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2011年7月10日 (日)

映画「プッチーニの愛人」と中国のインフレと不動産バブル(567回)

ヴェルディィと並ぶイタリア音楽界の巨星プッチーニ。「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トスカ」「トゥーランドット」など歌劇の傑作を数多く残した。

 天才プッチーニは稀代の漁色家で、新作オペラにとりかかるごとに新しい女性。妻は神経をとがらせ、いじめでメイドのドーリアが自殺する。

 プッチーニ死後、実はドーリアは無実でその従婿妹で、別荘の近くで酒場を切り盛りする女性が、真の愛人。ドーリアは手紙の受け渡し役にすぎなかった。

 いじめを見て見ぬふりをする男。従姉妹を守ろうとして甘んじて非難を受け、ついに自殺へ追い込まれる女性の英雄的行為、ベンベヌーティ監督はほとんどセリフなしの映画でこれを表現した。

 オペラの音楽は使わず、「西部の娘」のピアノ××が弾かれる。映画の最後にシューベルトの「死と乙女」がひびく。

 中国の食料品を中心としたインフレはご存知だろう。最近月の消費者物価上昇率は前年同月比6%だったが、実は食料品の比重を下げて表面上の上昇率を押えただけ。実際は11%だった。

 ニンニク、豚肉など中国人の食卓で欠かせない品目はここ2年間で何倍にもなり、庶民の怒りは大きい。

 同時に富める者がますます富んで不動産バブルにも批判が高まっている。底で4月に不動産規制が打ち出され、2軒目、3軒目に付いてはローン頭金や金利の負担引き上げ、このためマンション中心の投機買いは痛手を被りつつある。

 収入が年4500万円しかない中国人が、6000万円とか1億円のマンションを、2軒も3軒も買うという信じられない購買意欲は、言うまでもない。値上がり益を狙ったものだ。

 在庫8000万戸!価格が下がり、しかも金利が上がれば、売却しなければならないが、売れるはずがない。年収の20倍ある物件に簡単に手が出せる人は少ないだろう。

 同時に、中国のここ何年間の成長を支えてきた社会資本投資(GDPの何と60%!)に、いろいろな形でのひずみが出始めている。

 まず新幹線。上海=南京340キロ、武漢=広州1068キロ。両方とも10両編成で1時間1本走っているが、1両5~6人しか乗っていない。従来線の3倍の料金のせいもあろう。

 武漢も広州も駅は市内からバスで1時間ぐらいかかる辺鄙な土地に作られて、営業収益が出るはずのない鉄道だ。

 新幹線を作ることで関係者は儲かったのだからそれだけで十分。あとは知ったことではない、ということだろう。権力を持つ階層の身勝手だ。

 自動車もTVなども同じ。補助金や助成金などの優遇政策で今後数年間の需要の先取りが終わってしまった。

 ウオーレン・バフェット氏が出資して話題となった電気自動車のBYDなどは、新車e6の販売は遅れに遅れた。また試乗してみたウオール・ストリート・ジャーナルの北京支局にうかがってみたら、e6の乗り心地は悪いしデコボコでひどいしろものだ、という。また株価は業績悪で売られており、バフェット氏の投資は引き上げ、最悪の場合は倒産―の噂さえある。

 矛盾が一挙に噴出して北中国。中国ファンドのジム・ロジャーズはヘラルドトリビューン紙に「不動産バブルの崩壊?投資の世界のことだからね。ありうることだ。」と率直に述べた。私も、90年から91年のあの日本のバブルと同じ点がずい分多い、と考える。

 中国は、世界のセメント53、鉄鉱石48、アルミ42、銅39、ニッケル36%を消費している。建設や固定資産投資に多く消費される素材ばかり。中国経済のバブル破裂は、まずオーストラリアドルがまず下げよう。要注意だ。

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