなければならない資質がある。才能ではない。真摯さである。」の言葉に打たれる。

 ドラッカーの教えに習ってチームをリードしてゆくみなみ。強くなってゆくチーム。

 中東の民主化革命について、東大の山内昌之教授にお話を伺う機会があった(経営塾フォーラム629日)。ご存知の通り中東問題の第一人者だ。

 内容豊富でまとめるのは難しいが、シリアの今後の動向がカギ、とのことだった。

 まず今回のチュニジアやエジプトの民主化運動は①法の支配②自由③豊かさを求めたもの。アルカイダのような反米イデオロギーや、イスラム対キリスト教といった宗教的衝突ではない。

 背景には若年失業者。中東の人口の6070%は、25歳未満で、しかも失業率は2425%。恐怖によって支配してきた政権の、民衆の民主的発言を封殺して来た体制の崩壊。

 映画で高校生のチームがどんどん変貌していったように、起こるべくして起こった革命、といえそうだ。

 シリアが注目される理由は多い。歴史的にイスラエルとの戦争を前提にしながら権力を維持してきた国だし、スンニ派が人口の60%を占めながらアサド大統領のアラウィ派は12%に過ぎない。

 隣接するトルコもイランも減体制維持を願っているが、改革推進を願うトルコと抑圧を奨めるイランとにわかれる。

 710日、現体制は民主化への提案を行うが、内容が注目される。

 原油消費国としては、中東革命が原油の供給に支障を起こし価格上昇―というのが何よりコワい。だからジャスミン革命が、サウジ王政に影響を与えはしまいか、と懸念されていた。

 そこへIEAが623日、リビア戦争に伴う原油価格高騰を防ぐという名目で、これから1ヶ月間毎日200万バレル、計6000万バレルの放出を決めた。半分は米国、残りは西欧諸国と日本(1ヶ月で790万バレル)が放出する。この決定で10%近く価格は下落した。

 ひとまず安心、であるが、2,3ヶ月先の状況を考えると楽観できない。それはOPECの主導権を握ってきたサウジの指導力低下があるからだ。

 68日のOPECサミットで、サウジ提案の増産案が否決された。米欧の要望が、イラン、ベネズエラなどの反米勢力に、米国撤退の時期が近づいたイラクがシーア派の力が増して参加し、否決につながった。手ごわくなったOPECは原油高を願うだろうし、容易でないと思う。

 映画のセリフから。想像の中のドラッカーがみなみに言う。「君はもうわかっているはずだね。今、何をすべきか。」「逃げないことです・・・。もう逃げません。」現実の厳しさから、逃げないことだ。

« 映画「SUPER8/スーパーエイト」トアジア進出〈第564回) | トップページ | 映画「ラスト・ターゲット」と私が手を叩いて喜ぶニュース(第566回) »