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2012年8月27日 (月)

映画「あなたへ」トシェールガス革命が世界を変える①(第638回)

映画「あなたへ」とシェールガス革命が世界を変える① (第638回)

 高倉健主演、降旗康男監督の話題の映画。刑務所官を定年まで勤め上げた男が、亡くなった妻の遺言に従って散骨のため妻の故郷の海へ。富山から長崎県平戸まで手作りのキャンピングカーで長い旅。いわゆるロードムービーだが、次々に出会うワキ役がいい。

 ビートたけし、草なぎ剛、佐藤浩一、綾瀬はるか、余貴美子、大瀧秀治。同時に田中裕子の亡妻との思い出が、これらの登場人物とのエピソードの合間に。皆心の底には生きる悲しみを背負っている人物ばかり。そこを寡黙な高倉健が軸になって飛騨高山、京都、大阪、平戸との話は展開してゆく。ドラマになるような決定的な対立がなく、少々退屈だったが、心温まる水準以上の作品。年配の方の観客が主力だが満員だった。

 ロードムービーは、狂言回しの主役が、次から次へと旅して人の輪が広がってゆく。ちょうど米国発のシェールガス革命が、世界の有力国や地域に影響を与えてゆくようなものだ。

 ごくごく一例。ジム・ロジャースのように「21世紀は中国の時代」で米国の力は次第に減衰してゆく、というのが広く一般的な見方だ。

 たしかに中国の経済成長が続けば、2020年代のどこかで経済規模は米国を上回るし、購買力平価で調整すれば、もうほとんど同等またそれ以上、という見方もある。

 しかしシェールガス革命によるエネルギー面からみると、事情は全く反対。米国はこれから輸入依存度を減少させてゆくが、中国は経済成長に必要なエネルギー源の調達に大変な苦労をしなくてはならない。

 中国国内にはシェールガス田は豊かにある。しかし採掘に必要な大量の水がない。今でも水不足に悩んでいる。米国から技術援助をしてもらうのだろうが、水不足は致命的だ。それに時間差がある。すでにシェールガス採掘が2005年ごろから本格化、年45%の急増の米国と、まだ探鉱中で一番早くても2020年ごろから採掘開始の中国と大きな差がある。

 2015年、中国の高齢化が始まる。これで成長率が低下してゆくことは確実。その場合、中国は所得水準が先進国レベルに達する前に、高齢化社会に突入してしまう。年金制度ができていず、成長という武器なしで社会福祉の財源になかなか見つかるまい。

 富士通総研専務の根津利三郎さんはこう分析している。(シェールガスがもたらす米中再逆転)。

 「中国の原油輸入と経常収支黒字幅は2011年でともにほぼ2000億ドル。現在の輸入量は日量460万バレルで、仮に10年後に920万バレルになり、価格が同じとすると輸入額は4000億ドルで経常収支黒字が不変なら同収支は2000億ドルの赤字転落となる。」中国のモータリゼーション進行を予想すれば、中国の経常収支赤字転落は確実。

 一方米国は石油輸入減が年6~700億ドル、シェールガスの輸出を年2~300億ドルとすると経常収支赤字は劇的に減少する。(この部分は私の推計)。石油輸入が減るのはシェールガスは良質の原油と液化天然ガスも併産するからだ。

 この米中関係の大変化よりも先に、中東の石油依存度減は米国の中東の安全保障減で国防予算(米国GDPの4・6%)が削減される。米国は経常収支だけでなく財政収支も好転できる。

 では日本は?米国ほどではないが、日本もうんとトクをする。次回以降の詳しく書くことにする。どうぞお楽しみに。

 映画のセリフから。」ビートたけしの山頭火好きの男が言う。「旅と放浪の違いはね。帰るところがあるのと無いのとの違いなのさ」。帰るところ、つまり経済分析のオチが、自分の国が将来良くなるという確信にならなければ、少なくとも私はここまで本気でシェールガス化革命に取り組まない。前提として、アタマに来るお隣さんのうち大きい方が、大したことがなくなるということを言いたかっただけ、小さなお隣の方は、もう2週間も書いたので。

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