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2013年5月20日 (月)

映画「モネ・ゲーム」と今後の金価格(第676回)

映画「モネ・ゲーム」と今後の金価格」(第676回)

 コメディ映画で印象派の巨匠モネの名画をタネに、雇い主に対し詐欺を企てる美術鑑定士の物語。主役は「英国王のスピーチ」でアカデミー賞の主演男優賞を獲得したコリン・ファース。脚本はアカデミー作品賞を「ノーカントリー」で撮ったコーエン兄弟が書いているので、結構笑える小品になった。

 横暴で意地の悪い主人公の雇い主は、億万長者のメディア王で絵画のコレクター。あまりのひどさに堪忍袋の緒を切った主人公は、友人でニセモノ作りが趣味の少佐と完全犯罪をたくらむ。モネの行方不明の名画の贋作を、大変な高値で売りつけようーという作戦だ。

 名画を祖父の代から持っていたということにするテキサスのカウガール(カウボーイじゃない)がキャメロン・ディアスで、その天然ボケぶりが何ともおかしい。ともかく次から次へと予定された計画をブチこわす。終わりはドンデン返しに次ぐドンデン返し。

 シナリオが予定通りいかなくなったというのは、マーケットではよくあること。4月以降の金価格の急落がまさにそれだろう。

 金価格のほぼ16年にわたる長期上昇は何と言ってもインフレ・リスク。日米欧の三局中央銀行が空前の超金融緩和を敢行しているのだから、キャッチフレーズとして「ペーパーマネーへの不信」としての金価格上昇が正当化された。要するにドル不信指数、である。

 また中国、インドなど金選好の国の興隆も実需を支えたし、米国の大手年金がETFを通じて金の買い手となった。新興国の中央銀行の外貨準備の一角としての金買いも、需給関係を支えた。

 

 これらのストーリーをブチ壊したのが「シェールガス革命」である。

 エネルギー価格が長期で安くなってゆくなら、インフレにはならない。また米国の貿易赤字縮小は「ドル高」だし、キプロス中銀の売却や中国の実体経済の悪化も金価格へは打撃だ。

 米国経済の重石になっていた住宅市場は好転し、シェール革命への期待でNYダウは新高値。金や債券から株式へのシフトで、米年金のETF買いは売りに転換。年初からNYの金ETFは300トンも減少した・

 4月10日に発表されたゴールドマンの金売り推奨レポートが効いた。4月15日から急落し、4月16日はオンス1321・5ドルの安値が瞬間ついた。昨年10月5日の1798ドルの27%下落である。

 その直後にゴールドマンは売り止めのレポートをだしたし、中国やインドでは個人客の買いが入った。

 また割安になった10分の一オンス金貨は需要急増で在庫がなくなった。まだ将来へのインフレ懸念が市中でなくなったわけではない。

 一時反発した金価格はまた最近1350ドル台まで下げた。私の予測どうり、戻りの後、もう一度安値を試しているわけだ。「シェール革命でQEⅢなどにかかわらず物価は上がらない」というメッセージを金市場が発しているならば、1321・5ドルは、いずれは、また切ってしまうかもしれない。ただし、ごく目先は底値と思うが。

 1995年のオンス250ドルから16年かけて1920ドルまで上げたのだから、整理期間は少なくとも4年かかる。値幅の方よりも時間の方がまだ足りないのでは。

 私の結論。今週来週あたりの突込みは買いだろう。グラム建て円建ての日本の金先物はオンス建てドル建てのNYより買いには有利だ。売りはしない方がいいとみる。

 映画のセリフから。主人公がひどい目にあって言う。「水ブロに放り込まれて、出た後ムチうちの刑になったような気もちだ。」市場の急落の後の安値接近だが、参ったなと思わないことだ。

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