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2011年11月28日 (月)

映画「タイタニック」とユーロ危機の今後(第597回)

 先週の「ジョーズ」がご好評をいただいたので、今回は1997年空前の大ヒットとなった「タイタニック」を。当時私は銀行に勤めていたが、部下の女性たちが私は3回見た。私は4回、というのは聞いて仰天した記憶がある。

 3時間9分の大作。「ターミネーター」や「エイリアン2」、それに「アバター」を作ったジェームス・キャメロン監督。巨大セットの船体が真っ二つに折れるシーンが呼び物。

 ストーリーは三等乗客のディカプリオと上流社会のウィンスレットの恋物語で、沈みゆく巨船の混乱と人間の浅ましさとが絡む。まあこの映画のオハナシは皆ご存じだろう。

 みんな泣いたシーンは、冷たい水にひたって凍えそうな主人公ジャックが、戸板の上に乗った恋人ローズに言うセリフ。

 「船のチケットを手に入れたのはラッキーだった。君に会えたから。」

 「さようならを言うには早いよ。君はこんな死に方はしない。

生き延びてたくさん子供をつくって、温かいベッドで死ぬんだ」。

 想い出しましたか。

 タイタニックの沈没は随分と本になっているが、びっくりしたのは割と近くにいた船が氷山にぶつかるのを恐れて電灯を消し、自己翌朝接近して助けるふりをした。事故は深夜だから生存者を救助できたはずなのに。

 今回のユーロ騒動で、私はこのひどい船を想い出した。

 イタリアの国債の利回りが危険ラインの7%を超えた。もちろんそれ以前にギリシャ、ポルトガルなど南欧諸国が莫大な借金をこしらえたことが問題視されたのが背景。

 これに米系ヘッジファンドが目をつけ、対ドルユーロ価値を当時の1・5台から1対1目標で売り始めたのが、コトの始まりである。

 最悪の事態を回避すべく、欧州のリーダーたちは支援策を講じている。しかし国債価格の下落により欧米の銀行は大打撃を受け、かつての日本と同じく貸しはがしを含めた手許の流動性対策に狂奔している。

 そこに「タイタニック」の救助を渋った船が出現した。

 CDSというのは国債のデフォルトに備えた保険のこと。ところが「ギリシャ債務の50%削減で保険金を支払わない」と国際スワップ協会(ISDA)が決定した。

 理由は50%削減は強制的なものでなく、銀行の自主的判断によるものだ、ということ。

 サルコジ、メルケルなど欧州リーダーたちはギリシャとはデフォルトを起こさせない、と言い続け、その結果自主的判断という形で表面を取り繕った。

 表面上の形にこだわった結果、銀行は南欧の国債の売却に必死になり、それが国債の流通利回りを上昇させている。

 イタリアの場合、明年2月が危ない。2012年に借り換えになる国債は3500億ユーロ、うち2200億ユーロが長期債だが、半分以上が1~3月期に集中している。借り換え不能になると、2月中にはイタリア政府の手許現金が底をつく。そうなれば信用収縮はリーマン・ショック後の状況よりあるいはひどくなるかもしれない。

 映画のセリフから。ローズは生き延び、回想する。「海に投げ出されて助かったのは、1500人に対し私を含めて6人。」こんな惨劇が起きてしまうのだからか。

 

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