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2012年2月 4日 (土)

映画「J・ エドガー」と米国の住宅市場とNY株(第608回)

映画「J・エドガー」と米国の住宅市場とNY株(第608回)

 「J・エドガー」はクリント・イーストウッド監督の最新作。8代の大統領に仕え、48年間も裏から米国を支配したFBIフーバー長官の真の姿を画いた。主演はレオナルド・ディカプリオ。

 権力者たちの個人情報を集めた「機密ファイル」を作り、そのためには盗聴や尾行なども辞さない。ダーティな秘密を握っていると匂わせて、大統領たちからも怖れられる。

 マザコンで同性愛、結婚を申し込んだ秘書から、断られるが、それでも死ぬまで、使い続ける。謎めいた私生活を、米国の歴史的事件と重ねて描いてゆく。

 選挙で選ばれた大統領の権力も及ばないフーバー長官の米国支配の実力。長らく仕えた部下は「脅しの達人」と述べた。権力の二重構造だ。

 早くも2か月が経過したが、世界の主要株式市場をみると前年比で上昇しているのは、NYのみ。

 材料は景気の回復で、例えば1月の雇用統計で非農業部門雇用数が24万3000人と市場予想を10万人上回り、失業率は8・3%と0・2%改善した。また1月の非製造業景況指数が56・8と前月の53・0から大きく改善した、などなど。

 しかし、映画で裏の権力者フーバーに、代々の大統領がかなわないように、表面上のこれらの数字では米国経済はわからないのではないか。

 そう私が考える理由は、先日のFOMCで「米FRBが超低金利を2014年まで継続する」と発表したこと。景気が良くなるゾと株価は浮かれても、FRBバーナンキ議長は米国景気の前途に弱気だからこそ、の超低金利長期持続方針だと考える。

 毎月発表される経済指標で、米株式市場が恐らく意図して注目しないものがある。住宅だ。

 まず住宅の価格だが、下落が続いている。1月31日に発表されたケース・シラー住宅価格指数は昨年11月前年同月比マイナス3・67%と10月に比べて小幅悪化した。

 1月20日発表の中古住宅販売は年率461万戸と前月の439万戸から3か月連続で改善したが、何しろ400万戸台という水準自体が低すぎる。7~800万戸が普通だった国なのだから。

 私が住宅市場の回復が難しいとみている理由は、住宅ローン延滞・差し押さえ件数が多いので、将来的に中古市場に放出される「隠れ在庫」が膨大なこと。公表されている住宅市場の在庫とほぼ同じぐらいある。したがって実質的な住宅供給圧力は依然として極めて重い。

 もう一つ。表面上の失業率を私は信用していない。人口3億2000万人、うち労働者1億5000万人だから失業者は1200万人近辺のはずだ。

 しかし現実には失業登録していない人やパート労働で低所得の家族には、食料品購入のためのクーポンが配られる。月間290ドル。このクーポンをもらっている米国人は4600万人。だから公表されている失業率がどう動こうと、私は米国の景気を読む指標としては信用できない、と考えている。

 4月に私は訪米して実態をこの目で見てくるつもり。本当はもっと早く行きたいのだが、2月の米国は寒いし、仕事の先約もあるしー。

 映画のセリフから。捜査中の事件に対し興味津々の女性たちにフーバーが言う。「秘密を守ると約束するなら、極秘の手掛かりをひとつ教えてあげてもいいですよ」と語りかけ、指切りゲンマンをする。4月訪米で「一つ」だけでなくもっと手がかりを掴みたいのだがー。

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