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2013年4月21日 (日)

映画「舟を編む」と中国経済に悪化(第672回)

映画「舟を編む」と中国経済の悪化(第672回)

 三浦しをん原作は文芸書部門の2012年ベストセラー第一位。辞書編集に努力する男の物語だ。「果てしなく広い言葉の海、辞書とはその大海に浮かぶ舟」「人は辞書を通じて自分の気持ちを的確に表す言葉を探す」ともにセリフから引用したが、これがテーマだ。

 とてもいい映画でユーモアたっぷり。笑いが絶えない。恐らく今年のベストファイブに入るだろう。主演の松田龍平、宮崎あおいが実に巧い。脇役も芸達者揃い。

 辞書採用分は24万ものことば。数限りなく多い、というと私はお隣の中国を思い出す。漢字とか人口とか。今回は私に情報を提供してくれる富国生命の市岡繁男さんが、日本ではあまり報道されない中国のことを調べてくれた。今回はその要約を番号をつけた部分で紹介。

 英TELEGRAPH紙。中国のデベロッパーが当局の規制を回避するために、住宅から商業ビル建設に重点を移した。このため地方のオフィスビルは空室だらけなのだが、それでも建設ラッシュは止まらない。需給関係の悪化は放置されたまま。

 フィナンシャル・タイムス紙。中国の有力監査法人が「地方政府の債務はアウト・オブ・コントロールの状態にあり、米国の住宅バブル崩壊以上の深刻な事態が懸念される」。誰もが懸念していることを公言している。

 これも市岡氏の調査。中国経済の失速は興行されている統計数字ではわからないので、貿易統計は相手国があるのでゴマかしは難しい。

まず輸入。ブラジル・チリ・ロシアからの輸入は昨年8月以降ふたケタのマイナス。一方輸出は前年比ふたケタ増と一見順調だが、香港向けが突出して伸び、これを除くと3月の中国の輸出は前年比マイナス5%である。香港向け輸出が細工されていつ証拠は、中国の輸出全体に占めるシェアが15%(昨年)から今年になり3月26%に急伸している。不自然な伸びで何らかの細工をしたことをうかがわせる。

 

 ついでに私が講演会でお話ししていることを。現在首相になった李克強が7年前に北京駐在米国大使に「私はGDP統計は信用しない」と述べた。理由は「あれは省、市など地方自治体に与えてあるノルマの何%達成されたか報告させて数字をまとめる。誰も自分はかわいいから悪い数字が出てくるはずがない」。

 「では何を信用するのか」

 「鉄道貨物の輸送トン数。各路線ごとの報告をまとめるのでウソがない。」

 このやり取りは7年前だが、ウィキリークスで北京駐在米国大使の本国への報告がバクロされてしまった。以来中国ウオッチャーはこの数字を見ている。

 昨年の鉄道貨物輸送トン数は前年比マイナス0・9%、今年1,2月もゼロ。これで7・8%成長しているはずがない。

 

 中国からの亡命者石平氏によると「中国の地方政府は、リーマンショック以前の時点ですでに債務超過だつた。」なるほど、だから上海株は下落を続けている。株価は中国経済の真の姿を示している。

映画では主人公はホレた女性に何と巻紙に達筆の草書でラブレター。女性の方は読めないので「はっきり言って」と迫る。読めないラブレター。間抜けだ。何となくイカサマ統計と通じている面があるのでは。

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