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2012年4月 1日 (日)

映画「ドライヴ」と不動産業の将来(第616回)

 デンマーク出身のレフン監督の見事なサスペンス映画。カンヌ映画祭で絶賛を浴び監督賞。これまでの映画と全く違う作り方で、散々見てきたカーチェイスの場面とかも一味違う。内容が濃い。静かさとバイオレンスの巧みなバランス。

 主人公は名前が言われることのない「ドライバー」。日中はハリウッド映画のスタントマンをつとめ、ガレージでも働く。凄腕の運転技術を生かして強盗の逃亡の助っ人もやる。

 ガレージの主はドライバーをカーレースに出場させたく思い、マフィアから資金を借りる。一方ドライバーは同じアパートに住む子連れの女性と、プラトニックな恋に落ちる。女性の夫は服役を終えて帰宅し、悪い仲間から強盗を命じられ、そこから物語は二転、三転。 

 冒頭に強盗二人の助っ人としてドライバーは言う。「このロスには10万もの通りがありオレはすべて知っている。5分間待つ。何があってもその後は逃げる。」銃は持たず運転技術で仕事をこなす。

 私の講演の参加者には不動産業界の方が結構多い。

 一般的には高齢化、少子化で日本経済が沈滞してゆくのと並行して、見通しの立ちにくい業界、とみられている。

 しかし映画のドライバーが大都市の道を知り尽くしてビジネスを成功させているように、都市化の進行は不動産業界に大いなる成長性をもたらすと考える。ある条件付き、だが。

 このことはクレディ・スイスのアナリスト白川浩道さんがかねてから主張している。ご紹介すると次の通り。

 高齢化が進行すると、人口総てでは縮小しても単身化で世帯数の増加は東京中心に続く。

 二人以上世帯の一人当たり消費額よりも単身世帯の消費額の方がはるかに大きい。

 2009年の総務省調べでは月額21万2290円と二人以上世帯の11万7519円の実に8割増。

 都市部世帯は今後増加する。白川さんの将来推計では2010年の2033万世帯から2025年には2138万世帯に100万、5・2%増。

 ここで不動産業が登場する。都市中心部に近い利便性の高いマンションへの需要は高まる。都市部住宅は2025年には、2010年比で6・7%増加。

 住宅建築物の耐用年数は木造で30年程度。鉄筋で50年程度。2010~20年は1970~80年代のバブル期に建造された住宅が老朽化、建て替え需要も寄与する。

つまり、東京など大都市とそのベッドタウンという条件は付くものの、そこを営業基盤とする不動産業者は成長性がある。もちろん首都直下型地震を見て、顧客に安全でいい物件をサービスするのは絶対条件だが。不動産同様、白物家電、家具などの市場も悪くない。

 白川さんは「高齢化の進展が、日本経済低迷に拍車をかける」という一般に信じられているいわゆる定説を「迷信」と一蹴する。

 団塊の世代が今や続々と退職を始めた。このことはこれまでのデフレの一因だった賃金の下押し圧力を減退させる。「このことは今後コア賃金の上昇とデフレの解消につながりやすくなる」。このほか①非製造業の非効率性が経済成長を阻害している②公共投資の成長押し上げ効果は一過性、の2点も白川さんによると「迷信」だ。これは別の機会に。

 映画のセリフから。酒場で気安く昔の仕事を覚えていた人物に声をかけてくれてドライバーが凄む。「自分で黙るか。歯をヘシ折られてから黙るか、どっちにする?」無責任にただ日本はダメだダメだといい続けてきた人たちも、そろそろ考え直したら。

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