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2012年8月 2日 (木)

映画「ダークナイト・ライジング」とQEⅢとNY株(第634回)

映画「ダークナイト ライジング」とQEⅢとNY株(第634回)

 「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督のバットマン・シリーズ第三弾。何しろ前作の「ダークナイト」が米国映画史上三位の興行収入を挙げた大ヒット作だっただけに、どう受け継ぐかが注目されたが、まずまずの出来だ。

 何しろ前作の結末が驚くべきものだった。法を超えて正義を貫くバットマンは、法治国家では反罪者に分類されてしまう。だからこそバットマンの強さに挑戦する巨悪が現れる。そこで自ら死んだ地方検事の悪をかぶり英雄に仕立てて、自分は闇に消える。平和がこうして始まった。

 その8年後、今度は凶悪なテロリストの出現に、嘘の上に築かれた犯罪のない都市は、メタメタに破壊される。

 バットマンは実はブルース・ウェインという資産家で、超能力はない。特注の装用車や防護服で、たった一人の自警団として、だれに頼まれたわけではないのに町の安全を守っている。

 今回は財産を悪人たちの姦計で失う。株式オプションの注文が自分が知らないうちに出され、テロによる暴落で大損失。また核融合炉を作ってあったのを悪用され危機は深まる。

 「ダークナイト・ライジング」では警察の首脳部と何千人もの警官が全く動けず、テロリストは支配力をほしいままにする。

 米国経済の停滞懸念が続く中、金融政策への期待が高まっている。まるで市民がバットマンの助けを求めるように。

 8月1日の米FOMCではQEⅢは実施されなかった。しかし、7月17,8日のFRBバーナンキ議長の議会証言では「(米国経済は)沼にはまり込んでいる」と米国経済の前途に疑念を示した。

 FOMC参加者12人の成長率見通しは明らかに低下している。1月には2・2~2・7%だったものが、4月には2・4~2・9%と上方修正されたが、6月には1・9~2・4%となった。恐らく現時点ではさらに下方修正されるだろう。景気が再加速しない限り、次のFOMC9月12~13日にQEⅢが発表されるだろう。その前に実施を示唆するバーナンキ議長の発言があるかも。8月末に行われるジャクソンホール・カンファレンスが注目を集めることになる。

 実はここ2か月の間にFRBの理事で中間派と見られていたメンバー(複数)が、明らかにQEⅢ賛成と見られる講演を行っている。

 恐らく穀物市況が大干ばつで急上昇しているところに金融緩和を行うのはいかがなものか、という慎重論があったのではないか。

 また「オペレーション・ツイスト」というプログラムを年末まで継続するという6月のFOMCが米国景気に効果があるかどうか見守る。こんな意見もあった、かも。これはFRBは長期国債2670億ドルを購入し、同額の短期国債を売却する。

 QEのこれまでの効果を書いておく必要がある。2009年から2010年初頭のQEⅠでは1兆5000億ドルの住宅担保ローン債権、国債など。10年、11年のQEⅡでは国債を6000億ドル購入した。今回は住宅ローン担保証券が中心で、QEⅡなみだろう。

 これが決まれば、投資家はリスク・オフからリスク・オンに投資方針を切り替え、NY株は1万6000ドル。NY株はQEⅠでは発表後13日で13%も上昇、QEⅡは発表後20%、また2011年9月のオペレーション・ツイストでも20%上昇した。

 映画のセリフから。深い穴の牢獄から脱出しようと何回もトライするバットマンに老人がアドバイスする。「命綱をつけて、落ちても大丈夫と考えるからうまくいかないんだ。思い切って恐怖感を逆のバネにしたら。」景気が思わしくないことが、次の展開のバネになるのだろう。

 

 

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