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2011年10月29日 (土)

映画「王様と私」とタイの大洪水と企業収益(第591回)

 「サウンド・オブ・ミュージック」「南太平洋」などの作曲家リチャード・ロジャースの傑作ミュージカル。

 1951年にブロードウェイで初演され、大ヒットで1965年に映画化。同年のアカデミー賞5部門を受賞している。その後も何回も映画化。

 王様役のユル・ブリンナーは舞台で4625回も演じ、映画ではアカデミー主演男優賞を獲得。85年にがんで亡くなったがその直前まで舞台に立ち、当時NYにいた私は観に行った。上半身裸のはずだが、やはり病のせいだろう。何か羽織って出演していた。

 いい曲が多いが、特に「シャル・ウィ・ダンス?」は有名。私は「ゲティング・トゥ・ノウ・ユー」が好きで、ホームパーティで呼ばれて余興に歌ったことがある。米国人も一緒に。

 時代は1862年のシャム(タイ)。英国の子連れの未亡人アンナが国王に招かれ王子や王女たちの家庭教師になり、文化の違いに悩まされながら、次第に相互理解を深めてゆく。

 この1か月連日被害が拡大しているタイの大洪水。欧州の金融システム不安の方が騒がれているが、直接日本経済に与える打撃はずっと大きいだろう。

 SMBC日興証券金融市場調査部の牧野純一チーフエコノミストによると、影響は次の通り。

 金融を除く上場企業2089社ベースでは、この大洪水は1.5%の経常減益。純利益では3.9%減益。これは固定資産の減損を含めるため。

 とくに自動車の減益幅が大きく、経常で5.2%、純利益では12.4%の減益になる。続いて純利益でみるとゴム製品がマイナス7.8%、そのほか製造業が同7.5%。

私の見るところ、牧野さんの言う通りで自動車への打撃が大きい。

日本の自動車工業にとりタイは東南アジア最大の生産拠点で年間65万台。アジアの稼ぎ頭だし欧米メーカーを寄せ付けない日本の要塞だ。だからトヨタ、ホンダ、日産、いすゞ、スズキ、三菱自などほとんどの会社がタイで生産している。

 日本への輸出もありホンダの二輪車、日産の小型車マーチ。中近東やアセアンなどへの輸出拠点だし、収益への寄与ももっとも大きい。そこへ洪水だ。

 東日本大震災の影響で部品供給が止まり、日本の自動車メーカーはビジネスチャンスを逸し、ようやく市場シェアを挽回に転じかけたところで、ツイていない。

 自動車だけではない。キャノン、HOYA、ローム、オムロン、日本電産、NEC、パナソニック電工などなど。ハイテク企業が軒並み被害を受けている。

 対日感情が良く、労働力の質が高い。また電力供給も安定しているので、日本の企業は多く進出しており、1387社の現地法人がある。現在半分の企業が被害を受けている。

夏ごろまでは公表されている製造業関係の統計がよかったため、景気の前途に強気を唱える向きがあった。しかし私は鉱工業生産の先行指標であるスクラップ鉄の価格が安いので言われるほど良いと思っていない。

 そこに米国のいろんな問題があるので、このブログで弱気を述べた。予想通り9000円の大台を日経平均は回復したが、ここは売り場と考える。

 映画のセリフから。王様が言う。「昔は物事がはっきりしていた。白は白。黒は黒。いまは白に近い黒。黒に近い白。」表面上株価が上がるといいように見えるが、次の「谷」はそれだけ深くなる。クワバラクワバラ。

 

2011年10月27日 (木)

[猿の惑星:創世記」と金価格の行方(第590回)

 もう公開後何週間も興行収入トップを続けているヒット。チャールトン・ヘストン主演の1968年のシリーズ第1作の衝撃的なラストは忘れられないが、その映画のナゾ「なぜ猿が人間を支配するようになったのか」に迫る。だから「創世記」。

 研究者のウィルはアルツハイマー症のための新薬を開発。チンパンジーに臨床試験。知能が飛躍的に向上したことを発見。その事実の発表直前、その雌チンパンジーは狂暴化し射殺され、研究は闇に葬られる。

 しかしオスの赤ん坊が産み落とされ、ウィルは自分の家で育てる。名前はシーザー。ところが8年後、十分に生育したこのチンパンジーは、ある事件で強制的に類人猿管理センターに収容される。

 頭の悪い飼育係に虐待されたシーザーは、法に縛られ、センターに抗議もできないウィルに失望、シーザーは猿のグループのボスになってゆく。そして自由を求めてほかの収容所にいるサルたちと、人類との全面戦争に。

 人類がオレこそ支配者だと思い込んでいるうちに、いつの間にか猿に天下をとられたように。時代は大きく転換してゆく。

 9月6日にオンス1911ドルの歴史的高値を付けてから、9月26日に1524ドルまで急落。その後の金価格は1600ドルの大台にとどまっている。ご投資家の中にはジレる人も。

 5月から6月の1500ドルの大台をなかなか抜けなかった時もそうだったが、あの時は強含み横這い。すぐ上昇に転じた。

 今回は20日間でオンス387ドル、2割近い下げだけに「もう終わり」説が出るのももっともだ。

 「天井」「バブルだった」説の論拠は①7,8月の上昇が棒上げで、しかも上ヒゲの長い陰線天井②9月の世界同時株安で金が下がったのは安全資産でない証拠③金価格とドル相場、あるいはインフレとの相関性は弱い④米ドット・フランク法の絡みで銀行の自己勘定の縮小で市場の価格変動が上昇⑤金先物証拠金引上げ⑥スイスの市場介入で手持ち金の売却懸念、などなどの理屈はいくらでも出てくる。

 私はたしかに1900ドル台は天井値であった可能性はある、と思う私の著書(2008年)でもそう書いた。「2000ドルに皆が行くと思えば、その少し手前で天井がつく」。

 しかし、私の見ている金の買い材料①金はペーパーマネーに対する不信任指数②同時にアメリカにとっての不快指数③中国、インドなどの個人の金買い、は三つのバックボーンだが、これは変わらない。

 私は先日、米NBCで紹介されたウラ話を忘れない。前FRB議長アラン・グリーンスパンは講演が多くひっぱりだこで10万ドルとるそうな。主催者が「どの通貨で講演料を払いますか、ドル、ユーロ、円?」返事は「ゴールド」。

 同氏は90年代欧州の中銀が金売却したとき上院銀行委員会で米国は金を売却しないのかという質問に「金は究極の通貨だ」と述べた。目先の調整は別にして、大天井はまだ先と思う。いまのところ「2012年、2000数百ドル」とお答えしている。

 映画のセリフから。シーザーが初めて人間の言葉を言う。「NO!」。それも強制収容所のようなところから引き取りに来た育ての親ウィルに対して。市場は容易でないことを言っているのでは。

 

2011年10月23日 (日)

[チキンレース」と世界一斉株暴落②(第589回)

 本当は「チキンゲーム」というそうだが、別々の車に乗った二人のプレーヤーが互いの車に向かって一直線に走る。激突を避けて先にハンドルを切ったプレーヤーが、チキンつまり臆病者扱いされ侮辱される。

 24歳で死んだ青春スター、ジェームス・ディーンの主演映画「理由なき反抗」のチキンレースでは、二人のプレーヤーは、崖に向かって別々の車で走り、先に運転席から飛び出した者が負け。

 スティーブン・スピルバーグの出世作「激突!」でも最後はチキンレースだった。また経済学では「ゲーム理論」では重要な研究対象だ。

 でも、今年8月から展開されている米国ワシントンのチキンレースは、世界中に迷惑を与えている。いいかげんにしてほしい。

 オバマ政権と共和党が、片や社会福祉、片や増税反対で互いに譲らない。去る8月には文字通り米国国債の利子が払えないデフォルトギリギリで一応最悪の事態は免れた。

 しかし、両者のチキンレースがあの8月の世界的株価一斉急落を呼んだ。これだけ両者とも市場の警告を無視しているのだし、どうも米国景気の浮揚に、もう打つ手もなさそうだ。

 FRBの量的金融緩和QEⅢに期待はかかるが、QEⅡのときに「デフレ対策」を錦の御旗としてしまった。現在の物価上昇率3・8%では、とてもとても。

 いまの資源価格の下落から推定すると、最も早くて来年1月に2%台央、2月に1%台とみる。1か月だけではデフレというには早すぎるから、まあQEⅢは早くて4月。

 その間にオバマ大統領の人気は低下。最大の政治的成果の健康保険制度でも、強制的に加入させられるのは違憲と最高裁に26の州から要請が出ている。

 また太陽エネルギーのリソンドラ社が最近倒産したが、同社はオバマ大統領の選挙資金を提供、政権として4億5000万ドルの国家資金を投入したが回収はダメ。このほか新エネルギーのための400億ドルの政府援助のほとんどは効果がなかった。

 これだけのチャンスがありながら、共和党の大統領候補はドングリの背比べで迫力を欠く。

 だからこそチキンレースになってしまうのだろう。

 実は11月18日に前回の8月2日と同じ状況になるが、今回も無理な我慢比べと意地の張り合いになりそう。

 私が以前から懇意にしているプラザ投資顧問室の代表伊東秀広さんがわざわざ電話してくれて「暴落が近いというチャートが出ています」。

 伊東さんは2008年のリーマン・ショックの時にもピタリと当てた。この人は下げ相場を当てるのが特にうまい。私のレギュラーで出ていたTV番組で紹介し評判が良かった。

 「米国はNYダウもナスダックも上昇は完了、ダウは10404ドルを大きく下抜く足」。

 「日経平均は8243を割ると7021までは7521~7630の週足のマド埋め以外に止まり場はない。」

 「日経平均の8911近辺では“五茫星”、欧米ではデビルスターと呼ばれる急落接近を示唆する日足が出た。」

 チャート・リーディングのプロが言うことだし、私は信用する。

 八月の時には一週間で世界の株式市場の時価総額は一五%、630億ドルの損失を出した。今回はどうだろうか。

2011年10月18日 (火)

映画の名セリフと世界と日本経済のつかみ方(第588回)

 私は映画が好きだ。このブログでもずっと映画を導入部にしてカレントな話題をとらえてきた。おかげさまでずっと好評をいただいている。

 ストーリーの意外な展開。画面の美しさ、ラブシーンそして音楽―。やはり総合芸術だなあと思う。その中で、名セリフが忘れられない。

 「第三の男」のオーソン・ウエルズの「鳩時計」なんてあまりにも有名だが、あまり有名でない映画から。

 「物語の前半に銃が出てきたら、後半で必ず発射される。そんなもんだ。」(ジョニー・デップ主演の「アリゾナ・ドリーム」から)たしかに、そんな展開になる映画が圧倒的に多い。

 今の世界経済はリーマン・ショック以降の金融緩和と景気テコ入れのための財政赤字拡大の効果が出ている局面。

 これがそろそろクスリが切れかけているから、前途に懸念が出ているーと見ている。

 典型的なのが米国と中国。米国には住宅不況があるし、これからの成長を担う産業が見当たらない。シェールガスはあるのだが、主役じゃあない。

 中国は例の4兆元で確かに成長と遂げたが、使い道がまあムダ弾。半分は国有企業の能力増強で半分は高速道路、新幹線など。ともに収益性は悪い。また住宅バブルの崩壊も。不良債権問題が重荷になるのは目に見えている。

 欧州はG20で銀行の資本増強促進が決まって、まあ不安のヤマを越えた感はある。しかし自己資本比率増強は貸し渋りや信用収縮を招きやすい。これからの見通しは?と聞かれれば「さあー」と言わざるを得ない。

 要するに、「行きは良い良い。帰りはこわい」なのである。始め何となく紹介され映画に出ていた銃が、結局映画の後半でヒトを撃つように。

 では、日本は?

 もう米・欧・中より一足お先にひどい悪い状況が長く続いている。多少、世界経済の混乱で影響はあるだろうが、痛みは少ない。

 そこで思い出した映画のセリフ。

 大昔の映画「我が道を往く」で老神父がいう。「若いうちは希望の火が赤々と燃えていた。歳を取ると口火がついているだけで幸せだ」。

 それに、私が永い間、日本の希望として申し上げ続けてきた海底資源開発がいよいよ、開幕まじかになってきている。2012年度には知多半島沖でメタンハイドレートの試掘が始まる。

 そこで、また思い出したセリフを。

 「海は人生に新しい希望をもたらす。眠りが夢を運ぶように。」

 ショーン・コネリー主演の「レッド・オクトーバーを追え!」の中でのコロンブスの言葉の引用だが、いいセリフだ。大賛成!

 私は世界経済にはメチャ弱気だが、日本は大丈夫と思う。強気だ。

 そこで、最後の名セリフ。「セブン」の刑事役モーガン・フリーマンの映画のエンディングで。

 「ヘミングウェイは“この世界は素晴らしい。戦う価値がある”と書いた。後半の部分は賛成だ。」

 やはり映画は素晴らしい。明日も時間を見つけて映画館に行かなくっちゃ。

 

2011年10月14日 (金)

映画「カンパニー・メン」と米国の失業と日本化(第587回)

映画「カンパニー・メン」と米国の失業と日本化(第587回)

 「カンパニー・メン」は率直に言って批評家の点数は低いが、私には面白かった。

 リーマン・ショック以降の不況。ボストンの巨大複合企業でも大規模なリストラを断行する。主人公ベン・アフレックは年収16万ドル、恒久住宅に住みポルシェに乗る生活が突然解雇される。

 再就職支援センターに通うが求人はほとんどなく、面接にこぎつけてもかみ合わない。ついに義兄のケビン・コスナーの大工仕事の手伝いにまで身を落とす。

 このほか溶接工から重役になったがもう再出発の利かないクリス・クーパー。CEOの非情な強欲資本主義を批判するトミー・リー・ジョーンズ。みなオスカーをとった役者ばかり。

 題を直訳すれば「会社人間」。私は山一證券で30年、日債銀で7年半サラリーマン生活を送ったし、両社ともご存じのとおり、今はなくなってしまった。会社に文字通り懸命につくしたサラリーマンたちの運命も見てきた。

 それだけにこの映画の、人生に再び挑戦する男には家族の支えが何より大切、というテーマが心を打った。映画の出来栄えも悪くない。

 いまの米国の失業は表面には1410万人、失業率は9%台だが、現実にはもっと多くの人が仕事も失っている。推定2600万人。

 まだある。一家4人で年間2500ドル以下の収入の貧困家族には月間290ドルの食糧費を「フードスタンプ」としていわば食券を支給している。

 このフードスタンプ受給者が4630万人。米国の人口32000万人、労働人口半分として16000万人だからすごい比率だ。

 これは公表されている失業者のほかに、職探しをあきらめた人やパートタイム、それに「オマエは週2日の出勤でいいゾ」と言われた人がいるからだ。だから全米でデモが起きる。

 実は昨晩(1013日),ウォール・ストリート・ジャーナル紙の副編集局長アラン・マーレイ氏の講演と質疑応答があった。

 質問「今回の米国の不況は長期化し、いわゆる日本化が起きているのではないか。」

 答え「つい半年ぐらい前、日本化はあり得ないというのがコンセンサス。米国にはダイナミズムがある。FRBは対策を心得ているなどなど。しかし、ここ12か月の間に全く認識は変わってしまった。全く新しい不況、90年代の日本と似ているーという認識です。

10年?20年?私にはわからない。分かっていることは、今回の不況は戦後のあらゆる

不況より永く続いてしまうだろう、ということです。」

 私はこの見通しを早くから述べてきたので少しも驚かないが、私の米国債券市場の暴落不安説に対してのマーレイ氏の返事には少々がっくりした。

 「米国の国債に代わる大きな投資物件はないんです。だから米国債の利回りが上昇しても米国金融市場は大丈夫です。」

 この楽観論!

 時間がないので追加質問はできなかったが、私の頭の中には「カンパニー・メン」的な回答だな、ということ。11月にも起こりうると私が予想している大変事をマトモに「ありえますね」というはずもなかった!(別の機会に、詳しく)

 今回の結論。「日本化」つまり長期の不況は今や米国で定着化しつつある。

 映画のセリフから。「先は読めないが、オレはチャンスはあると思うよ。」時代は厳しいが、私はチャンスを探そう。

 

2011年10月 9日 (日)

映画「アンダーグラウンド」とソロス発言トメルトダウン(第586回)

 珍しい東欧映画。1995年に製作されカンヌ映画祭でグランプリを獲得した秀作。

 今回デジタル修正され再映されたので観に行ったら満員で上映期間延長。すごい人気だ。

 映画は170分の大作で、旧ユーゴスラヴィアの50年にわたる歴史をブラックなファンタジーの形でまとめた。監督クストリッツア。

 映画の始まりは1941年のナチス占領下のベオグラード。共産党員で泥棒のマルコは反ナチスのパルチザンの英雄クロと地下に潜む。ある豪邸の広い地下室で兵器を製造開始。

 第二次世界大戦後、社会主義国になったユーゴスラビア。マルコは党幹部になるが、地下で働くクロなど同志たちには、新時代になったことは教えない。

 ドイツ語のラジオ放送と空襲警報でまだ占領下と思わせ、地下室で生産した兵器を国外に流して私腹を肥やす。

 

 1961年、クロは息子と地上に出て、英雄として死んだといわれる自分が、主人公のパルチザン映画の撮影現場にぶつかったり、戦車の大砲をサルが発射してしまったり、ともかく奇想天外で楽しいストーリーが展開する。歌も楽しい。

 なんと50年もマルコが同志をまだドイツ占領下と信じさせたように、マスコミが真実を伝えないと現在進行中の金融危機は、ちょっと対策が出ると「もう大丈夫」と軽視してしまう。

 

 たとえば、いつでも本音を言うジョージ・ソロス氏。

 

 6日放映されたブルームバーグTVの番組で「2008年のリーマン・ショック以降の国際金融市場の混乱は、欧米にとって、旧ソ連の崩壊前の数年間を想い起させる。」

 氏はいう。「いま欧米で起きていることは、金融市場は実際には崩壊してしまっているのにもかかわらず、政策当局の力で生きながらえている。」

 

 そして同氏ははっきり「飛ばし」といっていないが、各国の規制をかいくぐって銀行など金融機関が巨大な損失を表面に出ないようにしていることをほのめかした。

 

 去る7月ソロス氏のヘッジファンドは自分と家族たちの運用分以外は投資家に資金を返還することを決定。その直後の8月からご存じのとおり暴落が始まった。流石、というほかない。

 またBBC放送では元IMFアドバイザーのシャピロ氏が「本格的対策がなければ、あと23週でメルトダウンが始まる」と述べている。

不肖、今井澂も春先に日経ビジネス社の日経トップリーダー経営者クラブのCDで強い警戒感を述べた。それでもソロス氏の行動力には、とてもとても。

 

 なんで弱気?

 

 リーマン・ショックの前、不動産関連証券も含めデリバティブは、主に欧米で30兆ドルあり、あの危機で半分に減った。その分の富はどこかに雲散霧消した。

 

 金融機関自身の収益で償却するにはあまりにも巨大すぎる。公的資金の導入が必要。しかしとても足りない。そこに再び今回の危機。まあ残っていた15兆ドルは半分以下になっただろう。

 

 前回は流動性危機だったが今回は金融の大漢和の後だけにこちらの方はそれほどではない。米国国債などの長期債が買われたが世界中の株、商品は大幅な下落。

 

 とくに金がオンス1900ドル大台が1500ドル台にまで下げたのでご心配になるだろうが先物市場での換金売り。買い残はピークの800トンが半分以下になった。中国、インドの買いはあるし、先高期待は全く消えない。

 

 繰り返すが、心配は世界の株とドル、ユーロ。日本も株。円高が心配だ。

 

 映画のセリフから。人々をだまし続けているマルコが情報不安定な妻に「何が不足なんだ」。答えは「真実よ。」うーん、やはりー。 

 

 

2011年10月 5日 (水)

映画「はやぶさ」と世界的株安のゆくえ(第585回)

昨年6月、3億キロ、7年間のミッションを終えて無事というか奇跡の帰還を遂げた、惑星探査機「はやぶさ」。

その幾多の苦難を乗り越えた実話が映画化された。堤監督は関係者に徹底した取材を行い、人物の容姿から管制室の様子まで完全にコピーした、とか。

月以外の小惑星のサンプルを持ち帰る世界で初めてのプロジェクトは、帰途に交信途絶、燃料漏れ、イオンエンジンの停止などなど、あまりにも大きく致命的な障害が発生した。スタッフの志と信念が、最後に大成功をもたらす。

 大震災後の日本人に「なでしこ」と「はやぶさ」が誇りと自信と勇気を与えてくれた。この映画、みんなにおすすめしたい。私は涙が出そうになった。

 今回の世界的株安はまだ終わりが見えない。2008年のリーマン危機からの脱出のため、米国も欧州も膨大な財政出動と空前の金融緩和を行ってきた。2009年と2010年はドン底からの回復を果たす。

 しかし、映画の「はやぶさ」と同じく、回復に役立った諸政策が当初の効果はあったものの、危機突破後の帰り道にトラブル発生である。

 まず米国。日本でもそうだったが銀行救済が国民の間で評判が悪く、財政出動による赤字増大への反発も強い。

 反ウオール街デモは全米主要都市に広まっているし、共和党には茶会(ティパーティ)グループが、財政赤字問題でガンとしてオバマ大統領への反対姿勢を崩さない。

 米国経済の「2番底」はジョージ・ソロス氏によると「もうなりつつある」。

 これを株価が織り込むならば、ダウ平均は9000ドルさえ怪しい。

 そこでFRBの量的金融緩和QEⅢに期待がかかるが、これは錦の御旗として「デフレ対策」。現在の消費者物価38%が1%台になるのは恐らく明年2月。そこまで待たなければなるまい。NY株安はそれまでQEⅢを催促し続けるだろう。催促株安だ。

 第二に今の問題の中心、欧州だが、ギリシャ危機が主要国の銀行危機の不安につながる。さすがに流動性の供給はかなり行われているので「第二にリーマン危機」にはなるまいが、依然不安は残る。

 要するにユーロ圏はPIIGSと、独などの強国との南北問題なので構造的不安を抱えており、そう簡単におさまるまい。

 第三が、中国、インドネシア、ロシア、ブラジルなどの新興国の成長が一時的か永久か分からないがともかく踊り場に入っている。

 経験的に一人当たりGDPが3000ドルを超え67000ドルの次の段階に入る前に、必ず国民の欲求が高まる。

 格差是正、民主主義、自由化などなど、経済的、社会的、政治的欲求である。

 たまたま太陽の黒点活動が明2012年から2013年にピークに達する。歴史的にみると革命、戦争、暴動などが起きやすい。

  映画の「はやぶさ」はハッピーエンディングだが、現実の世界は心配だらけだし、問題の解決は容易でない。

 映画のセリフから。まだはやぶさが飛行中なのに、担当者の一人は契約の関係で辞めなくてはならない。しかしその人は言う。「ほとんどの科学者は自分の仕事の終わりが見届けられない。これが現実なんだ」。

 また日本のロケットの父糸川英夫博士の言葉も引用される。「先生は失敗という言葉を使わなかった。成果だ、と言い続けられた。」私もそう思いたい。

2011年10月 4日 (火)

世界同時株安、その後を読む

「日経トップリーダー」経営者クラブから出版された『トップの情報CD』に、「世界同時株安、その後を読む」というテーマで講演が収録されました。

音声はこちら

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