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2012年4月18日 (水)

映画「ファミリー・ツリー」と私が見てきた米国経済(第618回)

映画「ファミリー・ツリー」と見てきた米国経済(第618回)

 先日のアカデミー賞では作品賞など4部門でノミネートされ、評価の高い佳作。私は機内でみたが楽しめた。主演ジョージ・クルーニ―。監督アレクサンダー・ベイン。

 舞台はハワイで主人公マットは先祖から広大な土地を相続している弁護士。妻は事故で人事不省が続き、事前指示で尊厳死を希望していたので、医師から生命維持装置を外すしかない。周囲に別れを言わせるよう指示される。

 16歳の長女からは「ママは不倫していたのよ。知らなかった?」と言われ、10歳の次女からは「私はパパから面倒を見てもらったことがない」と。家族のきずながバラバラなことに気付いた。主人公はガク然とする。

 先週主にニューヨークに行ってきた。現地で会ったシンクタンクの日本人エコノミストの方々は(米国人も同じだが)、楽観論よりも、脆弱であるという悲観論の方が主流。「毎年春には今年は良くなると期待するが、夏ごろからオカしくなり秋からダメになる」とか「4~6月期の米国GDPはどうせマイナス成長だから株価も今が天井」などなど。

 最近発表された雇用統計が期待はずれだったのが一因だ。たしかに雇用は米国株の良い先行指標だが、かつてのウィスキーのCMと同じ。半分になったボトルを「もう半分しかない」と見るか「まだ半分残っている。飲めるぜ」と見るかだ。ここ2月、週次の新規失業保険の申請は減少中。楽観派はこれを注目している。

 結局、ゴールドマン・サックスのジム・オニール会長が言う通り「住宅市場の反転とシェールガス革命による米国産業の競争力回復を信じるかどうか」にかかる。

 私は、今年中はともかく、明年の第2期オバマ政権スタート近辺から、この二つの材料は明確化し、加速化する、と見た。

 すでにシェールガスで発電を石炭からガスに切り替えた電力会社は、大幅に電力料金を切り下げ始めた。ボストンの電力会社だが、1kw当たり8・5セントを5・5セント(産業電力、ちなみに日本は17セント)に34%切り下げた。4月11日のウォールストリートジャーナルによると、5月から家庭用も安くするという、追随企業が続出するだろう。

 また石油化学企業はここ何十年もやっていない巨大設備投資を推進し始めたし、全米15か所の液化ガス輸入設備は輸出用に切り替え中。今年中はまだ事態は進行し、統計数字になってだれの目にもはっきり見えていないか、私にはこれで十分すぎる位だ。映画の中で、マットが長女の案内で不倫相手のウチを見て確信するように。

 それでもシェールガス革命を信じない不届き者には、すでに昨年米国はガソリン、ディーゼル油などの石油製品の輸出は輸入より日量44万バレル上回った。米国が純輸出国になったのは何と1949年以来。また米国の原油生産が20億バレルを上回ったのは2003年以来初めてのことだ。

 映画のセリフから。マットが言う。「家族は群島のようなもの。一つ一つは独立していても、まとまれば一つの群島、一つの家族だ」。悲観論者は虫の眼で島だけ見て、群島を、つまり大きな鳥の眼で見ていないのでは。

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