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2011年8月30日 (火)

映画「パルプ・フィクション」と野田新政権(第577回)

 鬼才クェンティン・タランティーノが一挙に声価を高めた1作。娯楽映画に徹しながら感覚的には奇妙な新鮮さがあり、物語の意外や意外の展開にも面白さがあった。

 パルプは紙の原料だが、転じてザラ紙とか粗悪な紙に刷られた低俗な雑誌、本という意味もある。意訳すれば「俗悪小説」。

 レストランでの男女二人の強盗に始まり、貸し金取立て屋、しがないボクサーや黒人の大ボス、その情婦などなど。ジョン・トラボルタがこの作品で一挙にカムバックした。

 民主党の代表選で野田佳彦氏が海江田万里氏に逆転勝ちし、第95代総理の座を射止めた。

映画に登場するハーヴェイ・カイテル演じる死体始末屋に似て、前任二人のいわば尻拭い役だ。ご苦労様。

 私は野田氏を知らなかったが、8月18日に幕張ニューオータニで行われた内外情勢調査会で1時間半の講演を聴いた。

 分かりやすく内容も充実していて、ご本人も認めるとおり、ドロ臭く派手さはないが堅実、着実で私は好感を持った。54歳という若さにもかかわらず、発言に気配りがきいているのにも注目した。

 海江田氏はもともと反小沢だったのが、票欲しさにマニフェスト堅持を飲んでしまった。あれでは実質的な小沢氏の代理人かカイライなので投票に二の足を踏む。

それでも興石氏を幹事長にしたが、前任の菅氏が最大の党内派閥による足の引っ張りで、何も出来なかったのを見ていたからだろう。また興石氏では「解散はないナ」というヨミにつながる。

 私は候補5人の演説を聞き比べて、野田氏が最も円高問題に関心が深く、また財政再建と社会保障とのかかわりに、はっきりとしたビジョンを持っていることに留意した。

 私は不況下での増税は気狂い沙汰だと思うが、タイミングを見計らってーと述べていることにも、当然のことながら、現実的と考える。

 民主党政権になって、鳩山、菅の二人の総理がいかに日本というこの国に迷惑をかけたか。国家最大の責任者が一つ覚えのように政治主導を振り回し、ろくに周囲に相談、勉強をしないで思いつきの人気が取れる(かも知れない)発言ばかり、というまことに首相にふさわしくない人物の政権が2年も続いた。

 周囲からの情報も含めて、3度目の正直、で今度の首相は相当やる、と私は思う。何よりも安定感がある。

 大連立。私は自民党のある首脳から「総理の座をよこさなければ大連立に応じない」という言葉を聞いたことがある。

 うっかり閣内に入れると、安全保障、外交がらみで民主党のやることに従がわされてしまう、では政策協定、となるが何年協議しても結論が出るわけがない。だからーという。そこを野田首相がうまく調整できればたいしたものだが。まああまり実現は期待していない。

 それでも復興が進行し、行政も政治的な手配りともキチンと対応するであろう人物が登場する。この方を大いに期待している。

 映画のセリフから。黒人の大ボスがボクサーに言う。「年をとるとワインのように立派になると思っているヤツもいる。しかし、現実には酢になってしまうもんだ。」鳩山、菅より若い総理。人気は高くないが、50代という若さに期待したい。どうぞ、ガッカリさせないでー。

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