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2012年1月13日 (金)

映画「哀しき獣」とヘッジファンドの次の標敵は中国か日本か8第604回)

映画「哀しき獣」と、ユーロの「次」の投機筋の狙い(第604回)

 韓国の気鋭のナ・ホンジン監督の新作。デビュー作「チェイサー」もド迫力のフィルム・ノワールだったが、今回はこれを上回る出来栄えだ。私は堪能した。

 中国の国内に朝鮮族自治州があり、中国人の中にかなり朝鮮人が住んでいる。タクシーの運転手グナムは妻を韓国に出稼ぎに行かせる時に作った借財に加え、麻雀の大負けで首が回らない。そこに裏社会の顔役から「借金を棒引きにしてやるから韓国に潜入して、ある男を殺害しろ」と取引を持ち込まれる。グナムは音信不通の妻に会いたい思いもあって、黄海から密航船で韓国に密入国する。

 ところが狙う男は先に他人に殺され、グナムは警察から犯人と誤認されて追われる。ここの逃避シーンからガゼン面白くスリリングな展開が続く。すでにハリウッドでリメイクが決定しているというが、このオリジナルを超えられるかどうか。激しく暴力的でしかも魅力的な映画だ。

 主人公がいろんな事情で警察だけでなく、裏の勢力ふたつから追われるように、今や欧州国のソブリン危機は、ギリシャに始まってイタリア、フランスにまで拡大。しかし投機としては8分どうりは成功した。

 そこで、ユーロの「次」のヘッジファンドのターゲットがどこか、に関心が集まっている。

 日本だ。という声は結構高い。昨年末ごろからCDSのレートが急上昇、また3月の日本国債の先物買いが7兆円を超える増加。ともにヘッジファンドの欧州ソブリン攻撃の手口だ。これまで3回、日本国債を攻撃して失敗した一部のヘッジファンドが仕掛けを始めている。これはヘッジフアンドの主力は応じまい。

 私はヘッジファンド業界に握っている情報網から、次は中国を狙うと考えている。

 理由は今や米国に中国に対し敵視政策を取り始めており、ヘッジファンド主力はワシントンの意向を読んで動くこと。かつてのクリントン政権の時の超円高による日本叩きがいい例だ。すでにこの業界でジョージ・ソロス氏に並ぶビッグネームのジュリアン・ロバートソン氏のグループがはっきりと顧客に「ユーロの次は中国」という発言を行っている。またジム・チェイノス氏など、中国の不動産バブル破裂に注目し「中国関連は皆売り」というファンドには、新規資金が流入している。中国売りでは11月までで52%の利益を得たファンドもある。

 米国系ヘッジファンドは、基本的にドル防衛を目的としてほかの基軸通貨を攻撃している。まずユーロが選ばれ、これは成功。軸足を中国に移しつつある。ドル復活には代わりの基軸通貨が消えてゆくことが好ましいからだ。

 すでに上海株はリーマン・ショック時の安値を下回り、底なしの状況に近い。材料は中国の銀行の大量の不良資産だ。2008年から2010年まで中国の銀行は4兆1000億ドルの融資を行った。正式な貸し出しルート以外のも含めると5兆7000億ドル。モルガン・スタンレー推定だ。このうち2兆ドルが不良資産と格付けの会社フィッチは推定している。別に国有企業の不良債権は3000億ドル、合わせると6兆ドルの不良債権で、どうしても今年前半には処理しなくてはならない。

 ある事情通は「すでに中国の実質成長率はマイナスに転落した」という。日本の90年代のバブル崩壊後と同じ流れだ。

 やはり中国はこの20年の猛烈な高成長の反動期に入り、そこがキズ口となるのだろうか。

 映画のセリフから。主人公は韓国に行った妻が苦境にある夢を何回も見る。周囲の男たちが起こしていう。「何の悪夢を見ているんだ?」現実には逆夢で、いいことが起きるゾ。」そこで持ち込まれた殺人請負、それが悲運の始まりだった。一見、高度の成長で財政収支良好だが、外資の流入が止まり、巨大なゴーストタウンになった郊外マンション群などなど。中国の運勢は今や落ち目に代わってしまったのでは。

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