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2012年11月 3日 (土)

映画「終の信託」と円高から円安・株高への転換(第649回)

映画「終の信託」と円高から円安と株高への転換(第649回)

 周防正行監督、草刈民代、役所広司というとあの「SHALL WE DANCE?」のチーム。その新作だけに期待がかかる。

 主人公は呼吸器内科の女医折井綾乃。入院してきた重度の喘息患者江木泰三は綾乃の人柄に全幅の信頼を寄せ、尊敬している。綾乃は年下の医師と不倫関係を持ち、遊び半分だった相手に失望して睡眠薬を飲み過ぎ手当てを受ける。何かあると感じた江木はCDを貸し慰める。

 昔満州で生まれ、ソ連兵の弾丸で妹が苦しんで死んだ経験を話す江木。瀕死の人間は耳だけは聞こえるので両親は子守唄を聞かせて早く楽にと祈った。「だから、私がダメだとわかったら無理な延命治療はしないでください」「え?」「治療費もずいぶんかかりましたしね。私の最後は先生にお任せします。ただ臨終のとき子守歌だけ歌ってください」。

 何年か後、本当に江木は死に、綾乃は約束通りに安楽死させる。ところが内部告発があり3年後に検事に呼ばれ、あれは医師による殺人だとされる。いくら心の絆を言っても通じない。冷酷な法律と人間の情感とは通じ合うはずがなく、綾乃は逮捕され手錠腰縄で引き立てられてゆく。

 パナソニック、ソニー、シャープと日本を代表する電機メーカーが途方もない大赤字。ウオンを人為的に安く操作し、日本側は不当な円高に苦しめられ、市場は韓国勢にとられてしまった結果がこれだ。デフレと円高の悪循環。

 検事が読み上げる調書が綾乃の主張と、細部は事実でも真実とまるで違っていたように、あまりにもひどい格差がこの全滅を生んだ。

 遅すぎたのだが、ようやく政府も日銀もデフレからの脱出に合意し、円の対ドルレートも80円の大台を固めた。やっと、である。

 為替の予想は難しいが、ここから先は82円は早いと思うし、次の84円という目標にリアリティが出るだろう。中長期で100円以上だが、とりあえず。

 材料は私がこのブログで何回も言う通り、シェールガス革命によるドル高と、日本円については貿易収支の悪化、これで充分だ。

 投資のプロたちが円売りを主張し始めたのも大いに注目される。米バロンズ誌の最近号が著名な投資の名人たちを集めて有料の講演会を開いた。スピーカーのうち5人は同誌の新春座談会の常連。海外からの参加2人が、共に円安を主張した。

 スイスのフレックス・ズーロク氏は「日本で注目すべき変化が起きようとしている。円相場はドル高から円安。2,3年中に100円台に乗せ日本の輸出企業に巨大な利益が生まれる。割安な日本株はこれから買いだ」。

 香港を拠点とするマーク・ファーバー氏も「円相場は下落に転じ、私は資産運用の一部を日本株に向ける」。同氏は私への投資レターでも特筆大書して円売りを推奨している。

 米国勢ではハリス・トラストのデビッド・ヘロー氏も「長期間低迷してきた日本株だがPERとROEの水準から見て大いに注目したい」とキャノンとトヨタを例を挙げた。氏レポートフォリオでは日本22・9%、スイス16・8%、英国16・0%。過去10年率10・8%の運用成績で、今年に入ってからも17・4%もの好成績。当たり屋が言うことには乗らなくっちゃ。

 映画に絡んで私の個人的な想いを。平成7年8月に亡くなった母満里が危篤となり、その時私は豪州に中谷巌さんなどと日本代表で経済講演をしていた。急きょ帰国し、成田から蕨の病院に駆けつけたのはもうかなり遅い時間だった。耳元で「帰ってきたよ」と声をかけた。もう口のきけない母の目から涙がにじんだ。

 私の取り返しのつかない失敗は、そのままずっと朝まで枕元にいなかったことだ。姉妹が私の疲労を見かねたのと、朝まで大丈夫と思い込んで(なんで医師に確かめなかったのか!)帰宅してしまった。8月20日の朝、母は亡くなった。なんで耳元で、もっともっと話をしてあげなかったのか!悔やまれて、悔やまれてならない。

 私も77歳。母満里の死んだ82歳にあと少し。あの世であやまるつもりだが。

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