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2011年11月24日 (木)

映画「ジョーズ」と米国財政赤字削減問題と世界の株安(第596回)

 たまには誰でも知っている有名なのを、というリクエストにお応えして、今回はS・スピルバーグ監督の「ジョーズ」。ご存じのコワーい映画の代表格だ。

 スピルバーグの天才はオープニング直後のあの女の子が水の中にガガボガボと引きずり込まれる怖さ。ブロディ署長が砂浜に行くと死体の手にはカニが戯れている。夏のバカンスシーズンなので遊泳客がたくさんいるが、子供が犠牲者に。それでも鮫は姿を見せない。あの盛り上げ方の巧みさ。

 いよいよ町が対策をどうしよう、となるとクイント船長が現れ、海洋学者クーパーとブロディ署長が三人でボロ船に乗って鮫退治に出発。実は2時間4分の映画のうち、1時間15分かけている。

 この間に二人組の男が桟橋にやってきて鮫を釣ろうとして桟橋がこわされる、とか、鮫のヒレだけ見せて浜辺で男が襲われる、とかー。DVDでどうぞ。

 ちょうどこの映画の、姿を見せない鮫のように、8月の世界同時株安の再現不安が市場関係者を悩ませている。

 11月23日、米国議会の超党派にある特別委員会が財政赤字削減についての協議が決裂。米国国債の格下げが加わって大混乱になったあの8月の騒動が、再びありうる事態になった。

 まず12月13日に連邦政府の資金繰りの暫定措置が期限切れ。次いで明年1月5日には1兆2000億ドルの一律歳出削減が決まる。実施は2013年1月2日以降だが、この一律削減を決めた「トリガー条項」は国防予算を含むため、共和党はこの修正を計画している。

 ところがトリガー条項が修正されると、ムーディズ、フィッチなどの大手格付け会社が格下げを見送っていた理由がなくなる。当然、8月のS&P社に続いて米国国債の格下げが起こりうる。いや、公算大といった方がいい。

 さらに2月から3月には、去る8月と同様に政府債務の上限引き上げが必要となる。

 これだけ、ひとつ間違えれば米国国債デフォルトにつながりかねないXデーがある。

 それでも民主党のリベラリズムと共和党の保守主義とが対立して妥協点が見つからない。

 だからこそNYダウは決裂後連日安、リスク資産はみんな弱い。リスク回避のため、米国国債の金利は低下し2%を切ったが、これは米国以外の外国銀行が米FRBへの預金を昨年12月の3500億ドルから最近7150億ドルに増やしているため。ヘッジファンドや米投資銀行の助言で、米国国債買いが続いている。

 現在の世界の株安は、ユーロ危機のせいにされているが、現実には米国の格下げ危機が底流にある。いつ、この巨大な鮫が水面上に全貌を見せるのだろうか。

 映画ではブロディ署長だけが船の上から水面にガバッとあらわれて鮫と対面、唖然として言う。「もっと大きい船が必要だ」。

 米国ではこのセリフが慣用句になっており、想像もしなかった大事件に遭遇したときに「もっと大きい船ならー」というらしい。

 日本株の方は売買高が少ないまま、Aじわじわと値を消す毎日が続いている。海外からのショックでドカン、とならなければいいが。

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