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2011年7月30日 (土)

映画「マイティ・ソー」と中国高速鉄道事故と上海株(第570回)

 「マイティ・ソー」は全米でヒットしたこの夏の娯楽大作。原作はアメコミのヒーロー漫画で北欧神話が元になっている。

 神の世界の最強の戦士ソーは血の気の多い性格の王子。氷の巨人たちとの戦いでやりすぎ、戒めのため神の力を取り上げられ地球に追放される。

 ソーは地球で美しい宇宙物理学者と恋に落ち、そこで自分の傲慢さに気付く。謙虚さを学ぶ。また追放の一因が弟の陰謀にあったことにも気づく。

 7月23日の中国の温州市で発生した高速鉄道の追突事故は、恐らく中国の最高指導者層の権力争いにも影響を与える。上海株式市場の反応はそれを暗示している。

 中国の鉄道部(日本の省)は巨額の予算を自由にし、公安警察まで持つ。この担当大臣劉志軍が今年2月に汚職で解任された。10億元の賄賂があり、愛人18人もいたと報じられている。

 「2020年までに新幹線1万6000キロ建設」「時速350キロ」の掛け声の張本人で、しかも江沢民全国家主席に率いられる上海閥の有力者だった。

胡錦鋳=温家宝政権にとっては、自派(共青団派といわれる)勢力の拡大のチャンス。責任追及をすればするほど世論の支持は上がる。

 事故の背景追及の担当者は上海派の張徳江副首相だが、始めは隠蔽していたが、次第に世論に押されて、事故が人災であること、建設に当たって大幅な手抜き工事があったことが判明しつつある。

 江沢民の重病(脳死状態とも言われている)の影響もあって、明年の党総書記兼国家主席の選出にも変動があるかも。習近平が江沢民の後押しで胡=温体制に近い李克強を追い抜いたのだが、再逆転もありそうな雰囲気である。

 実は問題は高速鉄道だけではない。

 雲南省で完成したばかりの国道が開通2ヶ月で崩壊事故が発生「世界で最も短命なハイウエイ」とされた。昨年完成の広州大劇場は完成後5ヶ月で天井、外壁に亀裂が走り雨漏り。

 基本的に中国の公共事業は「建設して関係者の利益を出すための設備」で同時に「世界一と自慢するための設備」でしかない。だから広州南駅の建設は当初予算の十数億元が、現実には十倍の148億元に化けた。鉄道建設関係者の不法所得のせいだ。中国国民はそれを知っている。そこで怒るのだ。

 中国メディアが報じた鉄道部ファミリー企業、たとえば今回事故を起こした中国南車、信号変電設備の青島特鋭電気、鉄道建設の中国鉄建など+数社はすべて大幅に値下がりした。上海株式市場そのものも軟調だ。

 高速鉄道の開通で値上がりが見込まれていた地方の土地価格も下落しそうだ。

 このブログをご覧の方は、私が注おく経済そのものに弱気なことをご存知と思う。今回の事故はそれを裏付けた。

 ちなみに中国のスレ。当初死者35人と公式発表された(東方衛視は63人と報道)。河南の炭鉱事故35人、重慶の大雨35人、雲南の大雨35人。なぜか?36人を越えるとその市の共産党委員会の書記長が免職になるからだとさ。死亡者名が正確に公表されるほど、中国がマトモな国なら世界中が幸せなのだが。

 映画のセリフから。ソーが父の神様に言う。「私はまだまだ未熟ですが、いつか父王の誇りといわれるような男をめざします。」このセリフを私が引用した意味、おわかりでしょうね。

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