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2011年10月 9日 (日)

映画「アンダーグラウンド」とソロス発言トメルトダウン(第586回)

 珍しい東欧映画。1995年に製作されカンヌ映画祭でグランプリを獲得した秀作。

 今回デジタル修正され再映されたので観に行ったら満員で上映期間延長。すごい人気だ。

 映画は170分の大作で、旧ユーゴスラヴィアの50年にわたる歴史をブラックなファンタジーの形でまとめた。監督クストリッツア。

 映画の始まりは1941年のナチス占領下のベオグラード。共産党員で泥棒のマルコは反ナチスのパルチザンの英雄クロと地下に潜む。ある豪邸の広い地下室で兵器を製造開始。

 第二次世界大戦後、社会主義国になったユーゴスラビア。マルコは党幹部になるが、地下で働くクロなど同志たちには、新時代になったことは教えない。

 ドイツ語のラジオ放送と空襲警報でまだ占領下と思わせ、地下室で生産した兵器を国外に流して私腹を肥やす。

 

 1961年、クロは息子と地上に出て、英雄として死んだといわれる自分が、主人公のパルチザン映画の撮影現場にぶつかったり、戦車の大砲をサルが発射してしまったり、ともかく奇想天外で楽しいストーリーが展開する。歌も楽しい。

 なんと50年もマルコが同志をまだドイツ占領下と信じさせたように、マスコミが真実を伝えないと現在進行中の金融危機は、ちょっと対策が出ると「もう大丈夫」と軽視してしまう。

 

 たとえば、いつでも本音を言うジョージ・ソロス氏。

 

 6日放映されたブルームバーグTVの番組で「2008年のリーマン・ショック以降の国際金融市場の混乱は、欧米にとって、旧ソ連の崩壊前の数年間を想い起させる。」

 氏はいう。「いま欧米で起きていることは、金融市場は実際には崩壊してしまっているのにもかかわらず、政策当局の力で生きながらえている。」

 

 そして同氏ははっきり「飛ばし」といっていないが、各国の規制をかいくぐって銀行など金融機関が巨大な損失を表面に出ないようにしていることをほのめかした。

 

 去る7月ソロス氏のヘッジファンドは自分と家族たちの運用分以外は投資家に資金を返還することを決定。その直後の8月からご存じのとおり暴落が始まった。流石、というほかない。

 またBBC放送では元IMFアドバイザーのシャピロ氏が「本格的対策がなければ、あと23週でメルトダウンが始まる」と述べている。

不肖、今井澂も春先に日経ビジネス社の日経トップリーダー経営者クラブのCDで強い警戒感を述べた。それでもソロス氏の行動力には、とてもとても。

 

 なんで弱気?

 

 リーマン・ショックの前、不動産関連証券も含めデリバティブは、主に欧米で30兆ドルあり、あの危機で半分に減った。その分の富はどこかに雲散霧消した。

 

 金融機関自身の収益で償却するにはあまりにも巨大すぎる。公的資金の導入が必要。しかしとても足りない。そこに再び今回の危機。まあ残っていた15兆ドルは半分以下になっただろう。

 

 前回は流動性危機だったが今回は金融の大漢和の後だけにこちらの方はそれほどではない。米国国債などの長期債が買われたが世界中の株、商品は大幅な下落。

 

 とくに金がオンス1900ドル大台が1500ドル台にまで下げたのでご心配になるだろうが先物市場での換金売り。買い残はピークの800トンが半分以下になった。中国、インドの買いはあるし、先高期待は全く消えない。

 

 繰り返すが、心配は世界の株とドル、ユーロ。日本も株。円高が心配だ。

 

 映画のセリフから。人々をだまし続けているマルコが情報不安定な妻に「何が不足なんだ」。答えは「真実よ。」うーん、やはりー。 

 

 

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