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2011年9月24日 (土)

映画「ザ・ウォード/監禁病棟」と世界的株暴落(第583回)

 ジョン・カーペンター監督が10年ぶりに作ったホラー映画の佳作。ヒッチコックの名作「サイコ」にヒントを得たと思われる脚本づくりだ。

 若い女性クリステンが農家に放火、警察に拘束され精神病院へ。独房のような病室には同じような年齢の女性が4人いて監禁されていた、この4人が次々と姿を消してゆく。

 脱走を企てるクリステンに恐ろしい姿の女性の怪物が襲いかかる。逃げても逃げても追いかけられる恐怖感。

 FOMC(米国連邦公開市場委員会)でツイスト・オペが決まった途端、世界中の株式市場、商品市場で大幅安。とくに銀行株の下げ方がひどい。

 私がずっと弱気なことはご存じだろう。だから少しもびっくりしないが、ここまで市場があからさまにQEⅡを要求しているとは思わなかった。

 恐らく直前に共和党首脳が「金融緩和しても雇用増加につながらない」と言明したことへの反発だろうか。

 まあ本当にこれまでの金融緩和は失業を解消しなかったから、NY株式市場での大幅下落も市場のロジックとしてはわかる。大手銀行株はメチャ安い。

 しかし、映画で同室の監禁されている4人が実はある関係でつながっていたように、今回の世界一斉下げは、一種の取り付けとみると事態は深刻だ。 つまり、いまの世界のマーケットは複合危機。

米国はドルの価値下落と不況の長期化つまり「日本化」。

 一方欧州はもう時間の問題と思われる「ギリシャの借入金大幅ヘアカット。マーケットは欧州主要銀行の信用問題、ととらえてこれも取り付け騒ぎ。

 まだある。中国には不動産バブルの破裂と景気の減速。そして、これらの結果、起こるであろう世界不況。

 となると日本は、逃避先としての円投機による円高と、外国機関投資家による日本株の換金売り。そして今後起きるに違いない輸出の伸び低下。まあいいことがない。

 G20は金融システム安定のため必要な行動をとると声明したが、実効ある手が打てるか、どうか。すでに欧州主要市場は下落しており、これも不信任。

 えーい。めんどうくさい。私流の結論。

 8月早々から始まった今回の世界の株安は、映画の不思議な怪物と同じように、2008年のリーマン・ショックの後遺症が形になってしまったもの。方々に出現する。

 私の経験では、この手の大騒ぎは少なくとも4か月は続く。リーマンの時は底を入れるまで5か月かかった。同じなら年末に底入れだ。

 今回は?世界の首脳部がヤル気がない。来年は世界主要国の半分は選挙か交代だし、財政赤字の拡大はイケナイという原理主義者が各国、特に米国、欧州で主流になりつつある。

 ということは、株価底入れは、ひょっとするともう少し先かもしれない。要するに、この10月はまだまだ株価の底入れは見えない。

 底入れの見え方に、もう一つ私の経験則がある。2012年世界恐慌というような本が書店の店頭にスラリと並ぶ(もう何冊か出ているが)。これがそろそろ騒ぎが終わり、の合図だ。

 本を1冊書いて印刷し書店に配るには時間がかかる。書くにはチャンとしたストーリーが必要だし。出来上がるころには、現実は一歩先に進んでいる、というわけ。ま、もう少し時間が必要。

 映画のパンフレットにカーペンター監督の言葉がある。「これは死んで生き返った死体が出てくる幽霊の物語だ。」現実もまだ、米国の住宅バブルの時のデリバティブの幽霊が世界中を歩いている、これが本質だ。

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