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2013年4月 1日 (月)

映画「キング・オブ・マンハッタンー危険な賭け」と米国の3D革命

映画「キング・オブ・マンハッタンー危険な賭け」と米国の3D革命(第669回)

 リチャード・ギアがヘッジファンドの社長を演じる。巨大な資産と幸せな家庭を得ている男が、実はストレスから愛人を囲っている。

 それはそうだろう。表面に出ない巨額の含み損、穴埋めのための借金の期日切迫、買収を持ちかけてきた銀行のいやがらせと会計監査での問題点発見の不安。

 原題の「裁定取引」つまり複数の市場での価格差利用のサヤ取りの方が、ズバリ主人公の苦境を物語る。

 愛人をつれて別荘にゆく途中、居眠り運転で事故を起こし、愛人は死亡し車は炎上。人生のすべてを失いかねない危機が発生する。

 映画の終わりでは、この一見、出口なしの苦境を何と主人公は切り抜けてしまう。そこが見せ場の、まことに面白い映画だ。ビジネスマン必見。

 先日米国に行って何回も聞いた言葉が「リショアリング」。産業の米国内への回帰、という意味だ。ひところ人件費の安い中国など新興国へ生産拠点を移転した「オフショアリング」が終わり、今や米国は製造業世界一の座を取り戻そうとしている。

 昨年秋のマサチューセッツ工科大学(MIT)の調査では米国の多国籍企業大手108社の三分の一が国内回帰の検討を開始、すでに13%が決定した。

 オバマ大統領は昨年大統領再選直後、大手企業30社の首脳を呼んでモノづくりにまい進しマネーゲームは止める。また中国から工場を引き揚げろ」と述べたようだ。その後一般教書で「2016年までに100万人の製造業雇用を創出」を宣言した。

 まるで映画のラスト近くの大逆転のよう。

 理由の第一は「シェールガス革命」。このブログの読者なら先刻ご存じだろう。第二は労組離れによる賃金の低下、そして第三が「3Dプリンタ生産技術」である。

 米国が切り札にしようとしているこの技術は、コンピュータで設計したある部品の三次元データを入力すると、印刷するような感覚で安価にモノが出来上がる。だから「3Dプリンタ」。

 昨年夏オハイオ州ヤングスタウンに、民間企業6割、国防総省など政府機関が4割出資して国立創造系技術革新機構(NAMII)が発足した。今後15か所に研究機関が設立され、軍事利用に始まっていずれは民間に転用する狙いだ。

 米国製造業の大転換を象徴しているのがGEだ。イメルト会長はオバマ大統領の盟友とされるが、金融やメディア、情報サービスなどから本業の製造業への回帰をめざす。

 たとえば去る2月NBCユニバーサルの保有株を売却。メディア事業から手を引き、GEの利益に占める金融業の比率を2012年の5割から最終的に3割まで引き下げる方針。一方シェールガス革命関連ビジネスや、3D技術のパイオニアのモーリス・テクノロジーを買収しジェットエンジン部品を3D生産する。発電設備、医療設備にもこの生産技術を導入する。

 このほか、フォード、ボーイング、キャタピラー、ハネウエルなども3D技術導入に熱心。

 年初来のGE株は25%以上も上昇、ダウ採用銘柄でトップの上昇率。一方、日経平均はファーストリティリングが上昇の主力で225種の内10%以上を占める。

 私の理解ではユニクロは円高のおかげで利益を出してきた銘柄。どこかで円安がマイナスの影響が出るはずだ。同じ上げ相場でもだいぶ違うのではないか。

 映画のセリフから。主人公が娘の副社長に「なんでこんなにソンしたの?」「市場ってものはそうしたものさ。また上がるときは上がる。」時代が変わりつつある。

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