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2012年9月 4日 (火)

映画「最強のふたり」とシェールガス革命が世界を変える③640回

映画「最強の二人」とシェールガス革命が世界を変える③ (第640回)

 フランス映画で世界的、超大ヒットというと「アメリ」がすぐ頭に浮かぶ。あれに似てハッピーエンディングのユーモアにあふれた佳作。おすすめだ。

 実話をベースにした人情話。事故で全身麻痺となり車いす生活の大富豪フィリップが、介護者を雇ってはすぐクビにしてしまう。面接試験して採用したのは、不採用通知三つで生活保護手当が出るのをアテにしている黒人青年ドリス。同情されるのに飽き飽きしているフィリップは、前科がある男だぞ、と心配する親戚の声を押し切って雇う。

 ふたりの人生は何から何まで正反対。超豪邸に住みショパンを愛する雇い主。一方下ネタとブラックジョーク、スラム出身でクール・ザ・ギャングが好き。母と仲が悪く弟が悪に落ちてゆくのをどうすることもできない無一文。

 ところがこの二人が相容れないはずだが。衝突を繰り返しながら、お互いを受け入れてゆく。そして次第に生き生きとして行くフィリップ。

 今回で3回目になったシェールガス革命だがそもそも「革命」ってなんだろう、と考え直してみたい。

 昔の中国では、文字通り王朝が交代する大変革のこと。「天命が改まる」だ。また英語のレボリューションは天文学用語で「回転」。コペルニクスが言い出した言葉だ、と辞書にある。科学革命が「突然の政治体制の変革」に使用されたそうだ。

 まあそれまで不可能とされていたことが可能になる大変革―。まるで映画のフィリップの生きがいを取り戻すように。180度の大転回だ。

 シェールガス革命のことを、米国で近年、天然ガスの生産が急伸していること、と勘違いしている記事をときどき見かける。間違いだ。

 「シェールガスを安いコストで採掘できる技術革新」こそがシェールガス革命である。

 ダニエル・ヤーギン氏というと名著「石油の世紀」でピュリッツアー賞を受けたこの業界の第一人者。近著「探究」によると「21世紀に入って最大のエネルギー技術の革新」と述べた。

 これまでの天然ガス田から採取される「在来型」とシェールガスに代表される「非在来型」は別に成分に大きな差があるわけではない。違うのは資源の存在の仕方である。

 在来型のガス(石油も同じだが)、地表に近いところにあるので大半は大気に逃げてしまい、たまたま地中に残った部分が資源になる。だから中東の石油のように地理的に偏在している。

 ところがシェールガスは3000米の深い地中で形成されたものが、そのまま残っている。

 だからこそ在来型を一とすると、少なくとも数倍、よく調べれば10倍。しかも地球上に普遍的にある。

 しかも安価に採掘できる。

 100万BTUの価格は2ドル。6倍するとバーレルあたり原油価格と同じになるからわずか12ドルで原油の八分の一。

 その採掘を可能にしたのが水平採掘とフラッキング呼ばれる破砕法などいくつかの技術の組み合わせ。しかも、これを見つけたエネルギーベンチャーは特許を取らなかった。革命が広がると私が考える理由だ。

 もちろん最大の受益者は米国。しかし日本にも相当な利益があるだろう。それは次回に。

 映画のセリフから。フィリップが言う。「パラグライダーは最高だ。なんでも下に見える。」私は100年に一度の大変化が「見える」。 

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