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2012年9月17日 (月)

映画「天地明察」よTPPとQEⅢと金価格(第642回)

映画「天地明察」とTPPとQEⅢと金価格(第641回)

 冲方丁(うぶかた・とう)の130万部のベストセラーを「おくりびと」のオスカー監督滝田洋二郎が映画化した話題作。「明察」とは設問に対しての正解のことを言う。

 17世紀の江戸時代前期、物語の中心になるのは「暦」。中国から導入した暦は800年以上も使われズレが生まれていた。江戸時代の日本人の生活の基盤である以上に宗教、政治、経済に影響を及ぼしていた。暦を司るものが国を治める、という意味もあり、莫大な利権を朝廷が独占。実質的な将軍の会津藩主保科正之は将軍に囲碁を教える名家の安井算哲(岡田准一)に目をつける。まず日本一周の観測旅行、ここで天文へのスキルを修業させ、幕府が暦を司るために算哲の算術の才を使い解析を始めさせる。

 利権を握る守旧派の公家と戦い、ついに「大和暦」という日本独自の暦を作り上げる算哲。亡くなった保科候に代って御三家の水戸光圀が支援する。映画のヤマ場は大和暦のみが予想する日蝕が、本当に起きるかどうか。算哲は自分の命を賭ける。

 守旧派の公家勢力というと、すぐ私はTPPを想い出す。民主党、自民党の党首選候補が農村票をコワがって関税撤廃ならTPP交渉すべきでない、と述べている。世論調査では58%が「参加すべき」としているのに、無視しているのはゲせない。原発ゼロの方は世論に迎合しているくせに。

 私は77歳になったが、永い間「日本開放」で国論が二分されるのを見てきた。1960年代のGATTとIMF加盟、70年代の円切り上げ、80年代の日米経済摩擦、90年代のウルグアイラウンドなどなど。すべて「開放」した方が日本にとっていい結果になった。

 資源やエネルギーなどを外国に頼っている日本は「開放」を国の基本方針にすることが「国益」である。

 それに私はある偏見を持っている。農水省がらみの反対論は極めてオーバーで、悪影響は見当違いのものだったという経験にもとづく。

 ごく一例。97年の米国産サクランボの輸入解禁でも、壊滅すると不安がられていた山形を中心とする国産は高級品となり、その後生産量の1・5倍に伸びた。だから今回の「農林水産物の生産額は4・5兆円減少」も当てにならないと思っている。

 国際交渉で例外が全くない交渉なんてない。現に長期間で段階的に関税を下げることも従来の参加国で認められている例もある。また米USTR(通商代表部)首脳も「コメを例外扱いとする可能性」を口にし、「日本の医療制度の民営化を強制しない」と述べている。

 内閣府の試算だと「TPP参加で増える年間GDPの2・4~3・2兆円」。それにシェールガス革命の恩恵で安価な天然ガスを輸入できるメリットがある。

 2015年から米国はシェールガスの輸出を解禁する。ただし、米国とFTAの締結国しか許可されていないので、インドと韓国にOKが出た。TPPは米国のドアを開けるカギである。

 ついでにQEⅢ.9月14日のバーナンキFRB議長の一問一答をTVで見ていて午前5時近くになったが「雇用が本格的によくなるまでという言葉に注目した。

 住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドル買い続ける。終了期限なしで、雇用つまり失業率が60%台まで2%下がるまで。失業率は2012年8・0~8・2%、2013年7・6~7・9%、2014年に6・7~7・3%に、2015年に6・0%から6・8%。

 金融緩和を2015年まで続けるなら、総額1兆4-5000億ドル以上。これならNYダウは2万ドル以上だろうし、金もオンス2000ドルを超えるに違いない。私は2300~2400ドルを見込んでいる。

 映画のセリフから。世界地図の中の日本を見て「こんなに小さいの」と妻が言うのに対し算哲は「世(界)が大きいのだ。天はさらに広大だ」。狭い見方が守旧派を育て国益を損なう。

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