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2011年8月 5日 (金)

映画「ハリーポッター」シリーズ完結と為替介入、株安(第572回)

2001年の「賢者の石」が刊行されたとき、私はすぐ読んで夢中になった。

 実は私はファンタジー小説が大好きで、あの大長編「指環物語」も「ナルニア国物語」もNYで冬のひとりの暮らしの時によく読んだ。

 しかしハリーポッターはそれまでの、完全に別の宇宙を作った作品に比べ、日常と別世界でつながっている。そこにひかれた。

 ロンドンのキングズクロス駅からカベを突き抜けてゆくと魔法学校に行く汽車が出る。学校生活にも実感があり、無名の主婦が書いたと思えない楽しさがあった。

 あれから全8作。全世界で本のほうは4億5000万部。日本では2500万部という大ヒット。映画も興行収入トップを何週も続けている。3D.

 主人公ハリーは孤児。魔法を勉強しているうちに両親が悪の世界に殺されたことを知る。美少女ハーマイオニーとお人よしのロンの三人組の友情が軸。

 ハリーと悪の宿敵ヴォルデモートの対決が結末にあるが、これまでのナゾが全部解きほぐされる。

 前回のブログで私は円高の理由は日銀の量的緩和が足りないからだ、と書いた。そこに本日(8月4日)日銀は売り介入と資産買い入れ額増額など量的金融緩和を決めた。

 「どうイマイさんはお考えですか?」

 「まず、株式市場の動きから判断しますとたいした効果はなさそうです。」

 日経平均は22円高だったが、TOPIXの方はマイナス0.39.上昇の幅は介入直後に108円高だったが、高値から見ると109円安。今後も1万円大台は見込めまい。

 為替レートのほうも対ドル77円台が79円台になったが、82円に行けば万歳。その可能性は少ない。

 というのは日銀の金融緩和の仕方がセコいからだ。

 資産買い入れ基金を40兆円から50兆円にしたが、試算買い取り部分が10兆円から15兆円にしかなっていない。残りは固定金利の資金供給オペ。これでは効果は少ない。

 三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二さんに聞いてみたが、同じく「不十分じゃないですか」。

 二人が一致したのは「これで市場に76円台で食い止めたいという意志は伝わった」ということだ。 映画のヴォルデモートのように大震災後の日本経済に撮り、円高は「悪」だ。内需の回復が大したことがなさそうなので、輸出に景気の重荷がかかる。

 しかもドルもユーロも切り下がる公算が大きい。それぞれキズを抱えている。高失業率とソブリンリスクだ。

急速に好転する問題ではない。しかも先日の米国財政赤字上限きり上げに絡んで、来年後半あたりから米国景気減速が見えてきた

 結論。私のお好みだった山口百恵さんのヒット曲。「これっきり、これっきりもう。これっきりでぇすかあ」。株も為替もいいことにはなるまい。残念だけど。

ついでに。NY市場からはじまるドル安、株安はわたしが年初から言ったとうり。

 映画のセリフから。ハリーが言う。「勝負に必ず勝つという意志の固さで決まるんだ。」政府としての意志が固い、と市場が受け取れるか。近く退任する総理じゃあ、ねえ。

 むしろ投機筋には、次の目標値を与えただけ、というのが私の見方。悲観的だが,すみません。

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