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2013年1月26日 (土)

映画「リンカーン」とアベノミクス(第660回)

映画「リンカーン」とアベノミクス(第660回)

 近く発表されるアカデミー賞で実に12部門でノミネートされ、作品賞の最有力候補。4月の公開予定だが試写会で感動したので。

 スティーブン・スピルバーグ監督はやはり腕がいい。リンカーン最後の4か月に期間を絞り、奴隷解放を実現するためには憲法を改正し米国下院で三分の二以上の多数で可決を獲得しようとする。これが大変。また5年も続いている南北戦争を終結させ国としてまとめるため南部も参加させなくてはならない。

 ヒステリーの妻、参戦するといって父親に反抗する息子など家庭でも難しい人間関係が。リンカーンはジョークを交えながら、これらの難問を辛抱強く片付けてゆく。そして人類の歴史を変える決断が下される。

 大統領としては人間の尊厳と戦争の終結、そして家庭人と三方向の難問。ちょうどアベノミクスが①大胆な金融政策②積極的な財政政策③成長戦略の三本の矢で成立しているのに似ている。

 政治家の名と政策をくっつけて何とかミクス、というと1980年代の米レーガン大統領のレーガノミクスを思い出す。強烈な規制緩和と民営化、小さな政府、そして強いドルの組み合わせだった。

 同時期に同じような政策を推進した英サッチャー首相にサッチャリズムの名はのこるが、サッチャノミクスとは言わない。しかし二人ともそれぞれの国の経済を大きく変えたのと成功したことは共通している。

 しかし何と言っても今回のアベノミクスがこれだけ有名になったのは、選挙の発言が強烈な印象を与えたこと、外国人投資家の円売り株買い戦略がこれまた強力で、まず為替市場、それから株

式市場が大きく反応したこと、の二つだろう。

 ただ、民主党のアンチビジネスと稚拙な政治から自民党の大勝で、本来なら国民的大論争になるはずの「1%のデフレより2%の物価上昇の方がマシ」という大転換が何となくまかり通ってしまった。

 私はリフレ派で安倍首相を支持するが、かつて物価安が歓迎されたのを思い出すと、いくら株高が進んだからといっても、そんなに簡単に宗旨変えしていいんですか?と聞きたくなる。

 選択2012年12月号に書いたし、先々週の週刊新潮も私の談話を引用していたが、円安はまだ解散の気配もなかった10月下旬から始まっている。シカゴ市場で円売り玉が円買いを上回ったのは、恐らくヘッジファンドの電話会議で「円売り日本株買い」が決まったからだ。そこに安倍発言があったので、渡りに船、だったのだろう。

 環境というか材料もアベノミクスを支援している。円安がこの政策のカナメだが、ジム・オニールの「2年以内100~120円」発言が効いている。

 独メルケルが文句をつけたが、ユーロ安のおかげで大儲けし続けてきて、何を言っている。米国の自動車はいつものことだし、韓国も長い間イカサマをやってきたことは周知の事実だ。

 麻生、甘利両大臣とも「高すぎた円高是正過程」という主張をツッぱりつづけることだ。国益がかかっている。ガンバレ。

 私が顧問をしている会社の社長から「おかげでもうかったが、今後どうする?」と。トヨタ、ホンダ。キャノン、三井不、三菱重の五銘柄はまだ上値があると思うので不変。売りは海運株。

 映画のセリフから。リンカーンが言う。「南部諸州は敵国ではない。戦争終了後南北合併になるが、州法を上回る憲法で奴隷を違法だとしなければ。」まだまだデフレ脱出は先のことだから、円安株高が続くことが、最高の安倍政権への支援だ。ただし輸出株上昇、デフレ円高で上昇していた株は売り、というルールを忘れずに。

2013年1月23日 (水)

歌劇「フィガロの結婚」と当たりやの「1万6000円」説(第659回)

歌劇「フィガロの結婚」と当たり屋の「1万6000円説」(第659回)

 私はオペラが大好きだが、何か一つだけ選べ、と言われたらこれにする。モーツアルト30歳の1782年の作でボーマルシェ原作の舞台劇をダ・ポンテがオペラに直し大成功。「もう飛ぶまいぞこの蝶々」「恋とはどんなものかしら」などつい口ずさみたくなる名曲がズラリ。序曲もいい。

 お話しはセビリア近郊の公国で、理髪師フィガロは許嫁スザンナを狙う浮気なお殿様を、夫の愛情が薄れたのを嘆く伯爵夫人と三人で、何とか改心させようと、お灸を据えようと企む。これに小姓のケルビーノが絡んで騒ぎが大きくなってシッチャカメッチャカ。あ、これ「ベルタースケルター」というらしいが。

 伯爵がダマされたようにみとうしを間違えちゃあいけない。

 一部の新聞や経済誌は安倍経済政策が危ないと警告しているものが目立つ。またハイパーインフレで脅かす自称為替専門家も。

 ダマされちゃいけない。もっともらしく見える警戒論者はこれまでの予測で「外れ屋」ばかりだ。

 私は経済予測では「当たり屋」を見つけることが一番大切と思う。前回予想を的中させた人が再びヒットを打つ確率の方が、前回予想を外した人が急にホームランを打つ確率よりずっと高いからだ。

 ごくごく一例。曲り屋と私が考えている野口悠紀夫氏はデフレの説明に中国からの安い輸入品が根源とした。OECD諸国の中国からの輸入比率は皆上昇しているが、デフレになったのは日本だけ。

 エール大学名誉教授浜田氏もふくめ、「世界の常識」派が何と言っても当たり屋だ。嘉悦大学教授の高橋洋一氏はその代表だろう。要するにアベノミクスは、インフレ期待を高める、との主張だ。

 高橋洋一氏は旧大蔵省の証券局投資顧問担当課長補佐の1980年代から存じ上げているが、御著書を含め最近のコラム(たとえば「ニュースの深層」(現代ビジネス)でも的中率がきわめて高い。

 最近のコラムは「アベノミクス実現で1ドル=120円、日経平均1万000円も見えてくる」としている。大いに注目だ。

 日銀も本日改めて「2%物価目標」を決めたし、金融緩和も来年から毎月13兆円と決めた。円安の流れは加速しよう。

 エコノミストでなくテクニカルアナリストとも呼ぶべき人で、なんといっても当たり屋は若林栄四氏だろう。今回の2012年末からの「デフレ→リフレへの転換」を早くから予想していた。見事な的中ぶり。近著の「不連続の日本経済」(日本実業出版社)を一読されることをお勧めする。国際金融コンサルタントの菅下清廣氏も当たり屋。

 不肖今井澂も実は方々で「当たってますね」と声をかけていただいているが、実は不満。毎週の東証の投資家別統計で、日本の個人投資家はずっと売り越し。証券会社の営業はこの上昇相場をお客様に説得して、売りに来たらやめるようにすべきなのに!一体、何をしてる!

 歌劇「フィガロの結婚」の中で、鳥肌が立つくらい美しい女性の二重唱がある。伯爵夫人とスザンナの二人d¥が手紙を書きながら歌う「そよ風に寄せて」。映画「ショーシャンクの空に」で主人公がLPで刑務所中に聞かせる。この映画は希望を持ち続けることの大切さがテーマだった。

2013年1月14日 (月)

選択2013年1月号

選択 2013年1月号

 

迫り来る「オバマ暴落」

今井澂

 

 「いいかい。2007年10月1日のダウ平均の歴史的高値は1万4198ドル。今それに迫っている。新高値更新なら大相場。それこそ2万ドルとか3万ドルだろう。しかしその手前で下げが起きて、ダブルトップの形になると1万1000ドルで止まるかどうかという大幅な下げが起きる。暴落といっていい。びっくりする位の急落だろうな。2,3月だろう。」

 もうその準備に入っていて、ここ3か月ほどの間に米国内のリスク資産は株、商品先物などの投資額を半減させた―。大手のヘッジファンドのマネジャーは語る。理由はと聞くと「オバマ」。財政の崖か、と聞くと、それもあるが債務法定上限リスクと米国債の格下げだという。

 ブッシュ減税の廃止を中心とし富裕層を目の敵にした税負担増が、基本的に米国株や金などのリスク商品先物忌避につながっていると。

 ごく一例。最高税率は現行の35%から39・6%。とくに配当収入は現行の15%が最高44・6%になり、キャピタルゲインも同様。となると資産家がもうやめた、となるのも当然かもしれない。

 しかもオバマ大統領と共和党との財政の崖交渉は、本稿作成時の12月下旬現在まだ進展していない。両方とも自分の意見が正しいと信じているし、特に共和党の新選出議員は増税に賛成しないという誓約書にサインしている。妥協は難しく、株価が大幅に下げて騒ぎになってようやく合意形成となろう。1月中で終わるか2月になるか。

 「それよりも連邦債務の法定上限が問題」と前記のファンドマネジャーは言う。

 2011年8月にも、赤字国債の発行を可能にするために必要の連邦政府債務の法定上限引き上げを巡って、オバマ政権と共和党が対立。政府機能の停止や国債償還に問題が発生した。寸前に妥協が成立したが、米国国債の格下げが決まり世界中にショックを与えた。株価は2000ドル近く下げ1万ドルの大台割れも懸念された。

 今回はどうか。2012年11月末での債務残高は16兆3695億ドルで、上限の16兆4000億ドルに迫っている。現在月間1500億ドルの債務が増えているので昨年の年末で上限に到達していたはずである。

 歳出の先送りや財務省証券の発行などで、3か月程度は債務の増加は抑えることが出来る。しかし合意に至らないと、連邦政府の歳出は年間3兆5384億ドルだから、月間3000億ドルの支出の1割がカットされる。3月か4月の大騒ぎが予想される。

 しかも、上限引き上げが決まっても引き上げ幅と同額の財政赤字削減が必要。社会保障を中心とした歳出削減を主張する共和党と増税派の民主党と、具体策がなかなか決まらない事態が起きる公算きわめて大。となると米国債の格付け引き下げの懸念が起きて、リスクの高い投資は止めてしまう。ヘッジファンドのこの状態をすでに見越しているわけだ。15%は下がる、とも。

      投資先は日本だけ

 ヘッジファンド大手は「中国は絶対ダメ、欧州も下げ過ぎのリバウンドはあるかも知れないがこれも投資しない」という。理由は「両方ともマイナス成長だから」。

 ユーロはわかるが中国は7%台の成長では、と聞くと「あれはウソだ」。

 今回首相に決まった李克強が2007年に当時の駐中国米大使に「中国のGDP統計は人為のもので信頼できない。鉄道貨物輸送量、電力消費、銀行融資で成長も私は測定しており、一番重視するのが鉄道貨物輸送量だ」と述べた。(ウィキリークスの外交公電による)

 7~9月期中国の経済実質成長率は7・7%と公表されたが、鉄道貨物輸送量は同期間マイナス0・8%。リーマン・ショック直後以来のマイナスである。「恐らく胡錦鋳=温家宝政権が自分たちの経済運営の失敗をごまかすためにマクロ数字は粉飾したのだろう」。ちなみに電力消費も2%。銀行の中長期融資は2010、2011年の20%増がひとケタに落ち込んでいる。

 ユーロ圏のマイナス成長は周知のとおりだし、本誌でも「政治統合を目指すドイツは抜本的な解決まで参加国を締め付け続ける」と述べ続けてきた。ユーロ安でドイツだけは好調だが。

 となるとグローバルな投資を行う有力外国機関投資家特に米系ヘッジファンドが、どの地域に資金を投下したらよいかに悩む。

 グローバル投資のオピニオンリーダーであるジム・オニール氏は「円売り、日本株買い」を主張し運用担当者への重要な指針になっている。同氏はゴールドマン・サックス・アセットマネジメント会長で、BRICSという投資コンセプトの創始者として知られている。

 11月20日に同氏は「WE WANT ABE!」というレターを顧客に送り「これまで私は円高論者だったが円安に見方を変えた」としその後12月に入って「2~3年中に100円から120円の対ドルレート」を目標値に掲げた。安倍発言でのデフレ終了作戦の支持表明である。

 つれてシカゴ通貨市場での円先物への投機筋の大量売りと、日経平均の急騰が始まった。

 10月上旬までは円の買い(ロング)と売り(ショート)を比較すると円買いが定着していたが、下旬から売り玉が急増。差し引くと12月中旬現在11万枚(1兆3000億円)で、かって円キャリートレードが盛行していた時期の水準に達した。超低金利の円で資金を調達しその円を売って、ドルや新興国の株や債券で利ザヤを稼ぐのが円キャリートレードである。

 円レートは衆院解散時の79円台が84円台へ、また日経平均株価は8600円台から9500円台へ上伸した。筆者のところへは「日本の有力ストラテジストやエコノミストはこの動きをどう見ているか」と質問が入る。「一時的な仕掛けでまた円高。株安に揺れる」という意見が支配的」と返事すると、それならばと、また円売りを乗せる向きが多い。

 

 2月14日の日銀のバレンタイン・プレゼントつまり物価上昇の目途として初めて物価上昇プラス1%という数字を挙げたときは、ヘッジファンドは14週間続けて円を売り越した。今回は12月最終週でまだ9週間目であるが、前回よりも安倍政権誕生で期間は永く、投入資金量も大きいと推測する。

 ただし、年央以降の投機筋資金はNYダウの位置しだいであるが、米国回帰の公算が大きい。

 何といっても住宅市場の回復が明瞭になり、米国家計のバランスシート調整にもメドがつき始めた。シェールガス革命による製造業の本国回帰も始まっている。まだ「21世紀は中国の時代」という米国ダメ説は残っているが、再び世界最大のエネルギー生産国になる以上、一部で云われるNYダウ3万ドルが夢物語でなくなるかも知れない。

清話会先見経済2013年1月号

先見経済 20131月号

経済最前線NO.84

 

2013年の世界と日本の景気はー円安株高はかなりの期間続くー

 まず結論から言うと中国もダメ、EUもダメで米国も長期ではいいが、新年はまだまだ。だから―と外国人は日本株を買っている。

 順にいこう。まず中国はここ34か月発表された経済指標はウソっぱちで信用できない。成長率7%台だの鉱工業生産9%―。ウソな証拠には鉄道貨物輸送量はマイナス6%、電力消費量もマイナスだ。

 11月の党大会での首脳部改選を控えて、胡錦鋳=温家宝が自分たちの経済運営が失敗したのをゴマ化すために大本営発表をやったに決まっている。

 対日経済制裁も中国経済に打撃を与え始めているはずだ。外資の導入はあのデモ以前は日本以外からはストップしていたし、日本の企業が対中投資するはずがない。デモ隊の政府によるやらせもバレているし、もうすでに米国流通大手で逃げだしたところも。人民元高も影響が大きい。住宅バブルが飛んだあとも全く始末がついていない。上海株式市場の急落がこの国のこれからを暗示している。

 次のEUはもっと具合が悪い。11月下旬の首脳会議でも対立してお互いの悪口を言いあっただけ。南欧の借金国が助かるような援助はドイツは渋っており、次の問題国の候補にフランスまで登場しているに、EUの予算案さえ決まらない。ECBの金融緩和によって何とかしのぐ手は数か月しか続かないまま、綱渡りがまだ2013年も続く。その間マイナス成長が続くだろう。

 第三に米国。オバマ再選が決まった後、私の予想通りNY株式市場は急落した。オバマの株式投資への冷遇税制を嫌気したためだ。

 米国の株式配当とキャピタルゲイン(株のもうけ)への税金は現在15%。ところが最近のAFP通信によると配当への課税は実に43%。キャピタルゲインは今のところ公表税率は20%だが、ほかの所得と合算する税制になりそうで、そうなるとこれも実に38%になってしまう。だからオバマ再選で値上がり幅の大きかった銘柄への売りが殺到した。

 では、なぜオバマはこんな株式市場いじめをしようとしているのか。それはオバマに投票してくれた層が株式投資に関係の薄い貧困層だからである。人種別にオバマ対ロムニーの投票率をCNN調べでみるとよく分かる(単位%)。

 白人(男) オバマ35対ロムニー62

 白人(女) 4256

黒人(男) 8711

黒人(女) 963

ラテン系(男)6533

ラテン系(女)7623

だからオバマは株式投資層をいじめる。

実は中国、EU、米国のこの流れが、グローバルマネーが日本に流入している背景だ。

 こうした投資の理論的背景は、あのBRICSという投資アイディアを創案し広めたたゴールドマン・サックス・アセットマネジメントのジム・オニール会長の最近の発言が一番手っ取り早い。

 オニール氏は「私は1997年以来円高派だった。理由は日本の経常収支の根強さから生じるドル円均衡レートの上昇だった。しかし経常収支の赤字転落、円の過大評価、崩壊しつつありながら構造改革されない経済、巨大な債務問題、動かない日銀などなどから、円安に潮目が変わったとみる」と。このレポートの題が「WE WANT ABE!」というのだから安倍氏の発言を好感しているに違いない。

 従前からオニール氏は円が25%割高としていたので、1ドル100円。株価については同氏ははっきり言わないが、恐らく12000円以上ぐらいを見ているだろう。「円売り日本株買い、日本国債売り」が氏の投資作戦である。かなり大幅で永続する円安、と見ておいた方がいいと思う。

医薬経済2013年1月号

医薬経済 2013・1・1 少数派経済観測

エネルギーを軸に米国と中国の立場逆転

 米国は世界のリーダーだが弱点は大きな借金であり、かなりな部分を中国に負っている。

 そこで中国の指導者はことあるごとに「中国が米国債を買わなかったり売却すると、あなたの国の経済は破たんする」と脅迫してきたしかし2013年以降、この両国の関係は逆転し経済的、軍事的、そして政治的にも米国が優位に立っていることが、どんどん明瞭になってくる。安倍内閣はこの新しい事態にうまく対応しなくてはならないが、そこいらは十分わかっているだろう。

 では、米国にとって有利な事態とは何か。

 エネルギー、である。

 シェールガス革命のことはもうご存知であろう。2005年ごろにエネルギーベンチャーが、地下3000米の岩から安価にシェールガスと原油などを取り出す技術を開発した。2008年ごろから大量に採掘され始め、巨大石油会社が本格参入した。これまでに発見され採掘されているガスと合わせると、米国の使用している天然ガスの250年分が確認されている。

 シェールガスの価格は石油のバレルあたりに換算すると18ドルから24ドル。現在原油は86ドルだからいかに安価かわかるだろう。

 このシェールガスの増産は米国のインフラ需要と雇用人員増加をもたらせつつある。精製・貯蔵などの装置、採掘やパイプライン輸送のための鋼管、それにガス利用の発電所の諸設備など。日本メーカーへの発注も始まっている。

 実はシェールガスだけではない。米国内で最近巨大油田が続続発見されだした。たとえば大西洋岸のデラウェア州からジョージア州の沖合に長さ1000キロ、幅100キロの広大な油田で、埋蔵量21兆トンと推定されている。メキシコ湾とキューバ沖にも大型油田が発見されている。

 この結果「オレ達の国はサウジ以上の石油大国になる」という楽観論が急速に米国市民の間で広まりつつある。私は3月に米国に行ってこれで3年連続になるガス採掘井の現場の定点観測で、現状を見てくるつもりだ。

 もちろん2013年は「財政の崖」問題や連邦債務の上限問題などで問題山積。弱気のエコノミストは今年のマイナス成長まで言っている始末だ。弱気予想が多数派だろう。

 しかし2008年以降の米国住宅不況が終わり、中古住宅の販売住宅価格ともに好調。米国家計の純資産もサブプライム騒動直前の水準を回復した。基本的には回復は加速化すると見ておくべきだ。

 それに前記した石油・ガスなどのエネルギー事情の急好転がある。現在米国は一日600万バレルの石油を消費し、三分の一を自国で賄っている。これがあと23年でカナダやメキシコを含めると中東から輸入する必要がなくなる。貿易収支は好転。一方中国の原油産出は年10%以上減少だ。

 米国は中東からのタンカー護衛が不必要になり、これだけで年4兆円以上の費用を支払わないでいい。

 石油化学、鉄鋼などエネルギーコストの高い産業は米国に回帰し、増産に転じた。

  中国人の多数は「21世紀中に自分たちは米国を抜いて世界一の大国になる」と信じ、その気で周辺諸国の領海や領土を侵略し、覇権を唱えて来た。空母の購入は西太平洋や南・東シナ海での軍事的優位を確立したがっている。

 尖閣での騒ぎもその一環だが、米国の前途への自信回復は石油による資金で支えられ、」中国の野望を押しつぶすだろう。先日の米上院の尖閣を含めて防衛法案は、その米国の意志の表明だ。ここいらをよく考えたい。

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」と新春で私が考えたこと(第658回)

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」と新春で私が考えたこと(658回)

 アカデミー賞を「アバター」と争って作品賞を獲得した「ハート・ロッカー」監督キャサリン・ビグローの最新作。2月公開予定だが試写会で観た。ゴールデングローブ賞主要4部門でノミネートされ、アカデミー賞候補。

 題は軍の専門用語で「午前0時30分」を意味。特殊部隊ネイビーシールズが、オサマ・ビン・ラディンを襲撃した時刻を意味する。2011年5月1日のあの事件はオバマ再選につながる米国の勝利だったが、映画はビン・ラディン追跡の主役が、まだ20代のCIA分析官マヤだった意外な事実を中心に展開する。

 マヤは「連絡員」を特定し、そこから隠れ家を突き止めてゆくが、アルカイダの方も簡単に尻尾を掴ませない。同僚は自爆テロで殺され、巨額の予算は成果が擧らない。しかし、マヤの執念で連絡員の使用車を特定してゆく。

 あの911から11年もかかったビン・ラディン殺害までのCIAを中心とした米国政府は、失敗の連続。日本のデフレと円高の悪循環の歴史に、期間もよく似ている。

 しかし、どんな闇夜も永遠に続くものではない。朝は必ず来る。

 本屋を見ると「世界の終わり」的な刺激的な題をつけたものがズラリ。TVでもやれハイパーインフレだの預金封鎖だの、資産の海外逃避だのとオドカシが多い。バカな奴らだ。ここいらの心配があり得ないことは、若林栄四さんが新著「不連続の日本経済」に詳しく書き込んである。ご一読をお勧めする。要するにこれからの日本経済が、急激に低迷から繁栄の局面に展開してゆくことが大切である。

 日経主催の新春景気討論会に出た。まだ出席者全員がシェールガス革命で米国も日本も大転換期に入りかけている認識に乏しい。為替も上限95円で85~90円が主流。株価も1万2000円。

 私は為替市場での最大の勢力は今や2兆ドルを超えたヘッジファンドで、それを作戦面で支配しているのがジム・オニール氏と考えている。いうまでもなくBRICSの投資概念の創始者でまた定着させた人。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長だ。

 この人が日本の総選挙最中の11月20日に「WE WANT ABE!」というレポートを発表。「3年以内に1ドル100円」と目標を述べて「円売り、日本株買い」を投資戦略として推奨した。

 その後安倍政権が誕生!その直後の12月26日に「2年以内に100~120円」と修正した。この修正は重要と思う。

 年末からの上昇相場に出遅れた向きも、今年と来年、円レートが100~120円なら輸出株は買いだ。

 私はトヨタとホンダ、それにキャノンがこの相場の軸と考える。逆に手放すべきは海運、石油・石炭などデフレと円高期にトクした業種。証券業はその逆で、リフレと円安でトクをするので買い。

 日経平均は下落する業種があるのでそんなには上がらない。しかし輸出株に投資した人には1万8000円ぐらいの上昇幅を実感するだろう。

 ついでに機械株の「穴」を。ある著名アナリストに聞いたが、シェールガス革命関連を聞いたが①巴工業②帝国電機③新東工業。また「革命」以外ではホシザキ電気の冷凍冷蔵ショーケースの伸びに注目していた。私も大昔に機械業界を担当していたので、これから研究してみたい。少々早すぎるかもしれないが。

 映画のセリフから。攻撃し最終決定する会議が開かれ、ビン・ラディンが目標の邸宅にいる確率を言う。60%二人、80%二人。マヤだけが「100%です!」と。成功は未来を確信することだ。

 

2013年1月 4日 (金)

映画「七人の侍」と新年の私のおすすめ(第657回)

映画「七人の侍」と新年の私のおすすめ(第657回)

 年初のNYの株式市場が308ドル高と威勢がいい。「財政の崖」が私の予想通りギリギリで何とか合意したが、やはり連邦予算の上限は2か月延長、だけ。問題点の根源は変わらなかった。

 かつてのモモエちゃんの歌じゃないけど「これっきりこれっきり、もう、これっきりですかア」じゃないかなあ。現に翌日は小幅反落。

 問題の根源は、オバマ大統領と共和党下院の一部議員との確執にあるんだから。あと2,3か月で2年前の騒ぎの再現になるだろう。

 もう少し詳しく説明しよう。年末の妥協案は10年間で6000億ドルの税収増をもたらすが、オバマ大統領の1兆4000億ドルには及ばない。

 オバマ政権は税収増を求めて恐らく富裕層への増税を求める。しかし共和党の議員は増税案に賛成しませんという誓約書を選挙区で書かされているの出、猛反対で支出削減を要求する。

 この激しい対立はまだまだ続く。NY株式市場はその「人質」だろう。

 ところで年末、年始はいいお正月だった。大晦日のジルベスター・コンサート、そして新年早々は歌舞伎やら、家族全員集合やら、ともかく例年通りだったが、時間があるのでBSの黒沢明映画を観た。やっぱり凄いや!

 「七人の侍」。何回目かと思いだしたが10回以上だろうなあ。どこもいいけど、まず、七人が集まる過程が面白いし、戦闘シーンも。

 この大傑作をつかまえて、当時のマスコミは、やれ自衛隊の立場の擁護だとか、野武士の人権はどうなるのか、とか、バカじゃなかろうかというようなコメントを書いていたのを記憶する。撮影現場に来た某左翼政党の代議士もそういっていたとか。ようやく何十年も経過し尖閣騒ぎがあって、国民は現実を見ない馬鹿な政党を直視するようになったが。

 この名作が弱者である農民の暴力への怒りと、野武士との対立が基本のテーマになっているのがわからなかったのだろう。

 話を投資の世界に戻そう。バートン・ビッグス氏の「テン・サプライゼズ」に日経平均1万2000円目標を入れる位だから、まだ円安=株高」は多数派ではないだろう。

 しかし、どんな大相場も始めのうちは「短期的な反発で大勢はダメ、説」が多いものだ。市場の声なき声を私は何十年も聞いてきた。今回は本物だ。どくに為替市場で円安ドル高が続いてこれが日経平均を押し上げるという形こそ本物である。

 そう思っていたら、新年のTVでのアベノミックスへの懐疑論が圧倒的に多い。バカな奴らだ。円は安くなる要因があり、ドルには高くなる要因がある。だから簡単に流れは止まらない。

 マーク・ファーバー氏が1月1日付のレターでこう言っている。「シェールガスで安価なエネルギーを米国産業界が使えることは製造業の本国回帰を促進する。これは円売りが2013年の最良の投資戦略であるという私の戦略につながる」。

 「2012年、日経平均は22%上昇したが、センチメントはまだまだ弱気。だからこそ、この投資戦略は実りが多いと考える」。

 ファーバー氏は「日本株専門投信を買え」として第一にiシェアーズMSCIジャパン・インデックス・ファンド(9・75ドル、NY上場EWJ)、同時にJEQ、JOFなどもすすめている。

 日本人である私は日興アセットマネジメントが最近設定した「日興グラビティ・アメリカズ・ファンドをおすすめしている。ドル高とシェールガス革命の恩恵を受ける銘柄群に集中する投信だからだ。わずかだが、私も買った。NYダウはどこかで10%以上の下げはあると覚悟しておいた方がいい。しかしシェール関連は大して下がらない。ファーバー氏は日本株そのものだが、日本人はドル高とシェールを狙うのがいいと思う。

 

2013年1月 1日 (火)

謹賀新年

謹賀新年

 新春おめでとうございます!

 昨年の「年末1万円台乗せ」と「円安」は東洋経済「オール投資」9月1日号で予想。

 的中しました!

 今年も「市場」に挑戦し続けます。

 どうぞ、ご声援ください!

 

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