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2012年6月23日 (土)

映画「外字警察 その男に騙されるな」とユーロ問題(第627回)

映画「外事警察 その男に騙されるな」とユーロ問題(第627回)

 NHKのドラマ版から発展した映画化だが、独立して楽しめる。本格的な公安警察サスペンスでただ今ヒット中。

 舞台は2011年の日本。東日本大震災で壊滅した東北の大学研究室から原子力の最新技術が盗まれる。核テロを警戒した警視庁公安部は「公安の魔物」と言われるベテランをリーダーに捜査を開始。工作員とみられる半島系の貿易会社社長の日本人妻を、協力者として強引に引きずり込む。

 盗まれた技術は原爆に点火するスイッチ。北鮮から濃縮ウランが持ち出されており、これと合わせると大変なことになる。テロリストへ売却を狙う勢力、韓国公安と三つ巴になった争奪戦で、予測不能な騙し合いが続く。オトなの鑑賞に十分に耐える佳作と思う。

 主役は百戦錬磨の住本警部補だが、協力者を得るための仕掛けに「怒り」を使う。人を動かす最も強い感情を利用してコントロールする。

 今回のユーロ騒動の基本にはギリシャにもドイツにも相手に対する怒りがある。ギリシャは第二次大戦でナチスに大量の金を持って行かれたという歴史があるし、若年層で51%の失業という現状にも不満に違いない。

 一方ドイツは連銀月報の最近号でこれまた「怒り」を表明した。「ギリシャは大規模な救済の見返りとして合意していた改革と財政緊縮策を実行しないと『恫喝』している」。

 総選挙で緊縮政策に賛成する連立内閣が成立し、感情は別にしても一応安定するメドがついた。しかしドイツ側は「欧州の財政統合が実現しない限り、ユーロ共同債を通じた合同の資金調達に明確に反対(財務副大臣)」と、まだかたくなに「正論」を崩さない。

 となるとヘッジファンドはまた仕掛ける。スペイン国債が危険ラインとされる7%に接近している。まだまだ、という感じだ。

 ヘッジファンドの影響力が大きいゴールドマン・サックスが最近発表した「欧州債務危機を過去の金融っ気と比較」によると「まだ株価は下げ足りない。」

 1994年のメキシコ、97年のアジア、98年のロシア、2000年のアルゼンチン。震源地と近隣株式市場の平均株価下落率は65%で、最も打撃の大きかったメキシコ、タイ、ロシア、アルゼンチンはドル建てで85%下落した。

 今回はギリシャは80%で下げは十分だが、スペイン、イタリア、ポルトガルはドル建てで50%。またPERは7~8倍まで下落して底入れしたが、現在は9・5倍でまだ大底と言い切れない。

 もうひとつ。過去の金融危機はすべて危機後急回復し、1年間で最安値から100%上昇した。しかし、これは当事国の経済が急回復したためで、欧州経済が今後数年間で劇的に持ち直す可能性は低い。

 私も目先の苦境は何とか切り抜けつつあるものの、まだ完全に危機は終わったとは考えていない。とりあえずドルとユーロは大量なカラ売りが買い戻しに向かっているものの、まだヘッジファンドは対ドル1・1を狙っていると見ている。

 映画のセリフから。官房長官が警察から報告を受けたやり取り。「韓国は日本でやりたい放題です。厳重な抗議が必要です。」「その必要はありません。押さえてある証人は解放して口止めの取引をしなさい」。まあ、こんなところが日本の現状なんだろうなあ。国際政治なんて、とてもとても。

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