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2012年5月 5日 (土)

映画「ライムライト」と老人市場(第621回)

映画「ライムライト」と老人市場(第621回)

 ご存じチャップリン晩年の名作。物語が始まる前の字幕に「華やかなライムライトの中に若者が登場したら、老人は退き下がらなくてはならない」でテーマは明らかだ。

 自殺をしかけたバレリーナを助けた、かつての大喜劇役者で今は落ちぶれたチャップリンが言う。処世訓が多い。

 もっとも有名なのが「人生で大切なものは勇気と創造力、それに少しのお金だ」。だろう。その前の「宇宙の、何よりも貴い“生きる”という奇跡を消してはいけない。星に何ができる。ただ空をめぐっているだけじゃないか。」とか「クラゲにだって生き甲斐がある」などの名セリフは忘れられない。

 先週に続いて老人問題を。今の日本が急速に老齢化しているのもご存じの通り。今20%の65歳以上の老人層は2050年に39%へ、ほぼ倍増する。

 当然、老人関連市場は急拡大中で、昨年60歳以上の個人消費が全体の44%、100兆円を占めた。故P・ドラッカー博士の「2040年に医療、介護産業がGDPの40%を担う」という予言を信じるなら、28年間で2倍になる計算だ。

 実は私ごとながら「医薬経済」という専門誌に1ページもののコラムの連載を始める。そこで調べてみたら「ドラッグ・ラグ」という言葉を発見した。

 医薬品の発売の当局による承認の遅れのことで、審査官の不足を含めいろんな要因があるらしい。その結果、世界で販売されている薬品の上位1000のうち、日本だけで承認されていない品目が20もある。もっと使われていいものが販売されていない。

 また治療の中で先進医療を呼ばれる分野の遅れも、時代遅れの規制がずいぶんするためらしい。必要な規制もあるだろうが、少なくとも民間の活力をそいでいることは間違いない。

 年金の方もAIJによる巨大損失問題を機に、同様な疑いをもたれる独立系年金運用会社が何社もあるらしい。証券取引等監視委員会が特別検査に乗り出したという噂を聞く。

 不正運用だけではない。厚生年金基金578のうち317基金が、入ってくる掛け金よりも支払う給付の方が多く、10年以内にこれまで積み立ててきた積立金がなくなってしまうという。赤字のツケは母体企業が支払うが、報道によると銀行が取引見直しを迫る例もあるという。

 薬の場合も年金の場合も、今後必ず発生する老齢化社会に対し、日本の今の制度がなっていない、ということだ。

 早くきちんと体制を整備することが先決だが、これから老齢に差し掛かる人へのアドバイスは、確定拠出型年金にして免税の恩典を受けて貯蓄しなさい、ということだけだ。

 映画のセリフを再び。「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ。」死の前にヨボヨボになって生きるというのは大変なことだ。気が重い。

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