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2012年7月21日 (土)

映画「ヘルタースケルター」と人工的金融緩和の行方(第632回)

映画「ヘルタースケルター」と人工的金融緩和の行方(第632回)

 題は「しっちゃかめっちゃか」の意で原作は岡崎京子のコミック。蜷川実花監督、沢尻えりか主演の話題作だ。

 芸能界の頂点に君臨するトップスターりりこは、全身整形で「目ん玉と爪と髪と耳とアソコ」以外は全部つくりものの元ブス。

 後遺症で皮膚が崩れ始めたり、トップの座を失う恐怖。焦りもあって精神は「ボロボロになりながら破滅への道を進んでゆく。

 主役沢尻エリカの脱ぎっぷりもいいし、監督のビジュアルな画面作りも美しい。面白さも含めてまあまあの作品だ。

 人工的なものは永続きしない。リーマン・ショック以来の低金利政策はどうもひとつの頂点に達したが、映画のトップスターりりこの地位と同じく、弊害が「次」に起ること必至だろう。

 どうして頂点なのかを説明しよう。7月11日にECBは政策金利を0・75%に引き下げ、同時にユーロ圏の銀行がECBに預託していた資金の金利を0・25%からゼロにした。

 ユーロ圏の銀行のECB預託資金は80兆円。これが一挙に30兆円に減少し、その分は信用度の高い国も国債に流入した。

 日本も10年もの国債で0・7%台の下の方、米国も10年物国債は1・4%台に突入した。ドイツの2年物国債は何とマイナス0・055%と史上初めてのマイナス金利となった。国債を買った側わがわざわざ金利を支払うという、何とも異常な状態に突入したことになる。

 超低金利政策は貯蓄の魅力を失わせ、企業や個人に設備投資、住宅投資、消費を促して景気を良くする。同時に為替レートの下落につながって輸出増と輸入減がこれまた景気を押し上げる。

 弊害もある。物価上昇が始まると加速し通貨への信認が落ちて為替レートは安くなる。

 現実には日本はそうなっていないじゃないか―といわれそうだが、これは日本銀行が量的金融緩和を怠ってきたため。ここいらはまた別の機会に書くつもりだ。

 ユーロの方は量的にも十分だし、まだ対ドルのユーロのレートは1・2近辺でヘッジファンドの目標としている一対一には間がある。

 キャリートレードという取引がある。金利が安く先安が見込めると通過で資金調達し、何か儲かりそうなものに投資する。ドルキャリーとか円キャリーが行われた時期もあった。今回はユーロキャリーだ。

 目先、日米独などの国債買いが主力だろうが「次」の投資目標が出てくるだろう。候補は次の通り。

 欧州特にドイツの住宅。明らかにバブル開始の匂いがする。関連株も。

 中国。ええっと思われるだろうが、中期では破滅への道だろうが、ごく目先は景気刺激効果がある。ごく一例。6月の自動車販売は年換算1999万台。1~6月期の消費は年率20%増。弱気充満の中でアレレとなるか。

 商品。大豆やトウモロコシは今が盛りだが非鉄や鉄鉱石、それに金など。

 いまQEⅢの催促相場でグズついているが、これが決まればNYダウは2万ドルへ。本当にそうなると信じているマネジャーは結構多い。

映画のセリフから。整形医の違法性を調査している検事にアシスタントが言う。「神様は人間に若さと美しさを与え、それから奪うんですね。」「若さと美は同じじゃないさ。若さを失っても美は残る。別の美も生まれる。」人工の超低金利の方はそうはいかないかも。

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