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2011年12月20日 (火)

映画「用心棒」と2012年のリスク(第600回)

映画「用心棒」と2012年のリスク(第600回)

 ヤクザ同士の二つの勢力が対立して血の雨を降らせている上州の宿場町。三船敏郎の演じる浪人三十郎がこのひどい状況を知る。両勢力をけしかけて衝突させ、結局自滅させてしまう。ご存じの巨匠の娯楽作品で、イタリアのマカロニウエスタンの発生源。

 立ち回りのものすごさ、仲代達也の悪役ぶり、そして息もつけないヤクザのリンチからの脱出。ユーモアが随所にあるところがまた、いい。

 映画館内で爆笑したセリフ。

 シンパの居酒場のオヤジが、両方の勢力から雇いたがっている浪人桑畑三十郎に言う。

 「フン、たかが用心棒になるだけじゃねえか」

 「用心棒にもいろいろある。雇った方で、用心したきゃならねえ用心棒だってあらあ。」

 ヤクザの二つの勢力が、お互いに敵意をむき出しにしている間に、実は三十郎という予想もしなかった凄い男にやられてしまう。最後の決闘も、ピストルに対し意外な武器で抑え込む。サプライズだ。

 新年の予想が出そろった。誰もがユーロの危機を最大のものとしてとらえ、米国は景気回復とQEⅢに期待をかけている。また日本は復興予算を重視して外国に比べて相対的にましな成長を見込んでいる。

 私は映画の三十郎サプライズと同じく、あまり注目されていない中国リスクを、今回の北朝鮮の金成日総書記の急死と合わせて重視している。

 拉致被害者のご親族の方々には申し訳ないが、独裁者の死で希望が出た、というのは楽観的すぎると考える。28歳の後継者が、親父が間違っていました、というわけがない。

 今回の死去も、解剖したと報じられている。心筋梗塞で一瞬の間に死んだのが、毒殺と考えられたのではないか。そうでなければ、トップの死体を調べたりしない。

 では今後は。瀋陽にある中国の人民解放軍の系列商社が、北朝鮮の産出するレアメタルすべてを販売している。

 ある事情通に伺うと、実は何社もある軍系商社が、上海から大連に最近移転した。中国経済の苦境を見て自軍の勢力内に事業を置いたのだろう。

 いま中国は欧州の銀行の貸しはがし(BRICS全体もだが)に会っている。最近3か月で2600億ドルもの米国国債を外貨準備の中から売却。中国国内でも貸しはがしが横行している。

 別のソースによると、中国要人たちの海外逃避が多く、その際持ち出す金は何百億ドル以上、とか。夜逃げする経営者も多いし、失業者も激増している。

 大事なことがある。軍人の目からすると、鄧小平路線そのものが、この経済苦境で「失敗」と見られていることだ。その前の軍が大切にされた毛沢東路線に戻したい。

 具合の悪いことに瀋陽軍区には中国の戦闘兵力の7~80%がいる。長距離の国境線を守るためそうした配置になっている。だから北京の文官連中がおさえられる筈がない。まあ日本ならかつての関東軍だ。軍区の独立とか国内の大混乱とか。ともかくロクなことがない。

 聞くところでは米GMなどは米国人社員をどんどん帰国させており、たった12人しかいない。あとは米国の大卒の中国人。一方日本は1万5000人。何か騒動が起きればどう救出するのか。投資した10兆円はどうなってしまうのか。中国リスクは、予想外の展開になるかも。

 映画のセリフから、両勢力が手打ちして平和になるはずが、仲代演じる卯之吉がブチこわす。三十郎が居酒屋でいう。鍋の中で煮えている芋を食べながら、「なあオヤジ、この宿場はまたこの鍋のなかみたいに、グツグツ煮えてきたぜ。」中国経済は何とかうまくいく、という楽観論が多い。しかし、そううまくゆくかどうか。

 NY大のルービニ教授は「2013年以降」と中国経済のハードランディングを予想したが、私が聞いた話は「2012年」!恐ろしや。

 

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