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2012年12月28日 (金)

映画「スカイフォール」と安倍内閣が重視する「市場」(第656回)

映画「スカイフォール」と安倍内閣が重視する「市場」(656)

 007シリーズ製作50周年記念作品で、只今世界で大ヒット中。アカデミー賞を99年に受賞したサム・メンデス監督らしく、ドラマとアクションがうまく組み合わさった秀作と思う。

 今回良かったのは「悪役」。ションー・コネリーもののオッド・ジョブやブロフェルド。ムーアものの鋼鉄の歯のジョーズに匹敵する。元ダブルオーのエージェントだが、M16から存在を抹消された男。これを「ノーカントリー」の殺し屋を演じたハビエル・バルデムが強烈な存在感を示した。

 しかし私のような老人はカッコよく美女を抱いてグラスを傾け、ボンドカーを乗り回すおしゃれな伊達男。巨悪と戦い世界的な危機を救う華麗なスパイが懐かしい。また原作イアン・フレミングの冷戦をバックにした西洋講談も楽しかった。新型兵器のアイデアも。

 映画でも英国情報局M16のチーフMが、議会の査問委員会で、大臣から責め立てられる。時代は変わっているーだから予算は出せない、と。Mは反論。「国内政治で国際問題でも必ず表面化できない秘密の部分があり、影として働く人間が必要です」。政治は理屈で動くものではない。選挙中に言っていたコワモテ発言を安倍内閣は早速修正した。「竹島の日」を政府主催で行うのは見送ったし、尖閣に政府から人を送る話もとりあえず様子見、らしい。賢明だと思う。向こうの方は構えているんだし。

 とりあえず急ぐべきなのは対米関係を、ハトがメチャメチャにしたのを修復することだ。このひともイラカンも、腹を切って国民に謝るべきだと思う。国損をもたらしたんだから。

 昨夜のWBSで小池百合子・自民党広報本部長はキャスターの「支持率62%」という調査に対し、「世論調査よりも、私どもは株価、為替など市場の動きを重視したい」と述べた。これは大賛成。

 景気指標の向上が始まり、庶民の街角景気実感が良くなった」となるには時間がかかる。

 それよりは市場。流石にワカっている。12月28日、日経平均は1万322円でフシ目の1万250円を抜いた。最近お会いした元野村の岡本博さんはトレンドを重視しているテクニカルアナリストの重鎮だが、以前からこの水準を抜くのが大切、と言っていた。1万600円近辺にはフシがあるが、これで1万2000円が見えて来た。

 為替も同日1ドル85円82銭。これだと10月最終週から続いてヤマのように積みあがった円売り玉は全部回転した。日経CNBCを見ていたら円安でハイパーインフレ、なんてバカなことを言っている自称専門家がいた。アホか。

 ハイパーインフレとは年率50%以上のメチャメチャ水準。このグローバル経済でモノがすぐ海外からくるご時勢に。何ということを言っている。私は某週刊誌の新年号に「1万2000円、1ドル95円」とした。

 株では、デフレと円高で儲かった業種、銘柄が下がり、逆にリフレと円安が浮かぶ業種、銘柄が上がる。だから日経平均は言い株を買った人の実感は1万5000円、6000円だろう。証券会社の営業マンに申しあげる。お客様の信頼を得るのに千載一遇のチャンスが、今、来ているのですゾ。今後の私のこのブログをよく見なさい!

 映画のセリフから。Mが言う。「古風なものは捨てがたいものなのよ。」塩漬けにしていた株のポーロフォリオを見直す時が来た。

2012年12月17日 (月)

映画「レ・ミゼラブル」と第二次安倍内閣(第655回)

映画「レ・ミゼラブル」と第二次安倍内閣(第655回)

 ビクトル・ユーゴーの名作は何回も映画化されたが、今回はミュージカルをそのまま。

 私はロンドンで3回、ブロードウェイで1回、帝劇でも1回観た。今度の映画も含め必ず鼻の奥がツンと来て涙した。何がこんなに人の心を打つのだろうか。貧困と格差、社会の非人情と権力による圧迫、現代のわれわれにも通ずる。ユーゴーの社会への怒りが。

 誰もが知っている銀の燭台の話。パン1個盗んだだけで19年間も投獄され仮釈放されても社会に受け入れられなかった主人公ジャンバルジャンの再生と波乱万丈のストーリーは、たしかに面白い。しかし心を打つのは人間の真心と愛情だろう。もちろん音楽も素晴らしく、合唱曲のワンディモアとか民衆の歌は美しいし圧力も十分。

 今回のトム・フーパーは「英国王のスピーチ」でアカデミー賞を得た名監督。普通のミュージカルと異なり、俳優が実際に歌いながらナマで収録する撮影方法で、これが効果を挙げている。一見をお勧めする。

 自民党の地滑り的大勝が明らかになりつつあった昨17日深夜、TV朝日は田原総一朗氏が司会して報道していた。石破幹事長が出演したとき「安倍さんは2回目の首相でー」と言ったらすぐ田原氏は「失敗したじゃないか」。

 そうかも知れないが、映画のジャべール警視と同じで、監獄に入った人間は必ず悪人と決めつけているのではないか。」2回目の内閣は前回の経験を活かして前よりうまくやろうと考えるし。

 私は安倍さんはツイていると考える。官僚勢力の代表財務省は前回は小泉政権の後なので拒否反応が強く、主要大臣の選挙区事務所の税務上の問題点を次から次へとマスコミにリークして仕事をさせないようにした。

 今回は違う。2014年の消費税実施の前に「安倍リフレ」つまりデフレ脱出政策は大歓迎だろう。協力するはずだ。何よりも有権者はデフレ脱出と経済回復を熱望しているから、世論を敵にはできないだろう。何しろ反原発、反消費税を主張した党はダメ印がついたのだから。

 外交面では対米関係は良くなるだろう。もちろんTPPが「踏み絵」になるだろうが、これまでと違い「1年だけの総理大臣」にならない可能性が強い。米国は大事にするだろう。中国を押さえ込むためにも。また中・韓ともに新政権で「仕切り直し」しやすい。これもツイている。

 来年の参院選は憲法改正をテーマにした衆参同時選だろうが、これに勝てば3年ぐらいの長期政権だ。

 「ねじれ」はまだ現時点では残っているが、強いのは3分の2の衆議院議席で参院で否決されても、(時間はかかるが)法案を結局成立させることが出来ること。

 となるとごく目先の大事な点はスピード。経済財政諮問会議の復活はいいことだし、担当大臣を1212日の日銀の政策決定会合に出席させるのも一案だ。23月に次期日銀総裁人事が行われ、デフレ脱出策に熱心な人物を選び、政権の意志を明確化すべきだ。

 「民衆の歌」の中に赤とブルーで人々の怒りと反抗を表しているという歌詞がある。

 NHKのTVの中で3年前の民主党の獲得した地区がブルーで、自民党は赤で示され、今回の逆転劇を明示していた。人々の怒りと失望が大きくなると途方もない大きな結果を生む。自民党は戒心して成果を挙げるべきだ。

 

 

2012年12月 8日 (土)

映画「人生の特等席」と安倍脱デフレ政策(第654回)

映画「人生の特等席」と安倍脱デフレ政策(第654回)

 

ハリウッド映画の野球は大体ハズレがない。今回もクリント・イーストウッドが主演し大リーグ一名スカウトと言われた老人を演じたが、娘役のエクミー・アダムス(私のお気に入り)とのイキも合って心温まる佳作となった。

 主人公ガスは寄る年波に勝てず、視力の低下で成果が悪化。データ野球の全盛時代で後進にバカにされている。くび寸前の父を見かねた娘は拒否す親父に逆らい、スカウトのための出張に、無理やりついてゆく。

 ドラフト1位候補の高校生の打球の音を聞いて、直球に強いがカーブは打てないことを見抜く。いや聴き抜く。原題の「トラブル・ウイズ・ザ・カーブ」が意味を持つ。イーストウッドが俳優引退を撤回したほど脚本が良くできている。ブラッドピットの「マネーボール」とは正反対だが。

 選挙戦たけなわ。大新聞では意図して自民党安倍総裁の金融政策を捻じ曲げて、選挙民に不安をアオろうとしているように見受けられる。

 いい例が安倍氏の「日銀国債引き受け」発言。実は「買いオペ」という言葉を省いた全くの誤報だった。買いオペなら「公開市場操作」のことで、日銀が市場から債券などを買うことで恒常的に行われている。

 ところが「日銀の国債引き受け」となると大ごとだ。戦前、戦中の軍事費調達のため行われ[禁じ手]とされている。安倍氏は「言っていないことを言っているという議論だ」と反論したが、反論が「発言修正」と受け取られる始末だ。

 そうなると新聞をネタに番組を作るTVが誤った報道を行う。11月25日朝のフジテレビは「建設国債を日銀に全部買ってもらう」というボードが登場した。

 安倍氏の発言のうち「欧米先進国並みの物価目標2%を政府、日銀による政策協定で決める」という部分を「日銀の独立性侵害」という自称識者の発言も新聞にあった。

 とんでもない誤解だ。欧米で採用している仕組みは①インフレ目標を政府が決める②又は政府と中央銀行が協議して決める。③その目標達成のための手段は中央銀行が政府から独立して決める。独立侵害されない。

 もうひとつ。「インフレ目標を決めるとハイパーインフレになる」と騒ぎ立てる向きがある。これもとんでもない。自民党の政権公約では「上限2%」である。現実の物価上昇率が1年以上2%を超えるようならkン有引き締め策が取られる。換言すると、安倍氏の言う「国債の無制限買入れ」とは物価が現在のマイナスからプラス2%になるまでの話である。

 安倍氏は金融政策以外にも公共投資の増大を訴えているが、これも効果的だ。日本の橋はG分の一が50年以上を過ぎて劣化し、自然災害に備えるため必要な投資がある。古い体質の自民党時代の公共投資とは緊急度が違う。

 映画のセリフから。自動車事故を起こした後の警官とガスとの対話。「生きていてよかったです」「君はいくつだ?」「28歳です」「28で、なんで生きていてよかったか、わかるんだ?」私は今回の安倍発言は正しいと思える。批判する方が誤解か、意図した捻じ曲げと考える。市場の反応の方が正しい。

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